表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の使えない魔法使い  作者: 只野 凡


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/55

47 4日目


 ドンドンドン!


ノックと共に部屋の外から何かを叫ぶ声が聞こえる。

相当な轟音が鳴り響いていたのだろう。

近隣の部屋からの苦情か。宿の店主か。

謎の既視感を感じながら、来客にどう対応するかを考える。

とりあえず、掴んだままのリンを、被害から逃れていたベットに寝かせた。


一息ついて、部屋の惨状を確認する。

焚き火の足しにしかならなそうな木片に姿を変えた憐れな机。

背もたれと別れを告げ、パタリと倒れた椅子。

そして、私たちが美味しく頂いた串焼きの串が辺りに飛び散っていた。


不幸中の幸いと言うべきか。被害は机だった物の周辺のみで、それ以外にぱっと見問題は無さそうにみえた。


少し安心してドアの方をみる。

先ほどよりノックの音が強くなっている気がする。今も、ドンドン、ドンドンと。繰り返し扉が叩かれている。


仕方ない。

考えは纏まっていないが、扉へ向かう。謝罪は絶対として、どう説明しようか…。

とりあえず、部屋の惨状は片付けるまでは見せないようにしよう。

場所も状況も違うが、来客の対応はこれで2度目だ。少しは心に余裕ができている。


自分の成長を実感しつつ、ドアノブに手をかけ、ゆっくりと捻る。

しかし、どうしたことか。そっと扉を開けて、顔だけで対応するつもりが、何かが引っかかっているように扉が開かない。

立て付けが悪くなっている。恐らく私が原因なのだろう。ここも何とかしておく必要がありそうだ。


「今、開けるよ」


一応、声をかけてから扉を開ける。

急に開いてしまった時に怪我してしまわないよう配慮する。


相変わらず扉を叩く音は大きく、何を言っているのかは分からないが、鋭く声をあげている。この様子だと私の声は届いていないだろう。


仕方なくそのままドアノブを捻り、押し開ける。


ボキッ


「あ。」


手元で、何かが折れる音が聞こえた。

嫌な気配を察知して、確認するように前を見れば、ドアは閉まったまま。

ただし、穴の開いた扉から、ドアノブと、私の腕だけが、しっかりと廊下へと飛び出していた。


「ひっ!す、すみませんでした!!」


扉の向こう側から、そんな声が聞こえた後、バタバタと急いで遠ざかる足音が聞こえた。


「あ、あの!」


手遅れだと分かっていたが、弁解をするべく急いで残った扉を押す。

メキメキと扉の根元が音をたて、バタリと倒れる扉とともに部屋の外へ。

床の一部となった扉の上を越えて廊下へ出る。ちょうど、逃げた人影が突き当たりの廊下を曲がったところだった。


「あっ…」


声をかけ損ねた。このまま追うことも考えたが、この場の惨状を放置するわけには行かなかった。

数秒立ち尽くした後、片付けを始めた。


まず、全ての原因たる右腕の魔力を、身体の流れに戻す。

そして、部屋を見渡し、この右腕の引き起こした現状を確認した


身体強化。本当に…すごい技術だ。

力を入れずとも、簡単に、すべてを破壊する事ができる。全身をこれで覆ってしまえば、私もイースのような動きをすることができるかもしれない。

などと、半ば現実逃避のようなことを考えつつ、片付けを始めた。


木片やバラバラとなったものは、まとめて端に寄せ、扉とドアノブだけは、魔力で作った紐でぐるぐるにして扉枠に固定した。

一段落つくと、急に眠気が襲ってくる。

リンや宿の人への謝罪は明日にしよう。

そう心に決めて、ソファに横になる。


今日も多くの事がありすぎた。明日は、明日で冒険者として初の任務だ…


早く…寝よう。


あれ…そう言えば集合場所。…どこ…だっけ


頭の中に浮かんだ疑問は、意識とともに、暗闇に溶けていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ