呪わせていただきます
初書きのSSです
女が私の部屋に入ってくる。
「呪わせていただきます」
そういうと、幽霊はあっけなく消える。
冷たい風と、存在感を残して
「…はぁ?」
一拍遅れて声がでる。
ばかばかしいのだ。
「意味わかんない。明日も仕事だし、嫌がらせ?死んでもお気楽なことね。」
そういってエアコンを消し、眠りにつく。
でも次の日から、不幸なことが起こり始めた。
財布を忘れる。仕事でミスをする。営業に失敗。
偶然だと思いたかったが、あの言葉がひたひたと背筋に上ってくる。
「よし、お祓いに行こう」
いくつも神社を廻り、いくつも寺を廻り。
ようやく、お祓いしてもらえた。
「もう平気ですよ。呪いは解けました。」
男は、にこりと笑って言う。
私は、安心して眠りにつく。
これで不幸に悩まされずに済む。
次の日の夜、私は軽くなった体で祓ってくれた男に会いに行く。
部屋の扉を開ける。
「あら、意外と綺麗。営業の甲斐があるわ。」
男は驚いているのか、口をパクパクと開けている。
私は鼻で笑いながら、呪いをかける。
「呪わせていただきます」
私の言葉で、崩れ落ちる男を見ながら思う。
「この業界も、競争がすごいわね。ノルマ達成できるかしら。」
また呪う人を見つけに行く。
それにしても、呪いとけてないじゃない。おかげで死んだわ。
まったく、死んでも働くなんて休みが欲しいところだわ。
「休みなんて結局、幻想なわけ。死んでも働くなんて、最悪。」




