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魔法の使えない魔法使い  作者: 只野 凡


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48 襲撃者

 

 

 …きて…。…起きて。


 沈んだ意識をゆっくり、揺り起こすような声が聞こえる。

初めは朧気だったその声が、少しずつ輪郭を帯びていく。


「起きて。アイリ。」


「ん…」


鮮明に聞こえた私を呼ぶ声に、意識が覚醒する。

重い瞼を開けると、少し不貞腐れた顔をしたリンと目が合った。


「…おはよう」


まだ起きていない頭で挨拶する。


「ん。…おはよう。昨日は酷い目にあった。」


身体を起こしながら、昨夜のことを思い出す。身体強化をやろうとして、多分…私の魔力からうまれた衝撃で…そうだ。


「…ごめん。怪我はない?」


「ないよ。ただ、漏れた魔力の衝撃を受けただけ。息苦しかったけど。」


申し訳なさを感じつつも、どうしても昨晩気になっていたことをリンに質問する。


「ごめん…でも私、身体強化…できてたよね?」


「…そうだけど…発動までが酷すぎる。漏れた魔力があれじゃあ……アイリならいいのか。」


満点とはいかないながらも、その評価に満足する。

発動までに問題があるようだが、身体強化はしっかりとできていた。

今はその事実が嬉しかった。


緩む表情を引き締めるように、問題点に目を向ける。

無駄に漏れ出た魔力。それが今後の課題であることは明白だ。

リンの言う通り、はみ出た魔力も何事もなく体内に戻ったが、普通はできないらしい。そのことを考えると、あまりにも無駄が大きい。

要練習だろう。


それでも、リンには怪我がなく、私も新たな技術を習得したことが嬉しかった。

起きたばかりの身体を軽く伸ばす。

眠りについたのが夜遅かったからか、万全とは言い難い身体を伸ばす。

まだもう少し寝ていたい気持ちは強いが、外は薄っすらと明るくなってきている。

クロとの約束の時間は近そうだ。早く準備しなくては。


 扉の方に目を向けると、私によって壊され、私によって応急処置を施された扉があった。リンが同じように、扉を見つめて話しだす。


「身体強化…すごいけど、今度何かを教えるときは外。…とりあえず、謝りに行こう。」


「…私がやったんだから、私が行ってくるよ。リンは待ってて」


「アイリを宿に招いたのはわたしだから。責任はある。それに、お姉ちゃんだから。」


リンは任せとけ言わんばかりに胸を張る。

お姉ちゃん。そう言えば門を通るための言い訳に使っていたな。意味はなかったけど。まだ、続いていたのか。


「じゃあこれ。開けて?」


扉の前に向かったリンがコンコンと扉を叩く。魔力で止めていることはお見通しのようだ。魔力の紐を解こうとしたところで、思いつき、リンに聞いた。


「これって、リンは切れるの?」


クロに破られた時のことを思い出す。

あのときは膜にしていて、状態は異なるが、私の魔力は簡単に切られていた。もし、簡単にできるのなら使い方を考えなくてはならない。


リンは少し考え込むようしたあと、瞳を赤く染めた。

扉から一歩離れて、扉と私の魔力を視る。

数秒後、魔力を帯びた手を伸ばし指先を糸に当てた。


 瞬間。


パチッと音がして魔力の糸がはじけるように解かれる。固定されていた扉は支えを失い、バタン!と盛大に音を鳴らし床に倒れた。

リンはそれを気にすることなく振り返り、得意げな表情を浮かべる。


「ちょっとコツがいるけど、できるよ。」


鮮やかな手際に感心して、彼女にパチパチと拍手を送る。

心からリンを称賛したかったが、正直私の心境は複雑だった。


簡単に解かれてしまった。

そこそこ頑丈だと思っていたが、実のところそうでもないようだ。対処法を知られていたら、簡単に破られる。この魔力が、私の命綱。そのことを考えれば、こうも容易く破られるという事実は、あまり嬉しいことではなかった。


明確にある私の弱点。今回の依頼の前にしっかり聞いておいたほうが良いだろう。


「それってどうやったの?クロと同じ?」


「これは…  


パリン!


リンが口を開いた瞬間。窓ガラスが割れる。

私はガラスの破片から、リンを庇うよう窓ガラスに背を向けた。

その最中、窓から入ってくる影を認識した。突然の襲撃者。すぐそちらへ向き直る。 


影は、そのまま部屋の中央に着地し、わたしたちには興味がないかのように、無視して、辺りを見回した。

部屋の確認が終わったのか、最後にこちらを向いて、襲撃者。黒い影そのものであるクロは、口を開いた。


「襲撃か。敵は何処だ?」

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