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第84話 ロンジン

2話追加します。

(どうしたものか・・・)

N6276GPの担当神である阿久津は、モスビスの街を散策していた。モスビス=ベルミーヤのクーデターにより現在の名前に変わった、かつてのロンジンシティである。


(モスビスは有能だ・・・あの阿保王よりは・・・。だがモスビスの後継者がな・・・)

モスビスには家族がいなかった。将軍としての任務を優先していたからである。だが、自らが、阿保王を倒して国のトップになった途端、後継者がいないという問題を抱えてしまった。王政を廃止して軍による政治をしているが、軍には政治が出来そうなものはいなかったのである。


・・・


モスビス=ベルミーヤは執務室で頭を抱えていた。

(人が足りない・・・)


魔物は消えたが、国内には廃村が多数発生していた。それらを復興し、食料の生産を回復させないと、魔物もいない現状では、あっという間に飢餓がくる。それは判っていた・・・だが、ロシジアに逃れた旧王国・・・阿保王に寄生していた連中とその部下たちは、ロンジンが危険であると言って回ったこともあり、農民たちまでもが、難民として他国に流出していたのである。

 とりあえず、兵士達を廃村に派遣し農作業を強制しているものの、結果は芳しくない。何せ、農民でなかったものか、農民がいやで逃げ出したもの達なので、彼らに農業をさせるのは無理な話であった。


(仕方がない・・・ちょっと知恵を授けるとしよう)

阿久津は、モスビスの前に姿を現すことにした。


・・・


モスビスの目の前が突然光ったかと思うと一人の男が現れた。

(何者!)

咄嗟に剣に手を掛けるモスビスに


『モスビス=ベルミーヤよ。話を聞きなさい!』

阿久津は平然を装って話しかけた。


『へ?!』

モスビスは目の前に現れた男の言葉に耳を疑った。武器も持たず、鍛えた形跡もない男を見て、暗殺者ではないと思ったが、警戒は緩めない。


『お前は誰だ!』

剣に手を掛けたまま、モスビスは叫んだ。


『私は、この世界を担当することになってしまった神である』

阿久津はそう言ってモスビスを睨んだ。


(変なのが現れた・・・いよいよ俺もおかしくなったか?)

モスビスは阿久津の存在を理解できなかった。


『今のままでは、国が滅んでしまいます。急ぎ食料の生産を始めなさい』

阿久津はそう言ってモスビスを指さした。


その勢いにたじろぐモスビスを確認してから


『人が足りないのはどうにもなりません。ですが、魔物もいなくなったので、食料を生産しないと生きていけないのは解るでしょう。北の森の入り口付近に自生する芋の蔓を大量に刈り取って、畑に植えなさい。丈夫なので、何もしなくても半年くらいで芋が地中にできるでしょう。それで飢えをしのぎなさい』


阿久津はこの大陸の北にある森の入り口付近にさつま芋が自生しているのを確認していた。前任者が芋の天ぷらが好物だったらしく、勝手にこの世界に持ち込んで育てていたらしい。


『あの・・・どんなものなのか解らないのですが・・・』

いつの間にか、モスビスは剣から手を放し、その手を床に付けて阿久津に向けていた。


(モスビスが土下座している・・・)

阿久津は困惑していた。何せ、クーデターで国を乗っ取った張本人である。突然現れた阿久津の言うことを聞く可能性は低いと思っていたである。それが、食料の話をし始めたとたん、大人しくなってしまったのである。



『神様。俺は、国を乗っ取った悪党だ。だが、阿保王のやることに我慢が出来なかったんだ。でも、今になって理解した。俺には政治ができねえ』

モスビスはそう言うと頭を下げた。


『どうしたらいいのか教えてくれ!』

モスビスはそう言うと黙ってしまったのである。


(はて・・・こいつは限界なのかも・・・)

阿久津は考え込んでしまった。モスビスの後継者と言えるものはいない。この国に国を治める能力を持ったものはいなかった。しかし、阿保王の残党では治められそうにないのは解る。他の国がモスビスに協力するとは思えなかった。


『今のままでは、この国は滅ぶでしょう。そうすると、多くの人が困ることになります。魔物がいなくなって間もない今では、多くの人が飢えてしまうでしょう。ローマン王国にあるハイム村にあるシャールカを訪ねなさい。彼女をロンジンの女王に据えることで、この国難は乗り越えられるでしょう』


阿久津は、咄嗟に知っている名前を上げてしまった。シャールカに統治能力があると言えば嘘になる。が、シャールカを女王にして、ローマン王国から支援させれば、何とかなるだろうと考えた。

(セインに頼むことにしよう・・・)


・・・


 我に返ったモスビスは、周囲に誰もいないを確認した。

(もう俺は限界だ。俺では国が持たん・・・神様のお告げに従うしかあるまい)


モスビスは部下を呼び、北の森の入り口付近に自生する芋の蔓を大量に刈り取って、畑に植えるように指示を出した。そして、


(シャールカは知っている。ローマンのセインたちと一緒に魔物を排除した勇者だ。俺はそれを助け出している。直接頼みにいくことにしよう・・・俺は、この国を滅ぼすわけにはいかない)

 モスビスは、数人の護衛と共に、モスビスを抜け出した。


・・・


モスビスから西峠に向かう街道を駆け抜けていく騎馬たち・・・。

『急ぐぞ。一気にハイム村に行く!』

先頭の馬に乗る男が叫んだ。そして、それを街道の脇から覗き見る男がいた。


(さて・・・ローマンに行ってセインとお話しますかね)

男はモスビスの後ろ姿を確認した後、姿を消した。

見ていた男=阿久津


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