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魔法の使えない魔法使い  作者: 只野 凡


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18 旅路


全員の注目を浴びていることに気づく。

…やってしまった。リンを除く3人からの私は悠久の時を生きる魔女様だ。

こんな、こんなとも言いたくないが、素晴らしい魔法一つで声を上げるような存在ではない。必死に取り繕う。


「あはは。少し実験がうまくいっていてね。

頭では考えていたんだが、成功したのが始めてだったんだ。魔力の貸出。本当にできるとは!」


リンと繋がっている手をパタパタと振り、自分の驚きの対象を実験結果だと誤認させる。


頼む。こんなところでバレる魔女の成りすましなど街では話にならないではないか。


「なるほど。他者への魔力の貸出か。確かに興味深いな。」


「いつの間にかすごい仲良くなってるね。やっぱり話が合うからかな?」


「がはは!俺はてっきり始めて空飛んで喜んでるのかと思ったぜ!」

一番先頭のガルンに図星をつかれる。


が、恐らく誤魔化しきれただろう。希望的観測が多分に含まれるが一先ず安堵する。


「ふふっ。空飛べたの、嬉しかった?」

「…初めてちゃんと魔法に関わったんだ。」


ニマニマと笑う「お姉ちゃん」に小声で抗議する。


「楽だし楽しいし、一石二鳥。」

と言って空いている手でブイの指を作る。


少し不満はあるが、今は魔法の感動を目一杯味わうことにした。


宙に浮いての旅は驚くほど快適で、気づけば森を抜けていた。


森を抜けて少し視界の広がった場所で、野営の準備を始める。


まだ日は落ちていないが、これ以上はあまり野営に適した場所ではないということだ。


全員がテキパキと準備を始める。

テント用にペグを張ったり、来る途中で見かけた川に水を汲みにいったり、色々だ。


リンも枝拾いへ行ったことで一人取り残された私は、すっかり浮かなくなった白い布を両腕に抱え、ぽかんと立ち尽くしていた。


私も手伝いに同行しようかと聞いたが、

魔力貸してくれて疲れてるだろうからと遠慮された。


皆の働きぶりをただ眺める。

ずっと一緒に旅をしていたのだろう。

彼らの準備には無駄がなく、全員が自分の仕事を淡々とこなす。そもそも、私のやれことなどなかったようだ。


手ごろな岩を見つけて腰を下ろす。

せっかく持ってきた本でも読もうかな、などと考えながら皆の働きぶりをなんとなくで観察する。


『働かざる者食うべからずだ!』


 不意に背後から大声が聞こえた気がして振り返る。後ろには知り合いはおろか、誰もいない。


皆の方を見る。

彼らの内の誰かでもなさそうだ。それも、誰も聞いていなかったのか、その声に反応するような素振りすらない。


完全に気の所為だったようだ。


風でなびく髪の毛を整えながら、辺りを見渡す。会いたい。そんな気持ちが心を満たす。


私は一体誰に会いたがっているのか。


分からない。しかし、それでも私は諦めない。私を愛する人からは、忘れて欲しいと。思い出すことを望んでいないかった。


それどころか、意図的に記憶を消されたのでは。とさえ、考えていた。


私の旅の終着点は私の望むものだろうか。



 岩から腰を上げ、皆の方へ向かう。今は、誰かの隣に居たい。そんな気分だった。











 


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