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魔王討伐

「はあ、はあ、はあ……」


強いっ!!


やはり魔王は強かった

他の敵とは格が違う


「みんな、アレをやるぞ!」


パーティーメンバーに合図を出す


メンバー全員が一所に集まり、必殺技を出す準備を始める


その動きに気付き、魔王も必殺技を出す動きを見せた


ーー早かったのは、魔王の方だった


「ふはははははは、死ねぇ! 勇者どもよ!」


間髪おかず、魔王の口から熱線の波動が放たれる


絶対絶命…………

否! これを我々は待っていた!


「今だ! フロー!」


防御担当の盾使いが声を上げる


「ああ、任せろ! くらえ必殺! フロー!キャンセル!!!!」


「なにぃぃぃ!?!?!?」


瞬間ーー

魔王の放った光線が跳ね返され、魔王の心臓を貫いた・・・




「ぐはっ……勇者どもよ、貴様らは強い……特に、剣士フロー……貴様は特に強い…………最期に一つ聞かせろ……なぜ貴様はそんなに強いのだ……」


魔王が最期の言葉を述べる


「信じるチカラだよ、魔王、お前には理解できないものさ」


フローがそう答えると、魔王は神妙な面持ちでこの世から姿を消した・・・






「勝った……勝ったぞおおおおおおおおお!!!!」


盾使いが叫ぶ


「今日は騒ぎましょう!!!」


別のメンバーである弓使いが呼応する


「いいな! だが、それにしても疲れた……まずはひとっ風呂浴びないか? ちょうどあそこに湯が沸いている」


最後のメンバーである魔導士も呼応して言う

他のメンバーも湯を見つけてその提案に賛成のようだ


「ん? 確かに湯が沸いている……だが、どういうことだ? お前らあれに入るのか?」


フローは疑問を呈した

なぜあんなところに湯が沸いているのかと


「多分、魔王との戦いで温泉の源泉に穴が空いたんじゃねぇのか。あいつめっちゃ強かったし、地面、ボコボコ穴空いてるしなほら。てかよ、久しぶりの風呂だぁあああ!! ィャッフゥゥ!!」


魔導士が疑問に答えながら湯に入る


なるほど、確かに一理ある

しかし……なんだ……それに入るのか……?


フローが湯を目の前に躊躇していると、弓使いが言う


「あ、そういえば、フロー先輩、風呂に入らない主義者でしたね。すみません僕たちだけで入ります!」


メンバー内で最も年下の弓使いがフローの様子を気遣って言ってくれた

と言うのも、弓使いが述べたように、私こと、フローは風呂に入らない主義者なのであった


最後に湯を浴びたのは、かれこれ5年くらい前だったか




「フロー……お前、まだ風呂に入らない主義を貫くのか?」


呆れたような声で盾使いがつぶやく


「あのなあ……俺たちが勝てたのは、このチカラのおかげだろう。風呂に入らない分だけ俺は強くなれるんだ」


「……なあ、フロー。前々から疑問に思っていたんだが、そのチカラ……"フローキャンセル"だったか……ってのは本物なのか? 確かにお前のそのチカラのおかげで魔王は倒せたが、風呂に入らないことに何か関係があるのか?」


うむ……そう言われると返答に困る


俺がこのチカラを得た時、その日俺は神を見た俺の村では古い言い伝えに神を見たら風呂に入るなと言うものがあったから俺はそれに従ったまでだ

心なしか風呂に入らない日数が増えるほど、このチカラは増していた気がする

だから、なんの疑問もなく、風呂に入らないことはいいことだと考えていた

だが、どうだろう

魔王がいなくなった今なら……


「いいじゃねぇか! もう魔王もいなくなったんだしよぉ!」


そう言って、先に湯に浸かっていた魔導士がいつの間にかフローの背中を押していた


「ちょっ……」


フローは突き飛ばされる形で湯に向かっていた


刹那


豪快な水飛沫と共にフローの身体が湯に沈む


入浴の衝撃が強すぎたのか、意識が遠のく


フローは今まで感じたことのない浮遊感に包まれた…………






「……さ……ん、お兄さん、聞こえますか?」


む……?

呼ばれている……俺のことか?


「あ…ああ」


ん? 一体、ここはどこだ?


気がつくと、フローは大きな広場で仰向けに倒れていた


目を開けると……美しい女性がいた……

私を呼んでいる


なんて美しいんだ……




「お兄さん、すごい甲冑ですね! この衣装、作るの大変だったでしょ!」


は?


「こんな本格的なコスプレ見たことないです! 本物みたい!」


話がついていけない


「お嬢さん、ここは?」


「コミケに決まってるじゃないですか! 頭強く打ちました?」


ーーどうやら俺は別の世界に来てしまったようだ

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