間話のその後 鰻丼
途中にあった ”間話 うなぎ”のその後です。
食糧が云々と言われだしているので、書いてしまいました。
早く平和になってほしいです。
『美味しいね』
どんぶりを小さい手で抱えながら、ボナが言った。ロナも頷きながら必死に食べている。
以前、波高が阿久津に手伝わせて作った鰻を焼いたものを再現したのだった。
『ウェブハイトさんの言っていた通りに作っただけだが・・・』
ノイマンは、波高が作った鰻の蒲焼きを再現していた。あの時は、試食用に、スプーンの上に炊いた米を載せ、更にその上に鰻の蒲焼きを小さく切って載せたものであったが、波高から、どんぶりに炊いた米をよそって、その上に蒲焼き載せて鰻を焼くときに使ったたれをかけるものだと聞いていたのである。
・・・
ノイマンたちは、ハイム村の南にあった湿地帯を利用して、それまで勝手に生えてきたままだった稲を等間隔に植えなおしたところ、秋に大量の米を収穫することに成功していたのである。湿地帯で育つ穀物は、村の生活にとって今後重要な作物になると村人たちは予感していた。収穫した大量の米を見て、村人たちが、波高が作った鰻料理を思い出したのである。
『ウェブハイトはこんなものまで・・・』
シャールカは鰻丼を食べながら、ウェブハイトのことを思い出していた。
(あいつは、元の世界に帰ったのだろうか・・・)
瘴気封印作戦後、一度も会うことなくいなくなってしまった波高のことを心配していた。
ハイム村に帰ってきた直後、村の西にある森の中に入っていった。もちろん、中央基地に行こうとしたのである。そして、ローマンで聞いていたとおり、神殿が以前の姿のまま、森の中にあったのを見て愕然としたのである。
(中央基地は何処に行ってしまったのか・・・未だわからない)
シャールカは、鰻丼を食べながら過去の出来事を思い返していた。シャールカには中央基地の記憶がはっきり残っており、夢や幻でないと確信していた。そして、あの神殿が中央基地に姿を変えたときのことを思い出し、村に伝わっていた秘宝のことを思い出したのである。
(ひょっとして・・・)
・・・
翌朝、シャールカは一人で西の森に入っていった。そして、小さいときから見覚えのある神殿に到着すると、以前、波高が入った時と同じ入り口を押してみた。普段、何故か開けることが出来ないその入り口は、シャールカが押すと招き入れるように開いた。
(えっ? まさか・・・)
神殿の中はなにも無かった。初めてセイン、ロックと共に入ったときのような光も無ければ、建物全体が上昇することもない。神殿に入れたことで一瞬期待してしまったシャールカは、何もない空間にがっかりしていた。
(やはり、同じことは起きないか・・・ん?)
何か光ったような気がしたシャールカがその方角に歩こうとしたとき、何かが足にあたった。慌てて下を見たシャールカは、そこに見覚えのあるものを発見したのだった。
(これは村に伝わる秘宝・・・間違いない!!)
ノイマンが大事に抱えて持ってきて、セインに渡した秘宝が何故か足元にある・・・いや、入った時には無かったはずだ。それが、あの一瞬の光が見えたあと足元にあったのだ。
(これは村で保管しよう・・・・再び必要とされるその日まで)
その日が何時なのか、果たしてあるのかすら分からないが、ハイム村で秘匿しておくべき秘宝だとシャールカは理解したのだった。
果たしてハイム村の秘宝が使われる日が来るのか・・・。
ないはずなのですが・・・神のみぞ知る。




