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魔法の使えない魔法使い  作者: 只野 凡


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42 冒険者アイリ



「ありがとう」

そう言ってグラスを返すと、受けったリンはそのまま私に質問する。


「お疲れ様。ギルドマスターとの話はどうだった?」


階段を降りて、リンの隣に並んで答えた。

「冒険者になったよ。依頼を受けるのに必要だっていうことで。冒険者証もすぐに受け取れるみたい」


「そっか。じゃあその木札は卒業だね。」


そう言って私の胸に下げている木札を見る。

数日間、私に居場所をくれた木札だ。こんな木札が、私の、私がアイリである証明をしていた。その事実に少し面白くなった。


「冒険者証があれば、もういらないの?」

木札を握り、リンに問う。


「そう。冒険者証は身分の証明として使える。金貨1枚。普通の人3倍の税金払ってるらしい。代わりに便利。これがないとはいれない場所もある。」


そう言ってリンは自分の冒険者証を取り出す。金属のプレートにリンと彫られていた。裏側を見せてくれる。

そこには引っかき傷のように縦に4本。そしてそれらを通したような横線1本の模様が何個も書かれていた。それらを見せた後、冒険者証を胸にしまい。彼女は言う。


「私のは3個目。棒の数が依頼達成数。難しい依頼だと本数が増える。裏面がいっぱいになったら新しいのと交換してもらう。…あ。やらないと思うけど、自分で傷を書くのはなし。犯罪だし。ギルドにはすぐバレる。」


ちょうど疑問に思っていたことを言われ、心臓が跳ねた。傷なんて簡単に増やせると思ったが、ギルド側が特別な判別方法を持っているらしい。そのつもりもなかったが、変なことはやめておこうと思う。


話を聞くに、ギルドは冒険者証にある傷で、冒険者の能力を見ているようだ。

交換された冒険者証も管理してカウントしているのだろう。

単純だが、わかりやすい方法だと思った。


にしても、ジェイルからそのあたりは説明をされなかった。簡単にとは言ったが、省くにはあまり良くない気がする。


「アイリ様。いらっしゃいますでしょうか」

ロビーの受付から私を呼ぶ声が聞こえた。ジェイルの事を考えていたからか、少し身体が跳ねた。なぜだか悪いことをした気分になる。


リンに目配せして、一人で受付まで向かう。

にこやかな表情を浮かべた女性が私を見て、確認を取る。


「アイリ様でいらっしゃいますね」

私が頷くと、冒険者のルールの説明が始まった。

大まかには、ジェイルとリンが話した通りだった。

新しく聞いたこととして、冒険者証発行する時も、金貨1枚が必要だそうだ。

私の場合はジェイルが出してくれたらしい。

通常のかけだしはギルドに借金をするのが一般的だという。また、冒険者証をを紛失した場合、それが1枚目であれば、再登録で金貨1枚が再度必要なる。2枚目以降の場合は、銀貨4枚となるそうだ。一応気に留めておく。


「……質問もないようですので、以上で説明を終わります。これからよろしくお願いします。アイリ様」


機械的な説明が終わり、受付の女性から小さく穴の開いた銀色の板を差し出される。

両手で受け取り、じっくり視た。

手のひらより少し小さい金属の板。その真ん中に『アイリ』と刻み込まれている。

よく見るとほんのり光を帯びている。魔法がかけられているようだ。なんの魔法かは分からないが、先ほどの不正防止の手段か何かだろうと思う。


アイリの文字を指でなぞる。金属の板に彫られるその文字の感触を確かめる。

しっかりと彫られたアイリという文字。それが無性に嬉しくて、両手で包み込むように強く握りしめた。


女性に頭を下げ、受け取った冒険者証を木札の代わりに首から下げる。


今この瞬間から、私。アイリは冒険者となった。





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