13 1日
しばらくして、身体を起き上がらせたエイルが私の前に来た。
「ガルンとイースから聞いた。魔女様。俺のことを助けてくれてありがとう。まだ、こいつらと旅できること、嬉しく思う。そして、ずいぶん迷惑をかけたようだ。重ねてお詫びする。すまなかった。」
きれいな角度で頭を下げたエイルから、
丁寧な口調で感謝と謝罪の言葉を受け取る。
「そして、リン。随分無理をさせたみたいだな。すまなかった」
そう言って、顔を上げリンに手をのばす。
「…全然。元気になってよかった。」
リンは、エイルの手を握り握手する。
一件落着と言うやつだ。自分の使命を果たせたことに深く安堵する。
肩の荷が下りたのか、急に体の力が抜ける。
一気に疲労が押し寄せてきた。
それでも、喜び合う彼らを見守っていると、自然と顔が綻んだ。
にこやかに彼らを見守っていると、ガルンが声をかけてくる。
「エイルも助けてもらった上で、すげぇ図々しいお願いなのは分かってるんだがよ。夜明けまでここで休ませてくれないか?
流石に起きたばっかの仲間に無理はあんまりさせたくないんだ。報酬もその分弾むし、頼む!」
気分良く私は返事する。
「構わないよ。汚いところですまないが、ゆっくりしていってくれ。私も疲れたから少し休むよ。何かあったらノックでもして呼んでくれ。」
疲労もピークに来ていた書庫に戻り魔法陣の上に寝そべる。
身体のあちこちにガタが来ているようで全身あらゆるところが軋んで痛い。
仰向けになってポケットから手紙を取り出し、もう一度読み返す。
ごめんなさい。
どうか、全てを忘れて幸せになって、あなたのやりたい事を為しなさい。
愛しています。
心が温まるのを感じる。
なぜ、手紙の主は私に謝っていたのだろうか。
あそこに私を置いてけぼりにしたことを謝罪しているのだろうか。
やりたいことを為しなさい。
私のやりたいことは、あなたを探すことだ。しかし、あなたはそれを望んでいない。
全て忘れて幸せに。
手紙の主は自分のことを覚えていてほしくないのか。
私は、この先どうしていこうか。
この部屋の本を読み切りたい。
魔法のことをもっといっぱい知りたい。
自分のことを知る誰かに、あなたに会いたい。
話がしたい。
…。
そうやって自分のやりたいことを空想しているうちに意識が遠くなる。
思えばあの部屋で目が覚めたときから一睡もしていない。
長い長い、私の1日目。その終わりは、本に囲まれた硬い床の上だった。
少し短くなってしまいました。




