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46/62

【45】

「それにしても全然喋ってくんねぇな、桜ちゃん」


「…」


「ずっと一人で喋ってるじゃん、俺」


留守番を命じられた二人は馬車で時間を潰していた。


「…さっさと自分の馬車に戻れ」


ここまで違う馬車で来たため、始めはそれぞれ別々だったのだが、

暇を持て余した銀次は、桜のいる馬車に乗り込んできた。


「だってさぁ……ヒマじゃん?」


「チッ…」


「攻略ギルド同士、親交を深めようと思ってさ」


桜が剣の柄に手をかけた。


「おっ!なになにぃ?剣士らしく剣で語り合うって……」


「シッ、黙れ!」


桜が真剣な表情をしているのに気付いた。


「どうしたっ?!」


銀次も武器を手にしようとした瞬間、

馬車の外から、座っている場所目掛けて剣が突き刺された。


「ゲ……ゴ、ゴフッ」


銀次から変な息が漏れ出た。


「ダッサ…」


「なっ?!ちょっとは心配しろよな!見ろよ、コレ…」


腹からは二本の剣が生えていた。


「私達がそんなくらいで死ぬ訳がないだろう」


「まぁな」


桜と銀次は馬車の天井を突き破り、飛び出した。

銀次を刺した二名もそのまま引っ張られている。


桜は辺りを見渡す。


「ほぅ。壮観だな」


広い草原には馬車しかなかったはずが、

その馬車を取り囲むように人が(ひし)めきあっていた。


「で、お前ら何者だ?」


刺されたままなのを忘れているかのように

刺している男達に尋ねる。


「ヒッ、ヒィィィィィ。な、なぜ死なないんだ…」


男達は剣を放し、後退った。


「銀次、コイツらNPCか?」


桜はNPCとプレイヤーの見極め方を知らない。


「多分、としか言えないな。前に襲ってきた奴等と同じ服装だ。俺たちプレイヤーはこんなダセェ格好はしないだろ」


「それもそうだ」


襲撃者達は、赤の装束に身を纏い、三角帽を被っていた。


「困ったな…」


まだ桜は動き出そうとしない。


「おい。何をしてるんだ?」


「マコトとの約束が…」


NPCへの攻撃は禁止されていた。


「ああ、あの"決まり"か。…意外とバカだな、桜ちゃん」


銀次は呆れた目で桜を見る。


「な…バカっ?!」


「見ろよ、コレ」


腹に刺さったままの剣をツンツンと触る。


「コイツら、俺達を殺す気だぜぇ?」


銀次は凶悪な笑みを浮かべる。


「よって、これから起こることは"正当防衛"だ」


桜もつられて笑みを浮かべた。


「なるほど…」


命を危険に晒してまで約束を守る義理はない。


二人は武器を構えた。





「あ、桜ちゃん。始めに言っておくけど…」


「チッ。なんだっ!?」


桜は、戦い始めの"ノリ"を邪魔されイラついた。


「俺、"スイッチ"入ったら戦闘が終わるまで止まれないから」


申し訳なさそうに告げる。


「……問題ない。私も似たようなものだ」


二人はお互いを確認し合う。


「よっしゃぁぁぁ!いっちょやりますかぁぁぁぁ!」


銀次が高らかに吠え、戦いは始まった。

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