【35】
サラが向かったのは"ウロ"達を閉じ込めている大広間の隣。
しっかりと施錠された個室だった。
施錠を解き、扉を開けた。
「ちょっとお嬢ちゃん…。レディの部屋入る時はノックぐらいせなアカンで?」
入るなり軽口が飛んできた。
「そのレディが聞いて呆れるわね。散々喚き散らしておいて」
この大柄な女は、抵抗こそしなかったものの、
責任者に会わせろの一点張りでろくに話をしなかったらしい。
「お待たせ。私がその責任者よ」
「へぇ…お嬢ちゃんみたいな可愛い子がねぇ」
「っ……」
サラは一瞬、ムッとしてしまった。
「フフフ、わかりやすい子やな。その反応でお嬢ちゃんがどれだけ苦労してるかわかるわ……」
「ど…どういうことよ?!」
「まぁまぁ世間話はやめとこか。そんなことよりなぁ」
「……」
「私と"子供"らをさっさと街に返さな、えらい目あうで?あんたら」
「そんな戯れ言を聞くと思ってるの?」
この女が"ウロ"の事を"子供"と呼んでいるのは知っていた。
「別に脅してるんちゃうで。忠告してるんや」
「……」
女には恐れや怒りの感情はない。
「聞こうかしら?」
今なら詳しい話を聞けそうだ。
初任務にケチを付けられるわけにはいかない。
情報は持っておいて損はない。
女が口を開きかけたその時、近くに蝿が飛んできた。
シッシッと追い払うが、まとわりついて離れない。
「あっちゃぁぁ…。お嬢ちゃん、時間切れやわ」
「なに?」
「一個だけ言うとくわ…。絶対に抵抗したらアカン。そう兵隊に伝え。死にたくなかったら抵抗するなって」
「だから一体何なのっ?!」
「つまりはこういうことですよ」
サラは、スゥっと闇から現れた何者かに拘束された。
そして首筋に冷たい感触が走る。
「いっ!?ひっ………」




