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【55】

宴もたけなわ。

周りの客もぽつりぽつりと帰って行く。

マコトもそろそろ帰り支度をと思っていたところに

イザナギが切り出してきた。


「マコト、うち(廃人倶楽部)に入らないか?」


「ちょい、旦那!抜け駆けは無しだよ」


待ってましたとばかり

JJが身を乗り出してきた。

するとそれを皮切りに

怒涛の勧誘ラッシュが始まってしまった。



「そうですわよ、イザナギさん。マコトさんが欲しいのは私たちも同じです」


「(それ、なんかいやらしい…)」


「我々もですっ、マコトさん!ぜひ建築好きが揃った《カーペンター組合》の用心棒に!」


「(リチャード…お前のとこはない)」


俺んとこ(宵闇の疾風)なら即、幹部待遇だぜ?!どうするよ、マコト?」


「ガハハ!卍よ、それならうち(廃人倶楽部)は副部長待遇だ!」


イザナギと卍丸が睨み合っている。

それを、またかという目で呆れて見ている千早とリチャード。

その様子にマコトは首を傾げる。


「…一つ聞きたいんだが、あんたら前から知り合いだったのか?」


マコトは会合が始まってから今まで、

先日会ったばかりとは思えない

妙な連帯感をこの面々に感じていた。


問いに反応してくれたのは千早だけだった。


「いいえ、あの時が初対面ですわよ」


「あの時って…《魔具屋》だよな?」


「ええ」


「それにしては、なんと言うか…仲良しだな」


ついにイザナギと卍丸は取っ組み合いを始めた。

それをリチャードとJJが必死に抑えている。


「ああ、そのことですか」


千早は質問の意図に得心したようだ。


「皆さんが出発したあとも、このような会合を三日三晩していたんですよ」


「へぇ、そうだったのか」


それは初耳だった。


「ええ。ギルドの主だったメンバーは残っていましたので、これからの事を色々と…」


「それで何か決まった?」


「それが…」


千早は声を落として話してくれた。

話を要約すると

何も決まらなかった、と。

一見、しっかりとした人物であるイザナギも

実は豪放磊落ごうほうらいらく

細かな事を決めるのが苦手。


「(確かに、シリウスさんもそんな感じだった…《廃人倶楽部》の気風かな)」


卍丸も似たようなもので、

似た者同士、終始今のような事になり

議題が全く進まなかった。

リチャードは建築好きというか、ただの建築馬鹿。

どこそこにあれを建てましょう、

ということしか頭になかった、

JJは今が楽しければ良い、みたいな感じだそうだ。


「皆さんがそんな感じでしたので、私一人では何も…」


「そりゃそうだ」


マコトは苦笑する。


「「「おいっ!どうするんだ、マコト!」」」


突然、三者の熱がマコトに向けられた。


「い、いや…ちょっと待ってくれ。実は…」



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