#14 絡まれる?
「おい、あんちゃんたち、待ちな。」
俺たちと出口の間にスキンヘッドの男とモヒカン男が割り込んできた。
「遅かったか。」
「俺たちゃ知ってんだぜ。あんたら、依頼をクリアするために自分たちで討伐しに行かずに他から買ってきたんだろう。魔石を売らないのもそのためだ。そんな金があるんだったら、俺たちに恵んでくれよ?なぁ‼︎」
スキンヘッド男が脅しをかけてくる。俺はそれを無視して受付にいるキーナハに助けを求めるが、キーナハは俺に笑顔を向けてくる。
あれは、「今助けを呼びますから待っててくださいね。」の笑顔ではない。「私に面倒なんで自分で何とかして下さいね。」の笑顔だ。どんだけ面倒くさがり屋なんだ。
「おい聞いてんのか。金出せって言ってんだよ。」
スキンヘッドが詰め寄ってくる。
「兄貴がこう言ってんだ、出した方が身のためだぜ。ヒヒヒッ。」
モヒカン男もスキンヘッドに同調してきた。
「なんであなた達に私たちのお金をあげなきゃならないんですか。」
シャルが言い返す。だが、
「いいですよ。はい、1万ゴールド。」
俺はアイテムボックスからさっきの報酬の銀貨を取り出し相手に投げた。
ここでこいつらと面倒ごとを起こすのもやだし、これからもしつこく絡んでくるならこの街を出て違う街で活動すればいい。
「へへ、話がはえーじゃねーか。ついでに魔石もだしな。」
俺が投げた銀貨を手で弄りながら、そう言ってくる。こいつらさっき、俺たちが魔石を持ってないだとか言ってたくせに調子のいい奴らだ。
「すみません、もう魔石は他のところで売っちゃったのでないんです。」
これはもちろん嘘だ。ちゃんと魔石はスキルカードにしてアイテムボックスにとってある。
「ハッ、使えねー奴だ、しょうがねー魔石の代わりにその女で我慢してやるよ。」
「なっ...」
シャルが驚きの声を出した。こいつらシャルをよこせと言ってきやがった。
「ふざけんな、断る。」
「アァ!?なんか言ったか、てめー‼︎」
スキンヘッドが俺の首元掴んで顔を近づけてきた。
「断るっってんだよ。聞こえねーのか、てめーの耳は頭の髪みたいに禿げてるんですか?バカなんですか?だいたい、なんでてめーらみたいな顔面廃棄物にうちのシャルをあげなきゃなんないんですか?家の鏡で自分の顔を眺めながら生まれてきたことを後悔してこい‼︎」
「テメー、調子に乗りやがって!」
スキンヘッドは怒って俺の顔面を殴る。
「グッ、」
頬が痛いがこれで俺はこいつらをぶっつぶせる理由が出来た。でもマップではこいつらの方が強い。だから俺はアイテムボックスからバッファローのスキルカードを取り出す。
「すまん、シャル、お前の魔石使わせてもらうわ。」
「それってどういう...」
一応ことわりをいれて15枚のスキルカードを使う。
・・・・・・・・・・・・・・・・
ナカヤマ・レン
スキル バーサーカー+15、突進+15(new)
・・・・・・・・・・・・・・・・
「バーサーカー」
俺はそう呟くと意識が遠のいていく。