第76話 アイシア村の復興
荒廃した村の再生にむけて・・・。
『ここにアイシア村の復興を宣言する!』
体格のがっしりした老人の宣言に、拍手が起こった。アイシア村の復興式典が行われていた。アンクス王国の北の端にも関わらず、ローマン国のセイン王子、宰相補佐のロック、ハイム村の村長代理のシャールカといったローマン国の関係者も出席していた。
先ほど、復興の宣言をした老人がセインを呼んだ。他国とは言え、王子を呼びつけるのは普通であれば失礼極まりないことだが、セインも気にすることなく老人の元に歩いていった。
『お前からも一言頼む』
老人の言葉にセインは頷いた。
『瘴気封印作戦で犠牲になった私の仲間・・・プレーンと共に作戦で犠牲になったアンクス兵に誓う。瘴気の封印を維持して、魔物のいない世界を守る!』
セインはそういって、剣を空に掲げた。
(プレーン。ありがとう・・・私は忘れない)
セインの姿に、出席者の拍手が起こる。ロック、シャールカも拍手をしている。
『ギルマス。これからが大変ですよ~♪』
ミグの補佐になったロックが老人に言った。
『もう、ギルマスじゃねえ!これからは、生きてる限りこの街と西の森を守るわ!』
老人・・・彼こそ、瘴気封印作戦後のプレーンを見つけ、冒険者たちと共に埋葬したインガスのギルマスであった。彼は、ビスマルクから直接依頼され、村長としてアイシア村を復興することを引き受けたのだった。
瘴気発生の原因であり、瘴気封印作戦の最大の激戦地区となったアイシア村(とその西にある森)。ビスマルクの提案で、封印を破らせないよう、アイシア村を復興して監視させることになった。そして、復興の責任者に抜擢されたのが彼であった。多数のアンクス兵が動員され、西の森との境界には壁が設けられた。アンクス兵の駐屯地も作られ、アンクス兵の訓練センターもある。森へ入ろうとするものを抑止する目的でアンクス兵は置かれていたのだった。
『我ながら、よい思いつきじゃ』
ビスマルクは微笑んだ。
村の一角には、先の瘴気封印作戦で犠牲になった、プレーンと20名のビスマルク親衛隊の墓がある。そして、そこには魔物剣の絵が彫刻された大きな石碑が設けられていた。石碑の前には、ロックがセレスとベルから預かって持ってきた、フライドポテトとポテトチップスが供えられていた。
(セレスとベルも来たがっていたが・・・)
この式典のためにセインたちがインガスに寄ったとき、一緒にアイシア村に行きたいと言ったセレスとベルは、宿の主による必死の説得(?)により、同行を諦めたのである。もう少し安全になったら馬車でプレーンの墓参をするということになった。
・・・
『ギルマス!畑に行ってくる!』
元冒険者の男が村の東に広がる畑に向かう途中、村長に声を掛けた。元冒険者たちは、未だに村長ではなくギルマスと呼んでいた。
『おう、西の森には行くな!』
『わかってるよ・・・心配性だな』
村長の返してきた言葉に、呆れながら男は東の畑に向かった。“西の森には行くな!”は村長になった元ギルドマスターの口癖になっていた。村人なら知らないものはいない。
インガスにいた冒険者たちは、魔物が出なくなって冒険者として生活できなくなったこともあり、ギルドマスターのアイシア村復興の話に協力する形で参加していた。そして、そのまま村人になったのである。
『それにしても、この長い長方形の広場は何に使うんだ?』
男は、集落と畑の間を歩きながら呟いた。
村の東・・・。畑と集落の境界に、南北に幅30m、長さ1000mの平らな空き地が作られていた。石畳を隙間なく敷き詰めたため、舗装した道路のように見える。
『確かこんな感じだったよね~♪』
ロックが石畳の空間を見ながら、そばにいたセイン、シャールカに向かって言った。
『確かにこんな感じだった』
セインの呟きに脇にいたシャールカが頷いている。
『でも、なんでこんなものを作ったの?』
シャールカがセインに向いてから言った。
『ウェブハイトが来てくれるような気がするんだ・・・』
セインの希望にアンクス王とビスマルクが同意し、アンクス王国とローマン国の共同で作られた滑走路であった。モデルは中央基地で見た滑走路である。セインはこれとそっくりものをローマン郊外にも作らせていた。
(また会いたいな・・・)
瘴気封印作戦は、セインにとって忘れられない思い出になりつつあった・・・。
付録 その後・・・
は、今回までの予定です(気が変わったら何か書くかもしれませんが・・・)。
コロナが早く収束しますように・・・。
願う!平和!!
新しい小説を書いてみました
【毎時連載小説】 異世界惑星脱出計画-未来からの転生者による移住作戦
https://ncode.syosetu.com/n0189hn/
4/2の昼には完結予定です。
2022/4/10 語気修正




