【3】
「一体、なんなのよ…これ」
マコト、タケが戦闘を始めたにも関わらず
ミカりんはまだ茫然としていた。
「は、早くオレの後ろに下がって!」
「……」
「モンスターが来るぞ!早く!」
「……」
「おい、ミカりんっ!!」
魔術師のミカりんは受けに滅法弱い。
そんなミカりんをサポートするのはユウゴの役目だ。
「だ……だからぁ!ミカりんって言うな!そう呼んでいいのはリア友だけだからね!私は"エレノア"よ!」
「ふふ。だよね」
いつものやり取りに安心したのか、ミカりんの意識と身体が繋がったようだ。
「……まずはコイツらをなんとかしないと…」
とあるモンスターに憑依したままのユウゴは
マコトとタケの元に向かう。
「マコちん、タケ。状況が状況だ。パワレベは止めよう。いいね?」
パワレベとはパワーレベリングのこと。
低レベルプレイヤーのレベルを一気に引き上げるため、
高レベルプレイヤーを連れ、高難度ダンジョンで一緒に戦う行為。
「「当然だっ!」」
二人に突っ込まれたユウゴが今日憑依していたモンスターは大地神の愛妾。
魔法出すべく念じると、身体が勝手に動き出した。
《ネルトゥス》は紫の瞳を閉じ手を合わせ祈り、魔法を放った。
「《豊饒の生贄》」
足元一面に闇が広がる。
闇はモンスター全てに広がるや否や、流砂にでもなったかのように群れを呑み込んでいった。
「……さすがだな」
ピンチを脱する度、いつもなら手放しで喜ぶマコちんも心なしか元気がない。




