【46】
"スイッチ"の入った銀次は、
狂戦士の職業特性、《狂人の対価》が発動した。
身体が一回り大きくなり、肌の色が銀色に変色する。
狂戦士は戦闘中には、あらゆる指示を受け付けない。
その対価として、攻撃力、防御力が大幅に増幅され、それが見た目にも現れる。
「グハハハッ!グハハハッ!グハハハッ!」
本人の意思に関係なく、血走った目で、笑いながら殺戮を繰り返す。
戦略も何もなく、ただ目に付いた者から片っ端に攻撃していく。
向かってくる敵は《☆4 百眼髑髏の棍棒》で豪快に薙ぎ払い、
恐れをなして逃げ出せば、背後から容赦なく叩き潰した。
その様はまさしく狂人であった。
対照的に桜は、必要最低限の力で敵を屠っていた。
繰り出された攻撃を紙一重でかわし、一撃で急所を突く。
辺りには、ほとんど損傷の無い死体が所狭しと転がっていた。
桜はそれに意識を取られないよう注意する。
やはり人の死体を見るのは抵抗があった。
ただ、桜は気付かなかったが、
ほとんどの敵を首を狙って仕留めていたため
おびただしい返り血を浴びていた。
戦い方に差はあれど、生みだされた結果に違いはない。
運良く、この明星の殺戮パーティから逃げ切ることに成功した者の恐怖の伝染力は強かった。
二人が、《鮮血姫》、《隻腕の狂人》と
渾名されることになったこの戦いは、それほどまでに一方的なものだった。




