【0-2】
トライ&エラーを繰り返し
ようやくシステムにも慣れてきた。
そろそろ本格的に攻略でも始めようかと思い
攻略サイトを巡る。
現在進行形のゲームなので
サイトが豊富なのは嬉しかった。
「…魔窟王…魔窟王…っと」
ダンジョンクリエイトに明け暮れてしまい
ふと気付けばまだレベル1のままだった。
今後のキャラ育成のため
職業別取得スキルのレベル表を見たかったのだが
サイト内検索で打ち込んでも出てこない。
「…漢字が違う?魔法の”ま”、洞窟の”くつ”で…王だろ?」
やっぱり出てこない。
「なんで…?」
まだ実装されたばかりの職業だったのか。
「まぁ、無いものは仕方がない…か」
少し考えればわかったことだが、
攻略サイトはスピードが命。
新設されたクエストの攻略情報なんて
始まった数分後には何かしらの記事が出ている。
仮に《魔窟王》が実装されたての職業だったとしても
全く情報ないのは不自然だった。
結局、寝てど暮らせど情報が出てくることはなかった。
答えを見つけたのは
意外にもゲームとは関係のない
一般ニュースサイトのとある記事だった。
「え…アカウントが500万円っ!!?」
それは、某オークションサイトで
「COS」のパッケージ版が
500万円で落札された、という記事だった。
育てられたアカウントが
高額で取り引きされるのは知識としてはあったが
500万円というのはあまりにも法外な額だ。
激しく興味をそそられたユウゴは
既に終わっているそのオークション画面を探した。
「うわぁぁ、マジで500万だし…。初めて見た、こんな額…」
正確には500万とんで13円。
入札者の数10529人。
次点の入札者は500万円。
13円差で負けたこの人は
どういう気持ちだったのだろう。
『落札後、○日以内に…、ノークレーム、ノーリターンで…』
オークション取り引きにおける注意事項の下に、
『このアカウントはレアな職業である《女衒》が使えます。初心者には不向きのアカウントですので、よく考えて………』
「…女衒?」
その語句を攻略サイトで検索すると今度は出てきた。
『女衒ーぜげん(バスターだこのクソ野郎っ!)
全ステータス中程度
魔法は一切取得しない
あらゆる性別♀を使役できる
・モンスター、NPCは高確率で、プレイヤーは低確率で使役可能
・一旦、使役に成功すると
プレイヤーは一定時間経過で解放
モンスター、NPCは死ぬまで使役できる (っていうぶっ壊れ)
・媒体が使役されている間に得た収入(ゴールド、経験値、アイテム)は全て使役者のものとなる』
誰でも編集できるタイプのサイトなので
所々、個人の感想が入っている。
「《バスター》…?」
続けて《バスター》のリンクに飛んでみる。
『《バスター》
パッケージ版のCOSに、極々稀な確率で
ぶっ壊れ性能の職業が発現するデータがあることが判明。
現時点で存在が確定している《バスター》は
《ボステイマー》
《魔具師》
《女衒》
の計3種…』
「…うげっ」
魔具師を除く、《バスター》所持者の情報が
アカウントからSNS、学歴、勤務先に至るまで全て晒されていた。
補足がある。
『なお、この3種以外にも《高威力の魔法を写本化できる職業》、《武器の有効射程を変えることのできる職業》、《プレイヤーを喰らう職業》が存在する可能性が…』
ユウゴはあんぐりとしていた。
ゲームを始めて一週間。
このゲームにそんな裏の顔があったのか。
「もしかして…《魔窟王》も《バスター》…?」
そう考えると情報が無いのも納得だった。
ユウゴしか持っていない職業なのだから。
あらゆるサイトで検索をしていたが
一向にヒットする気配がなかった。
まるで、自分一人だけ
別のゲームをしているかのような感覚だった。
「…これはヤバいな」
納得すれば嬉しさよりも恐怖心が芽生えてきた。
このご時世、"身バレ"なんて
人生が終わるのと同義だ。
興味からの羨望。
羨望からの憎悪。
気持ちはわかるが、
色々と晒された当事者は堪ったものじゃない。
そうとわかれば早急にやらなければいけないことがあった。
今まで《魔窟王》と検索したサイトに飛び、
語呂が近い単語で何回も検索する。
サイトの管理人は検索履歴が閲覧出来るはずだ。
《魔窟王》の存在を知られるわけにはいかないので
カモフラージュを施す。
もう手遅れかも知れないが、何かせずにはいられなかった。
ダンジョンクリエイトそっちのけでその作業に没頭する。
それを二ヶ月間続けた。




