満月、貴方の手
こちらのお話は、本編第1章 第14話を読んでからの方が楽しんでいただけるのではないかなー?と思います!
結局は皆さんがお好きなように楽しんでいただけるのが1番嬉しいんですけどね!
それではどうぞー!
――体がふわふわする。
「めちゃくちゃ酔ってるじゃないですか!」
「んあー」
誰かが来た。
一体誰だろうか。それすら分からない。
「部屋まで連れて行くしかないですね。ラヴェンはどうする?」
ラヴェンと誰かが話している。
連れて行くと言ったのか。何処に誰をだろう。
「ちょっと待っててね」
妙に、その声が心地よかった。
「ーー?」
突然抱き上げられ、頭が追いつかない。
そもそも初めからの話だが。
多分、酒を飲みすぎたせいだ。
元々、酒にはかなり弱いほうだった。それなのに飲んでしまったのだ。
抱き上げられたまま、どこかへ連れて行かれる。
すると、体が柔らかい何かの上に寝かせられた。ベッドだろう。
「おやすみなさい、カインド様。――!?」
咄嗟に、その誰か――ガウムの腕を掴んだ。
自分でも、すごくびっくりしている。
あの日から、何かが欠けてしまっていた。
欠けたものは、探しても見つからなくて。
ずっと、ずっと寂しかった。
――でも、やっと見つけたんだ。帰ってきてくれたんだ。
「あ、ちょ、離してくださ……カインド様?」
何故だろう。涙が溢れてくるのは。
それでも、重い瞼は開いてくれない。
ふと、柔らかい感触が頭を撫でた。ガウムの手だ。
その手があまりにも温かくて。
ずっと撫でられていると、心が段々と楽になって。
意識が、どんどん落ちていく。もう上がってくるのは無理だ。
ここで、カインドの意識は途切れた。
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「ん?」
カインドは眠りから覚めた。空はまだ暗く、月が輝いている。
まだ、意識がふらついている。
まともに働いてくれそうにない。
「あ…ガウム…」
隣には、ガウムが眠っていた。
きっと、眠ってしまうまでずっと撫で続けてくれたのだろう。
彼女の手は、カインドの頭の位置にあった。
ガウムも、酒を飲んでいたのだろうか。
少し顔が火照っている。
ガウムのことを見ていると、また泣き出しそうになってしまう。
彼女の表情は、あの日と変わらずに優しいままで。
起こさないように、彼女の頬を優しく撫でる。
すると、僅かに微笑んでくれた。
カインドは、懐かしくて胸が張り裂けそうだった。
「……」
――ただただ、愛おしさに狂わされそうだった。




