第74話 猫がいない
すいません。途中まででアップしてしまったようです。修正版アップしました。
コロナが流行って出歩きにくくなってますね。
今日は天気も悪いので、久しぶりに書いてみました。
(最近見かけないなあ・・・)
波高は出発前の機体の外部点検をしながら思っていた。以前は、毎回のようにやってくる猫を見かけないのである。野良猫のようなのでどこか行ってしまったのだろうとしか思っていない波高であった。
・・・
プレストークスイッチを押した後
『Kumamoto Tower JA4169 NOW T4 NOW RADY』
と伝えると、無線機から応答が来た
『JA4169 Wind 070 degrees at 4knots, ranway07 Tango4 cleared for take-off 』
スロットルを押し込み、エンジンの回転数を上げていく。機体が滑走路を、速度を上げながら走りっていく。73㏏を超えたことを確認して操縦桿を引くと、機体は浮かび上がった。
(特に異常なし)
今日は、東の空に雲がなかったので、大分空港まで“とり天”を食べに行くつもりである。離陸後、ストレートアウトで阿蘇に向かって上昇する。以前乗っていたセスナ172では上昇するのも大変だったが、Bonanzna A36を1人で乗っているときの上昇は早い。立野駅上空に到達する前に3000ftを超えてしまう。
再び、プレストークスイッチを押しながら
『Kumamoto Tower JA4169 NOW altitude 3000 climbing altitude 5500』
と伝えると、
『JA4169 frequency change approved GOOD DAY!』
無線機から応答が聞こえてくる。TCAにコンタクトを指示されないので、そのまま上昇を続けながら阿蘇の外輪山上空に入る。
(コロナの影響で便数が少ないからなあ・・・)
いつもだと、熊本空港到着機が高度を下げてくるコースと重なるため、熊本TCAにコンタクトを指示されるのだが、飛んでくる飛行機が無いのか何も言われなかったのである。
外輪山の上空は、unknownの飛行機ともいうべき、ウルトラライトプレーンやグライダーなどが飛んでいるので注意が必要である。外輪山の中は熊本空港のレーダーで捕捉されないことから、こっそり飛行するヘリコプターがいることもあるらしい・・・。
(今日は誰もいないみたいだな・・・)
大観峰のちょっと先にある、場外着陸場を眺めながら確認する。この場外着陸場は、牧場を刈り込んだだけなので、滑走路があると思ってみないと気が付かない。上空から見ると、緑にしか見えないからだ。
阿蘇一宮上空を過ぎ、滝室坂上空を過ぎると、前方に豊後竹田市が見えてくる。このちょっと先に大分県央飛行場があるのだが、熊本方面から行くと見つけにくいところにある。以前、セスナ172で行ったときは、飛行場を見つけられなくて、真上を通過してしまった波高であった。
(懐かしいな・・・)
豊後竹田市からは、高速道路(といっても片側1車線の無料道路)があるので、それを目安に飛んで行く。しばらく進んでいくと、前方に大分市とその先に海が見えてきた。以前は、大分VORを目指して飛行すればよかったのだが、R-NAVが普及したためか廃止されてしまったため、地上を見ながら位置を推定するしかない。
無線機の周波数を120.6にセットして、
『OITA approach JA4169』
と呼びかける。
『JA4169 OITA Radar go ahead』
無線機から応答があった。
『JA4169 現在大分市上空5500ftです。VFRで大分空港に向ってます。リクエストレーダーアドバイザリー』
面倒になった波高は日本語を交えて話掛ける。航空法上、日本で飛行する限りでは、日本語でもOKなのである。
『JA4169 周辺に他の機体はいません』
無線機からは声しか聞こえてこないが、いかにも暇そうである。スコークの設定すら指示されない。とっても暇らしい・・・。VORを117.7にセットし、大分空港に向って高度を下げながら向かっていく。DMEが空港まで10マイルを示したところで、
『JA4169 radar service terminated contact Oita tower 118.8』
無線機から指示があった。
『Contact Oita tower JA4169』
と答えて、周波数を118.8に切り替える。
早速、プレストークスイッチを押しながら
『Oita tower JA4169』
と呼びかけると、
『JA4169 Oita tower go ahead』
ちょっと、間が開いた後、応答があった。
『JA4169 10mile southwest of you. Request landing instruction』
本当は高度も伝えるべきなのだが、トランスポンダがモードSなこともあり、横着して省略している波高であった。
『JA4169 using ranway01, wind 010 3㏏, QNH2994,cleared to land』
いきなりのクリアーツーラン(着陸していいよ)である。かなり暇らしい・・・。
せっかくなので、VOR1を111.5にセットして、HSIを見ながらストレートインで滑走路に向かっていく。風もほとんどないので、HSIも進入角度、方角とも問題ないことを示している。脚を降ろすレバーを下げる。しばらくした後、脚が出たことを閉めるグリーンのランプが3つ点灯した。フラップを降ろし、カウルフラップをOPENにする。速度80㏏を切らないように気を付けながら、大分空港の滑走路に無事着陸した。
『JA4169 tern right T2 contact Oita ground 121.6』
着陸を待っていたかのように管制から指示が入る。波高は復唱してから、周波数を121.6に変更し、
『Oita ground JA4169. Request taxi to spot 1 alpha』
出発前に電話で予約しておいた駐機スポットへの移動をリクエストする。グランドから直ぐに承認されたので、そのままT2から誘導路に入り、スポット1-αに停止した。
・・・
ピトーカバーを付け、車止めをしてから、パーキングブレーキを解除する。念のため、ドアの鍵をして、目の前にあるCAB(航空局)の建物に入る。階段を登った先にある情報官事務所に入り、空港使用届に記入する。受け取った情報官は、波高から受け取った書類に目を通した後、
『はい。問題ないです』
と笑顔で答える。何度も書いている書類なので大丈夫なはずであるが、やはり気になる波高であった。
『では14時までには戻ってきますので』
そう波高は言って情報官事務所を出たのち、建物内部のエレベータで1階に降りる。
・・・
『とり天定食』
空港のターミナル3階まで移動した波高は、レストランの席に座ると水を持ってきた店員に言った。
『はい。かしこまりました』
店員はそのまま水を置いて戻っていく。周囲を見渡すと、昼時にも関わらず、レストランは閑散としていた
『これじゃ大変だなあ・・・』
思わず呟いた波高であった。
・・・
食事後、2階の土産物屋を覗き込む。買い物客のいない店は、寂しいというより、不気味でさえあった。
『あっ?!』
思わず波高は商品棚にあるものを見て声を出してしまった。
(あの猫、綺麗に食べていたよなあ・・・)
アジの干物を見て、見かけなくなった猫を思い出した波高であった。
ネオー間違って異世界に送られた猫
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は今も連載中です。
早くコロナが収束してほしいです。




