【23】
引き取り手のいない"子供"。
ギルドが全滅してしまった場合や、引き取りを拒む、もしくは名乗りでない場合は、
その"子供"は教会の預かりとなる。
元プレイヤーである"子供"を放っておけない街の住人は、
教会に寄付をしたり、その世話をしたり、何かと気に掛けていた。
個人では限界があるため、ギルド単位での活動が主だったのだが
中でも《やっぱり猫好同盟》が一番大手、且つ、非戦闘ギルドということもあり、
その実務の大半を担っていた。
ところが聖天騎士団はその活動をよく思っていなかった。
教会は聖千騎士団の管轄。
寄付は有り難いが"子供"の世話はこちらでやる、と。
要するに「お前達はゴールドだけ払っていろ!」ということらしい。
ただ、これには潮含め、他のギルドマスター達も特に異論はなかったそうだ。
正直、皆自分達のことで一杯一杯だった。ゴールドだけで済むのならと。
それがつい先ほど。
三人が帰って少し経ってから聖天騎士団が突然現れた。
武装した20人ほどの小隊だった。
どこに立ち寄ることもなく、そのまま教会へと向かったので安心していたが、その内、"子供"の叫び声や泣き声が聞こえ出した。
一体、何事か、と潮が教会に向かうと、"子供"達を聖千騎士団の本部へ連れて行くと言う。
何のために、と聞くと、なんと"子供"を奴隷として使うためだ、と。
聖天騎士団曰く、プレイヤーが"子供"と呼んでいるそれは、
こちらの世界では"ウロ"という名称で通っており、時たま発生するそうだ。
"ウロ"の物心がつくまでの期間、奴隷として使うのが聖天騎士団の慣習、とも言っていた。
とてもじゃないがそれは容認出来ない、と潮が抗議していると、騒ぎを聞き付けた他のギルドやプレイヤーが集まり、騎士団を取り囲んだ。
すると、多勢に無勢と思ったのか、聖天騎士団の一人が剣を抜いた。
当然、街の中は戦闘不可地域。馬鹿なプレイヤーが、そうとは知らないであろう騎士を挑発したところ斬りつけられた。
「なにっ?!攻撃されたのか?!」
「……はい。プレイヤーは、実際にダメージを負いました…」
「バカな……」
「他のみなさんもそう言っていました」
「そりゃ、そうだろう。街で剣が抜ければ状況が一変するぞ…」
「ええ、そうとも…。…但し、私達は攻撃出来ませんでした」
「…どういうことだ?」
プレイヤーが攻撃されると、皆、驚きに包まれながらも一斉に臨戦態勢をとった。
ある者は剣をとり、ある者は弓矢を構え、ある者は魔法の詠唱を始め。
ところが、一切の攻撃が発動しなかった。
「何か、特殊な阻害魔法でも使っていたのか?」
タケはユウゴのダンジョンにおけるギミックを想像した。
「…いえ、違いました」
「違いまし…た?…原因がわかったのか?」
「はい。実に単純なものでした」
「なんだ?」
「戦闘不可なのはプレイヤーだけです。NPCには当てはまりません」
「マ、マジか……」
「はい。ウチの常連さんであるNPCに協力してもらいましたから間違いありません」
「……」
おそらくそのNPCに攻撃でもしてもらったのだろう。
実際にダメージを喰らうのかどうか。
「…ソルティキャットは何故さらわれた?」
肝心なのはそこだ。
「はい。こちらが臨戦態勢になると、騎士団も同じように武器を抜いて一触即発状態だったんです。ところが、こちらが攻撃出来ないと知るや否や、マスターを拘束しました。反乱を煽ったとかどうのこうの言って"子供"達と一緒に……」
パルムはその時のことを思い出したのか、言葉を詰まらせた。
「で、どうするんだ?…取り返しに行くのか?」
「も、もちろんですっ!!」
心外です、とでも言わんばかりの勢いだ。
「それをちょうどみなさんと話していたところだったんですが……あ!忘れてた!」
「……みなさんって?」




