【36】
「きゃ、却下だ!それ却下ぁ!!」
マコトに突っ込まれたシリウスは呆然とする。
「……何か問題でも?」
「問題しかないだろ!イザナギさんから何て聞いてるんだっ?!」
「『ガハハ、暴れてこい』とだけ…」
「「「……」」」
開いた口が塞がらない。
「シリウスさん。今回は俺に任せてくれないか?」
「……」
「会議の場でも言ったんだが、ソルティキャットさんとは個人的に知り合いでね…。何としても無事に取り戻したいんだよ」
ユウゴが手を握り締めているのがわかる。
「私めは問題ありません。皆様方はどうですか?」
反対の手は挙がらない。
どころか、頷いている者もいる始末。
「で…では、マコトさんにお任せ致します」
「ああ、宜しく頼む」
「ところで一つ聞きたいんだが、NPCって死ぬとどうなるんだ?」
「普通に死ぬぞ」
答えを知っていたのは《宵闇の疾風》銀次だけだった。
「すまん。その"普通"がわからん」
「"転送"はされない。死体は残ったままだ。普通だろ?」
銀次が淡々と答える。
「銀次……。あなたNPC殺したの?」
妖魔師マイラが恐る恐る尋ねると同時、冷ややかな視線が銀次に集まる。
「ちょ…ちょっと待ってくれ、誤解だ!襲われたから返り討ちにしただけだ!」
「襲われた?」
代表してマコトが聞いた。
「そ、そうだ。盗賊か山賊か忘れたが、いきなり仕掛けて来やがったんだ」
「へぇ。それで殺したの?」
「当たり前だろ。殺らなきゃこっちが殺られるんだから!」
「で、死体は消えなかったと……」
「ああ、あれは気持ち悪かったぜ。まさしく自分が人を殺したんだ…。モンスターなら慣れてるんだがな。PVPもそれなりに経験はあるが、プレイヤーは死んだら"教会"送りだもんよ」
「なるほど……」
人が死んでいる光景なんて、そうそうお目にかかるものじゃない。。
マコトは思案する。
「この作戦の第一目的はソルティキャットさんを無事に取り戻すこと。そして、"子供"達の保護……」
「了解」
「……ただし、NPCへの攻撃は禁止とする」
「…なにっ?!」
「(桜ちゃん……。どうしても皆殺しにしたいのね…)」
桜と同じく銀次も噛み付いてきそうな勢いだ。
「……ソルティキャットさんは、NPCとの共存を計っていたのは知っているかな?」
「存じませんね」
「アタシも」
「そもそも会ったことすらない」
「だな」
「今回は《やっぱり猫好同盟》の依頼だ。ギルマスさんの気持ちを尊重したいと思う」
マコトが皆を見る。
「ボクは賛成です。無益な殺生は好みじゃない」
ゼロスが一番に賛同してくれた。
「アタシもオーケイよ」
「「……」」
「勘違いして欲しくないんだがな…」
マコトは桜と銀次に向けて言う。
「この件が終われば自由にしてくれて構わない。NPCを殺そうが何しようが、各々のスタイルに口を出す気はない。ただし、今回は俺に……というより依頼人の意向に従ってもらう」
「…わかった」
「…ああ」
「というか二人は"留守番"だけどな」
「「えっ?!」」




