表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

3日前-①

煌びやかな世界に、目を瞑りそうになる。

自身の唐突な衝動に、目を背けそうになる。


ドアの向こうの景色は、俺が知っていたものではなかった。

俺がかつて暮らした街ではなかった。


溢れんばかりの人が行き交い、混ざりあった音たちは耳を壊そうとしている。


都会から少しだけずれた、何の変哲もない住宅街だったはずの俺の小さな世界は、もうどこにもなかった。


そんなに楽しそうに、皆どこへ行くんだろうか。

そんなに笑顔になれるほど、行きたい場所があるのだろうか。


そんな場所があることを心底羨ましく思った。




『やり残したこと、ぜんぶやる!!!!!』




……さて、どうしようか。


勢いで飛び出してきたのは良いものの、行き先の検討は全く付いていなかった。


俺がやり残したことってなんだろう……。

目を閉じ、元から少ない記憶をじっくりと思い出す。


俺の、小さな小さな世界。狭くて、なんにもなくて、誰もいなくて。ゆっくりと、世界の軌跡をなぞる。


公園にでも行こうか。

そう思った。


近所の小さな公園。ブランコと、シーソーと、滑り台があるだけの、小さな公園。

幼い頃の俺は、あの公園が大好きだった。


目を開けると、履きふるしたスニーカーが視界に入った。あの頃はもっとずっと綺麗だったはずなのに。

父親に買って貰ったスニーカー。

もう随分と、一緒に歩いていたみたいだった。


人々は皆、駅へ向かっていくみたいだった。

その流れに逆らって、俺はゆっくりと公園へと歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ