40 報告書
壮絶な話合い?の末、クロが折れたのだろうか。ジェイルに紙とペンを要求し、数分で何かを書き上げてジェイルの机に置いた。
そこには大きく見出しで、報告書と書かれており、長々と文章が続いていた。
***
報告書
任務 アールイにおける第三王子失踪事件及び、無差別失踪事件の調査及び解決
担当者 クロ
アールイに滞在していた第三王子が3日前から消息不明。箝口令のもと、調査開始
調査結果
アールイ内での失踪者が先月より10%の上昇している。王子同様消息不明者が存在
他国による誘拐の可能性
詳細
門番として数日間街からの出入りを観察し、アールイ内で完結していると確信。犯人と失踪者はアールイから出ていない
部下からの報告により、失踪者の共通点として、魔法の適正の可能性。
第三王子は闇魔法適正者である
失踪した数人の魔力適正を確認。いずれも闇魔法の適正者
魔力伝心により、闇魔法の適正持ちを確認。
現在判明者、合計274名
魔力伝心中、強い闇魔力を感知。対象は逃走。現場に4名の子供を確認
子供のうち1名が魔力伝心により、闇魔法であると判明。
背中に、大型の発動式を確認
対象を追跡。失踪するまで監視。可能な限り人気の少ない場所に移動させる
逃走中、男二人による襲撃。危険度軽微。
引き続き監視
大通りで警戒人物、自称魔女と接触。
そのまま子供は逃走。男のうち1名、冒険者により討伐。冒険者の介入により、対象の孤立化失敗。男一名の回収
回収中、対象の子供の周辺で、微弱な救難信号を感知
冒険者2名、自称魔女と闇魔法を使用する男との戦闘を確認
捕縛失敗。襲撃者の男のうち1名を殺害
課題
魔力探知のできる人員の不足
魔女の瞳を持つ冒険者、及び警戒人物自称魔女に協力を依頼。
監視と継続して任務を続行
***
数分で書いたとは思えない調査書を全員で確認後、各々反応は様々だった。
ガルンは「第三王子の失踪!?」と驚愕の声を上げ、エイル、イースは深刻な顔をして沈黙する。
リンも何やら考え込んでいるようだ。
ジェイルは頭を掻きむしり、クロに溜息と共に愚痴を吐く。
「…極秘の任務の報告書を見せてしまったら拒否権は与えられんだろうが……。」
ジェイルは咳払いをして、ガルンたちの方へ向き直る。
「…ということだ。現在、アールイは非常にまずい状況にある。詳細を知ってしまった以上、私からも協力をお願いしたい」
頭を下げるジェイルに、ガルンは胸を張って告げる。
「任せてくださいよ!この街には随分お世話になってるんだ!俺らが何とかしてやりますよ!お前らもいいよな?」
私を除いた仲間たちに確認をとる。
エイルは無言で頷き、リンとイースも何か葛藤があったのだろう。しばらく考え込み、最終的には頷いた。
これでガルンのパーティは全員クロに加勢することになった。
残った私に全員の視線が集まる。
一件落着したと思っていたが、どうやらあの一件は物語の序章だったようだ。断れない雰囲気に、このまま流されるように参加せざるを得ないことを察する。どうやら魔法の勉強はしばらくお預けらしい。皆に聞こえないように長い息を吐いた後、私は答えた。
「乗りかかった船だ。私が必要だというなら力を貸そう。君も監視でも何でも自由にしてくれたまえ!」




