表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

占い鳥の話。選ばれた村と選ばれなかった村(ショートショート)

作者: 藻ノ かたり
掲載日:2026/06/16

昔々、村々を訪れた占い鳥は……。

昔々、色々な村々におかしな鳥が現れました。生き物のような、作り物のような、どうもはっきりとしない代物です。


その鳥はひとしきり村を徘徊した後、激しく鳴いたかと思うと、口バシをぱっくりと開きました。そして口の中のものを、集まった村人たちにこれ見よがしに見せるのです。


中から現れるのは、決まって”首”でした。


鳥のノドチンコに当たる部分に、ある者たちの頭部のみが現れるのです。


”ある者たち”は、大きく二つの種類に分かれました。一つは如何にも禍々しい鬼のような顔。もう一つは豊穣の女神ともいえる端正な顔立ちの女性の顔でした。


おかしな鳥は、自らの喉の奥を村人たちに見せると、どこへともなく消えていきます。しばらくは呆然としていた村々の民たちですが、やがて誰ともなくこんな事を言い始めました。


「あれは、村の運勢を占う鳥に違いない。喉の奥にいたのが鬼ならば村に凶事が起こり、女神ならば吉事が起こる前触れに相違ない」


最初は単なる噂でしたが、それがどんどん真実のように語られ始めます。


女神を見せられた村の民は、おおいに喜び勇んだものの、それが高じて自分たちは選ばれた民なのだと豪語し始めました。そして、鬼を見せられた村々を蔑むようになりました。やがて村々は「女神の村」と「鬼の村」に仕分けられ、様々な格差が生まれます。


さて、それから数年後。おかしな鳥が現れた村々に変化が起き始めました。


え? 女神の現れた村に幸福が、鬼の現れた村に不幸が訪れたんだろうって?


いやいや、ところが全く逆なのです。


鳥の喉に女神が現れた村々には大きな不幸が、鬼が現れた村々には大きな幸福が舞い降りました。


どうしてでしょう?


実はですね。タネ明しは、こんな感じなんです。


あのおかしな鳥。本当は占いをする鳥などではなく、単に、土地の精霊を食べてしまう鳥だったのです。鬼も豊穣の女神も、土地の精霊の一種なのは言うまでもありません。


もう、おわかりですよね?


鳥の喉に鬼の顔があれば、それは土地に凶事をもたらす精霊を食べ殺した事になり、逆に女神の顔があれば、それは豊穣をもたらす精霊を食べ殺した事になるのです。


つまり村人たちが考えたのとは逆に、鳥の喉に鬼の顔があればその村は幸せになり、女神の顔があれば村は不幸せになるのでした。


その後の村々がどうなったかといいますと、幸せになった村々では、自分たちを蔑んだ村々を逆に侮蔑するようになり、不幸になった村々は、幸せになった村々を逆恨みするようになり争いが生まれました。それはエスカレートの一途をたどり、やがては全ての村々が不幸になりました。


まぁ、人間の浅はかな考えで自然の営みを捉えれば、それは愚かしい結果を招くばかりであるというお話です。


皆さんも、世のつまらぬ解釈に振り回されて一喜一憂していると、こういった村々の民と同じ道をたどる事になるかも知れませんよ。


どうか、お気をつけて。



【終わり】


(気楽イラスト805のキャプション)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ