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魔法の使えない魔法使い  作者: 只野 凡


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3 魔法

 私は魔法が使えない。


そんな言葉が頭の中に現れる。

しかし、そうであるならばこの身体に流れているものは何だろうか。

本には、魔力を持つものは発動式を通せば属性魔法が使用できると記されていた。

しかし、私が魔力だと思ったそれを、いくら流しても何も起きない。

何か間違っているのだろうか。


 私が最初に視た恐らく、魔法。

私をここに連れてきた、手紙と足元にある模様。発動式と呼ばれるそれの上に立ち、手紙に魔力を流すように触れてみる。


ぼんやりと光る。

驚きで目を大きく見開いた。

また、何か起きるのだろうか。今度は別の景色が待ってるかもしれない。

そう思い、光る手紙を握りしめる。



 そのまま待つこと数分。何も起きることはなかった。

それ以上の変化は手紙には見られなかった。

色々工夫もした。

流す魔力の量を増やしたり、両手で包み込むように送ったりしてみたり、多少、光の強弱は変わっていたのかもしれないが、それまでだった。

急に何処か別の風景に変わることはない。

ふと、大事なことを思い出す。


魔法に夢中になってすっかり忘れていたが、そういえばここはどこなのか。

疑問を解消するために、一つだけ、部屋にある扉に手をかける。

ドアノブを捻ると、全く別の景色が広がっていた。


 小さな家のリビングだった。

丸いテーブルに木製の椅子が2脚。

奥の方はキッチンだろうか。上からは照明らしきものが垂れ下がっている。どれもほこり被ってはいるが、廃墟などではなく、ちゃんと家だった。


 向かいの壁にある、窓から外を確認する。

そろそろ日が落ちる時間だ。赤い光が遠くの森に沈み込むのが見える。

森の手前にある大きな池には、赤い光を反射し、一筋の赤い光が辛うじて浮かぶ夕日から真っすぐ私に向かって伸びていた。


 窓から見える景色はそれくらいだった。


森に囲まれていることは同じだが、城の跡は何処にもなく、代わりに大きな池があった。確実に別の場所である。

あの光に包まれ、私が何処かに移動したことには間違いないようだ。


足元のこの魔法式は一体何なのだろう。

別の場所へ人を飛ばす魔法式?

それとも、場所と場所とを繋ぐトンネルのような魔法?

そんな魔法は、私の見た本には記されていなかった。炎をだしたり、風を操ったり、水を生み出したり、そんな説明のみだった。


そもそもなぜ、あの場所にそんな魔法が残されていたのか。ここに繋がっている理由は何か。疑問が尽きることなく湧き出てくる。


しかし、その疑問の答えを出すには、私の魔法への知識は余りにも少ない。どれだけ頭捻り考えても、私の持つ魔法の知識は本1冊分。

それも私自身、魔法はここに飛んできた時を除き、発動させたことすらない。

テーブルと椅子の埃を軽く落としそこに腰掛けてもう一度本を開き、何度魔力通しても発動しない魔法式を指でなぞる。


 魔法。どうして私はここまでこの力に惹かれているのだろうか。知りたい。その本質を解き明かしたい。という欲求が止まらない。


幸いここにはいろんな書籍がある。

魔法に関するの本もこれだけではないに違いない。思えばこの本に惹かれるように取り出していたが、まだ本棚を詳しく見ていなかった。きっとより多くの魔法の知識が眠っているはずだ。

早速本棚あった書庫に戻る。

先ほどまではただの本棚にしか見えなかったそれは、宝の山のように見えた。


 どの本をから手を付けようか。本棚の本の背にはどれもタイトルのようなものがなく、一目ではどのような内容の本なのか分からない。とりあえず、先ほど取り出して空白になっていた場所のすぐ隣の本に手をかける。


今、私は興奮している。胸の高まりが止まらない。新たな知識。きっとこの本も魔法に関するものなのだ。まだ開いてもいない本に思いを馳せ、先ほどいたテーブルに戻ろうと扉に手をかける。


その時、

『ドンドンドン!』

玄関の方から扉を強く叩く音が聞こえた。


 

 


 

 

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