第85話 セインとシャールカ
『・・・という訳で、討伐基地を見つけました。ジルダとも会うことが出来ました』
シャールカがセインに報告をしていた。いつもの口調からは考えられない、文官のような口調である。
その報告を恐る恐る聞いているセイン。シャールカが文官のように話す姿に恐怖を感じていた。
(一体何があったんだ!)
その脇で、ニヤニヤしながら見ている男がいた。ミグの補佐になっているロックである。ローマンに帰る途中、セインを驚かすために仕組んだ悪戯であった。シャールカには、ハイム村を治めるための訓練と言いくるめて、ローマンに着くまで、徹底的に教え込んだのである。
『・・・わかった。』
セインは、話の内容以上に、シャールカの様子に驚き、内容の細部まで理解が及んでいない。
『後で、報告書を出しておきますので♪』
最後にロックはそう言うと、シャールカを連れてセインの執務室を出ていった。
(上手くいった)
・・・
ロックの執務室に入ったシャールカとロックは、
『大成功♪』
『セインの驚く顔が面白かった。だが、かったるい。二度とやりたくない』
シャールカは、悪戯の成功を面白く思ったが、同時に文官は性に合わないことを痛感していた。
『そうだな。シャールカはモスビスからロンジンを乗っ取るくらいかな♪』
ロックが思わず履いた軽口に
『ハハハ。モスビスが土下座して頼んできたら、女王になってやるぜ!』
とシャールカが応じた。
(ほう・・・ちょうどいい)
阿久津は姿を現ことにした。そのままだとバレるので、廊下に会った、騎士の兜をかぶり、顔を隠してから・・・
『久しぶりだね。ロック、シャールカ』
顔を隠した意味がない言葉を発してしまったのである。
<<<えええっ~!>>>
突然現れた阿久根にロックとシャールカの声が揃った。5年間行方不明だった男が、突然、ロックの執務室に現れたのだから、当然の反応である。
・・・
『・・・いろいろ思うことはあるだろうけど、そういうことだから』
阿久津は自らの正体を説明した。いや、説明せざるを得なかった。完全に失態である。
『で、今頃出てきたということは、何か用があるわけだよね♪』
ロックがさりげなく言った・・・が目は鋭く阿久津をロックしていた。
思わず、喉を鳴らす阿久津・・・まだまだ、神様としては未熟であった。
『実はね・・・』
ロンジンの状況と、モスビスに伝えたことを白状させられたのである。
『・・・ということは、モスビスがハイム村に来て、私にロンジンを治めろと言う訳?』
シャールカは呆れ気味に言った。
(ここで説得しなくては、神の沽券に関わる!)
『ロンジンが食料難になるのは明らかだ。しかし、対策は打った。モスビスは既にその指示をしているので、シャールカは見ているだけでいい』
阿久津はそう言うと胸を反らせた。精一杯見栄を張ったつもりだったのだが・・・
『なら、必要ないでしょ』
シャールカに正論を言われてしまったのである。
『モスビスには後継者がいなくてね・・・このままだとロンジンは崩壊してしまうからなんだ。今更、ロンジンの阿保王の残党にやらせる訳にも行かなくて・・・』
『この世界の人が納得しそうな人物が他にいなかったんだ』
阿久津は白状した。あきれ顔で阿久津を見るシャールカ、だが
『理解した。セインには事情を話しておこう。必要なら、ローマンが支援しよう♪』
ロックが2人を見ながら言った。ほっとする阿久津に、驚くシャールカ。
『ちょっとロック!』
思わず叫んだシャールカに
『せっかく魔物がいない世界に出来たのに、国が崩壊して混乱したのでは意味がないんだ♪』
いつの間にか、宰相としての能力を身に着けていたロックであった。
・・・
ロックの手配により、モスビスはローマンの王宮に迎えられていた。そして、セイン王子の立ち合いの元にシャールカとの面談が行われ、モスビスから正式にシャールカへの女王就任要請がされたのであった。
一旦ここまで・・・。
シャールカはどうなってしまうのでしょう・・・。




