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第73話 その後

 波高は、ディスプレイに表示される表示を見続けていた。1時間ごとに表示が更新されていくようである。ディスプレイ上では、瘴気の濃度は確実に低下していた。


(うまくいったようだ・・・)


いつの間にか、装置の前で波高は眠り込んでしまった・・・。


・・・


中央基地に着陸したのは、既に午後だった。

(討伐基地にある装置の様子は気になるけど、今から行くのは危険だ)

今から給油して離陸すると、討伐基地に着く前に日が暮れる。夜間照明が入っているかも解らないので、行くのは不可能と阿久津は判断した。

(それに疲れているし・・・)

機体(Cessna172)を格納庫にしまった後、オイルと燃料を補充して管制塔地下の居住スペースに移動、焼肉定食を食べたのち、ベットに入ると、疲労のせいか夢の世界に行ってしまった・・・。


・・・


『おい。今からアイシア村に行ってくる』

インガスのギルドマスターは突然そういうと、準備を始めた。


『なに言ってるんですか。無茶はダメですよ』

ギルドの職員は慌てて止めに入る。


『どうしても気になる。行かせてくれ』

『ダメです』・・・


しばらくの問答が続いた後、冒険者が護衛について、アイシア村に向かうことにした。ギルドマスターはボンネヒルの洞窟入り口の入り方が分らなかった(プレーンの操作を見てなかった)ので、昔の街道をアイシア村に向かって移動していた。

『なあ、魔物の気配がしない気がするのだが・・・』

ギルドマスターは護衛の冒険者たちに問いかけた。

『おう、ギルマスもそう思ったか。』

冒険者たちも同じ意見であった。途中、魔物に会うこともなく、順調に進んでいった。


『魔物の気配がない』

アイシア村跡についたとき、ギルドマスターと冒険者の思いは確信に変わった。魔物が全くいない上、プレーン達の使っていた地下基地もそのまま荒らされた形跡もなかったのだ。


『瘴気発生個所はこの先だったはずだ』

そういうと、ギルドマスターと冒険者は、森に入っていった。程なくして、激しい戦闘が行われたと思われる跡と、アンクス兵の死体を目にした。ギルドマスターたちは、それらに手を合わせながら、さらに先に進むと、光るものを発見した。


『これはもしかして・・・』

思わずギルドマスターは叫んだ。そう、光るものの正体は魔物剣であった。


(プレーンはどうした!!)

慌てて周囲を見渡すと、そこにはプレーンと分隊長の死体が転がっていた。


プレーンの右手には何か紐が巻き付いている

(これは何か大事なものなのだろう・・・)

ギルドマスターはプレーンの右手から紐をほどいて外してやった。


『目的は果たせたのだろう。ここからも瘴気の発生は感じない』

紐の先は深い緑に覆われていて、何人をも拒んでいるようであった。


(紐の先が気になるが、確か、瘴気の沼に誰か落ちたのが災いの始まりだったはず・・・)


『ちょっと大変だが、勇者たちをアイシア村で埋葬しよう』

ギルドマスターのことばに異議を唱える冒険者はなく、作業に掛かった。


・・・


『プレーン、及びアンクス兵たちよ。ありがとう』

アイシア村の外れにプレーンと20名のアンクス兵を埋葬したギルドマスターはプレーンの使っていた魔物剣を持ったままつぶやいた。一緒に作業した冒険者たちもうなだれて埋葬した先に頭を下げている。

『さあ、戻ろう。俺は、王都にこの事実を報告しなくてならない』

ギルドマスターはそういうと、アイシア村跡を後にした。


(プレーンよ、本当にありがとう)

ギルドマスターは、また生き残ってしまったと思いつつ、この事実を報告するために前を向いた。


・・・


セインとコルノーは、生き残った数名でローマンに戻ってきた。正確にいうと、山を下りた村までたどり着いたところで意識を失ってしまい、ローマン兵たちに保護された結果である。

戻ってみると、重症でありながらシャールカがいた。なんでも、ベルミーヤが届けてきたらしい。一緒にいたアンクス兵はだれもいなかったそうだ。

ロックは、何故か、20名のアンクス兵と共にローマンに帰ってきていた。怪我はしていたが、命に別状はないらしい。そして、その脇はジルダがいた。アンクス兵20名の犠牲のもと、ジルダはどうにか戻ってこれたのであった。

 

『魔物がいなくなったことから、作戦成功したのだろうが、瘴気発生装置動かしていたはずの波高がどうなったのか解らなかった。


『中央基地と討伐基地様子は・・・』

セインが言いかけたとき、その声を遮るものがいた、


『セイン様、無事生還されたこと、心からお祝いいたします』

『じっちゃん』

現れたのはミグであった。思わずロックが反応する。


『ハイム村にある神殿に様子を見に行かせたのですが・・・』

何故か、ミグの様子がおかしい

『でどうした』

セインがミグを睨みつける。

『それが、昔からある遺跡の神殿付近には神殿以外に何もなかったそうです』

『そんなバカな・・・』

ミグの話にセインは唖然としていた。


・・・


セイン王子の手紙によると、瘴気封印は旨く行ったらしい・・・。

アンクス王国の王都、アンクスペイにある王宮にいるビスマルクはうなっていた。

生きて戻ってきた親衛隊20名から預かったセイン王子の手紙には、この作戦結果が示されていていたが、北の森での詳細は解らず、中央基地が消失したことは理解できなかった。


その時、衛兵がビスマルクの執務室に駆け込んできた。

『申し上げます。インガスから冒険者ギルドのギルドマスターが面会を求めています』

『通せ』

ビスマルクは、このギルドマスターが、アイシア村への派兵時の生き残りであることを知っていたこともあって、この訪問に何か特別な理由があると直感していた


・・・


『・・・というわけでございます』

ギルドマスターからの報告を受け、ビスマルクは今回の作戦成功を確信した。


『この剣をお納めください』

ギルドマスターは布で包まれた剣をビスマルクに差し出した。


『この剣が、魔物を多数葬った“魔物剣”です』

ビスマルクは剣を見る。刃もないこの剣がここにあるということは・・・。


『この国・・・いやこの世界を護った剣です』

ギルドマスターは、淡々と話し続けた。


『これが・・・』

ビスマルクは剣を大事そうに抱え、

『これは、我が国の宝である』

とだけつぶやいた。


しばらく沈黙したのち

『ローマンに使者を出し、各国を集めるように要請せよ』

と部下に指示をだした。


・・・


波高は、誰かに揺さぶられて目を覚ました。


『波高さん』

そう、阿久津である。翌日、中央基地から離陸し、討伐基地まで飛行してきたのである。


『どうしてここに』

波高は事情が解っていない。


『どうしてって、装置が無事に動いたか見に来たんですよ』

阿久津が当然のようにいう。


波高が起き上がってディスプレイを見ると、大陸中の瘴気がなくなっていた。

『うまくいったようだ』

波高が呟く。


『そのようですね。お疲れ様でした。』

『えっ?』

次の瞬間、波高の意識はなくなっていた。


・・・


気が付くと波高は討伐基地の自分の部屋にいた。何故かベットに寝ている状態で・・・。

基地内を探してみたが、阿久津はどこにも見当たらない。彼がきたのであれば、使っていたであろう、Cessna172も見つからない。


(理由は解らないが、中央基地に行ったんだろう・・・)

そう理解して波高は、食堂で食事をとった後、JA4169に燃料を補給しようとして気が付いた。そう、いつの間にか、JA4169は基地内に収容され、燃料が補充され、オイルも補充されていた。

(阿久津がしていってくれたのか・・・)

朝二(午前10時)くらいなので、今から行けば、日没前に中央基地に着けるだろう。

機体を基地から出し、討伐基地を出る。点検後、JA4169を中央基地に向けて離陸させた。

 離陸後、高度を上げていく、VORを112.8MHzにセットしてホーミングしていく。

すると、しばらくして、突然、視界は真っ白になった。

(まずい、雲に入ってしまった)

計器を見ながら姿勢を確認、HISの示す方向に向かって上昇しながら飛行していると、突然視界が開けた。と同時に無線から懐かし音声が聞こえてくる


『熊本エアポート インフォメーション デルタ・・・』

それは、まぎれもない、熊本空港のATISであった。慌てて、無線の周波数を熊本空港Towerに合わせると、


『・・・クリアー ツー ラン』

まぎれもない、航空管制が聞こえてきた。

慌ててDMEを見ると、空港まで20マイルの地点であり、HSIを操作したところ空港の真東にいることが分かった


(ってことは・・・ここは阿蘇の真上?)

慌てて、進路を北にとり、トランスポンダをセットする。熊本TCAに周波数を合わせ、

『熊本TCA JA4169』

と呼びかけると

『JA4169 ゴーアヘッド』

と応答があった。


・・・


疑問はいろいろあったが、とりあえず、熊本空港に着陸し、小型機の駐機場に向かった。

通称パパエプロンといわれる小型機総合基地は、以前みたものを何も変わっていなかった。以前止めていた、No.3に機体を止め、エンジンを止めて機体から出る。見覚えのある人が自転車でこちらに向かってくるのが見えた。


『えらく早く戻ってきましたね。何かトラブルですか』

整備士さんに言われてはっとて時計を見る。

そう、異世界にいったときに、熊本空港を離陸してから20分しかたっていない。

怪訝な顔でこちらも見てくる整備士さんに


『いや、特になにも・・・』

といいながら、何事もなかったように、整備会社の事務所に向かう。


事務所に入ると、

『早く帰ってきましたね』

と声をかけられた。


事情が解らず、生返事をしてソファーで休んでいると、先ほどの整備士が帰ってきた。


『波高さん。何故かオイルの量が出発前のランナップより多いのだけど・・・。それと、燃料の色が違っているんだけど・・・』


そう、討伐基地出発時にオイルと燃料を足してあった。特に燃料は、AVGAS100だったので、今、日本で小型機が使っているAVGAS100LLとは着色の色が違う。

 

『よくわからない。何もしていないよ・・・』

とぼける波高であった。


(どうして、戻ってこれたのだろう・・・さっぱりわからん)

機体の燃料タンクに入っている燃料の色が、異世界に言っていたことが現実であったことを証明していた。

お話としては、ここで完結です。

読んでいただいた皆様、ありがとうございました。

実際のJA4169は

https://ja4169.blog.ss-blog.jp/

を見てください。熊本空港のPエプロンにいますので・・・。


この後の話として

https://ncode.syosetu.com/n2122hd/

を書き始めました。

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