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第79話 ジルダ

アンクス王国にも、討伐基地を知っているはずのこの人がいたのです。

『中央基地と討伐基地の調査をするのだ・・・か』

アンクス ペイのとある居酒屋でワインの飲みながら呟く一人の女・・・。ジルダである。彼女は、瘴気封印作戦から凱旋した後、ビスマルクに呼びだされ、忽然と消えてしまった中央基地と、正確な位置がよく割らない討伐基地についての調査を命じられていたのである。が、飛行機に乗せられて行っただけの討伐基地を見つけることが出来なかった。竜が住んでいるとの伝説があるラック湖の南ということしか知らなかった知らなかったからである。中央基地のあった場所は把握しており、行ってみたが神殿があるだけで、何故か中に入れたが、もぬけの殻であったのである。当然、管制塔や滑走路は全くなかった。


『でも・・・』

ジルダは、ワインをテーブルに置いて、服の内側に仕舞っているポーチから、1枚のカードを取り出す。


『何故、こんなものが落ちていたのか・・・』

神殿近くの森で、あるものを見つけていたのである。それは、ロンジン国兵士の身分証。

(エミール・・・知らないなあ・・・)

エミールと書いてあるが、兵士の身分証であるにも関わらず、所属、階級らしきものはなく、アンクス王国の諜報網を使って調べても、何も情報が得られなかったのである。しかし、ロンジン国に潜入している諜報員からの報告によると

(瘴気封印作戦のころ、モスビス元帥(モスビス=ベルミーヤ)がローマン国の神殿の調査に人を派遣していたらしい・・・だが、行方不明になったという)

だったらしい。それは、再調査を指示するモスビス元帥の怒声を聞いたという証言であった。

(こいつはその諜報員が持っていたもの・・・?)

カードを眺めながら、考え込むジルダ・・・。5年もの間、調べた成果はこのカードのみである。

『はあ・・』

完全に調査は行き詰っていた。討伐基地はどうやっても見つからず・・・中央基地があったはずのところには小さな神殿があるだけ・・・。シャールカにも会ったが、中央基地が消えたことについて、なにも情報を持っていなかった。

(神殿の中に入れるようになっていること以外、昔のままらしい・・・)

ただ、ジルダは何か見落としているのを感じていた・・・そう、何か見落としているようなきたしたのである。

(シャールカ・・・確か隠し事をしているとき、左手で首を掻く癖があったはず・・・)

『あっ!』

思わず声を上げてしまったジルダ。周りの客が訝し気にジルダを見るが、すぐに興味をなくしていく・・・。


(シャールカは何か隠している・・・間違いない。だが何を・・・)

その時、隣の席に中年の男が座った。男は、

『隣のお嬢様にワインを』

そう言ってジルダを見てほほ笑んだ。

男は、店の店員が持ってきたワインを受け取ると、ジルダのグラスにワインを注いでいく。どういう訳かこぼれるほど・・・。当然、こぼれたワインはテーブルにまき散らされる。


『あっ。すいません』

男はそういいながら、ハンカチのような布を取り出してジルダに渡す。受け取ったジルダは思わず顔をこわばらせた。その後、テーブルにこぼれたワインは、店員が拭いていった。

『失礼しました』

男はそう言うや、店員に金貨を投げ渡して消えていった。


(んっ?)

 ジルダは、男が渡したハンカチのような布に紙が挟んであるのを見つけた。


ローマンのロックとシャールカが、ローマンを出て南下中


紙にはそれだけが書かれていた。

(あいつ・・・ビスマルク閣下の部下)

ジルダは慌てて居酒屋を後にするのだった。


・・・


(これは、なにかある)

ジルダはアンクス王国を南に向かって移動中である。ローマンを出て南下すれば、大山脈の南峠に行くことになる。その先は、ロシジア王国・・・でもそんなところに用事があるはずがない2人が揃って向かうとすれば・・・


(討伐基地!!・・・きっと、討伐基地への手がかりを手に入れたのだろう。そうに違いない)

幸い、ロシジア王国からアンクス王国へは、海岸線を通る街道しか存在しない。ジルダの足なら、ロックとシャールカがロシジア王国からアンクス王国に向かう途中、それもロシジア王国内で見つけることができるだろう・・・。

(ロックは、昔、単独で討伐基地に行ったらしいし・・・)

上手くすれば、討伐基地を見つけることが出来るとジルダは睨んだのである。


・・・


(いた!)

数日後、ロシジア王国とアンクス王国の国境付近で、ジルダはロックとシャールカを見つけた。この街道は、あまり往来がないこともあり、周囲には誰もいない。ジルダは当然、2人に見つからないように隠れていた。


(あいつら何を見ている!)

周囲にだれもいないと思ったのか、ロックがアイテムボックスから何か取り出して覗き込んでいる。ジルダには、ICレコーダーと呼ばれる、初代アンクス王の遺産・・・ウェブハイト(波高)が王宮で見つけたという不思議な装置のように見えた。


(だが、あれは、音が出る装置のはず・・・操作画面を見ても、何も変化しないはず・・・)

だが、ロックはその画面を食い入るようにみている、直後に東を指した。それを見て、シシャールカも頷いている。


(あれは、私が知っているICレコーダーじゃない!!)

ジルダは確信したのだった。

ジルダが、ビスマルクから解放される日は来るのか?

次回は8/20 9時の予定です。

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