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第75.5話 地震

3/16夜の地震で被害に遭われた方に、心よりお見舞い申し上げます。


この話は第75話の後になります。

『まったく・・・』

キニシアの隊長執務室では、一人の男が紅茶を飲もうとしていた。やっと、アンクス兵80名がローマンに向け出発したあとのことである。


『隊長~!!』

エドが執務室に飛び込んで来た。男は飲もうとカップに口を付けた状態でエドを睨み付ける。紅茶を飲むのを止め、ゆっくりとカップをテーブルに置くと、


『何の用だ!』

明らかに不機嫌そうに言った。


『東峠のほうで落石が発生しております。班長が至急連絡してこいと・・・』

エドが報告を遮る怒号が飛び出した。


『そんなことで執務室に飛び込んでくるな!!』

紅茶を飲むのを邪魔されて、怒り心頭の男が怒鳴った。


紅茶を飲もうとしていた男・・・キニシアの隊長の怒号に驚いたエドが壁にへばりついた。


『前の隊長みたい・・・』

思わずエドが呟いた言葉が、更に男の怒りを増幅させた。


『誰がアルバンに似てるだと! お前もアルバンの手先か! 始末してくれる』

そう言って男が剣を振り上げ、まさにエドに振り下ろそうとしたとき、


『地震だ!』

隊長の護衛をする兵士が叫んだ。そう、大きな地震が発生したのだった。剣を振り上げた男は、エドに剣を振り降ろすどころではなく、持っていた剣を放り投げると、執務机の下に逃げ込んだ。その直後、執務室の天井が執務室に落ちてきたのだった。


・・・


しばらくたって、揺れが収まった後、男は執務机から何とか這い出した。天井が落ちてしまったため、空が見えていた。周囲を見渡すと、エドが落ちてきた天井の下で気絶していた。天井は、たまたま、彼の脇にあったテーブルの上に落ちたため、奇跡的に直撃を避けることに成功していたが、剣を振り上げられたときなのか、天井が落ちてきたときなのかはわからないが、恐怖で気絶していたらしい。


・・・


『隊長!ご無事ですか・・・』

ふと見ると、建物の外で兵士が叫んでいる。


男は右手を上げ無事であることをアピールすると、兵士たちは安心したのか叫ぶのを止めた。


『街の被害を調べよ!』

男は、建物の外にいる兵士たちに怒鳴った。


『この建物以外は大丈夫ですよ』

兵士の1人が答えた。


(???)

男が周囲の建物を見ると、どの建物も被害らしいものはなかった。

(たしかに揺れたはず・・・だよな)


・・・


その後、調査した結果、被害は隊長の執務室があるこの建物だけであった。兵士や街の住人の話では、地震もなかったらしい・・・。

(どういうこと?)


『アルバンの呪い・・・』

兵士たちが囁いた。その声を聴いた男は顔を引き攣らせる。


天井が落ちた建物は、前の隊長であるアルバンも使っていたものであった。つまり、男がいた部屋は、アルバンが死体になって見つかった部屋であったのだ。


『この建物は取り壊せ』

男は、自分の執務室を別の建物に用意するように兵士たちに指示をした。


・・・


(どうにか間に合ったわい)

物陰から様子を見ている白っぽい何かがいた。

発生した落石は、瘴気封印装置試作品を動かしたとき発生した振動で、東峠にあった岩がずれ、装置が止まってしまった後に吹いたやや強い風がきっかけで落ちたものだった。そして、それを報告しようとして隊長に殺されそうになったエドを、たまたま見つけたN6276GPの神が、咄嗟にこの建物だけ揺らした結果・・・である。偶然のめぐりあわせで助かったエドに、真相を知る機会はなかった。

気が付いたエドは、誰にも見つからないように瓦礫から脱出し、城壁に戻った。


(俺は運がいい)

エドは命拾いしたこの出来事を、自らの強運だと理解したのだった。

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