第67話 ボンネヒルにて
プレーンの準備は順調です・・・。
プレーンは台車の列に手を振った。実のところ、本当に補給物資が来るのか、この場所が解るのか不安であった。
・・・
『ひさしぶりだな』
待っていたプレーンに近づいてきた初老の男がプレーンの前に手を出しながら言った。
『もしかしてギルドマスター?』
プレーンは差し出された手に反射的に反応して握手する。
『もう忘れたか!まだそんな歳ではないだろうが!!』
ギルドマスターは大声で騒いでいる。後ろを見ると、分隊長が苦笑いしている。
プレーンは分隊長に近づき、
『たくさん持ってきてくれてありがとう。これなら十分足りそうだ』
といって、右手を差し出す。分隊長も反射的に握手した。
『インガスの皆さんが協力してくれて・・・多すぎましたかね?』
分隊長は、自分抜きでどんどん用意されていった物資が、多すぎないか確かめていた。
『問題ないよ』
そんな事情を知らないはずのプレーンは、分隊長の苦労を思い微笑むのだった。
『やっぱりこれが入り口だったんだな』
ボンネヒルにある石板の前に皆が集合したところで、ギルドマスターがつぶやいた。
『そうです』
『どうやって開けるんだ』
『見ててください』
プレーンは、興味120%のギルドマスターの熱視線を浴びながら、先日、波高がやったように、石板の左にあるステンレス(と思われる)蓋を開け、ボタンを押した。
『おお~!!』
プレーン以外の全員が何事もなく開くドアに驚いている。プレーンは先日波高が開けているので、もう驚かない。
(どういう仕組みなんだか・・・)
プレーンには自動ドアの仕組みは理解できていなかった。
『少し入ったところに広い場所があるので、一旦、そこに運びましょう』
そういうと、プレーンは洞窟の中に入っていった。
・・・
入ってすぐの左側にあるボタンをプレーンが押すとドアが開いた。
((ええええええ~))
プレーン以外の皆が驚いている中、プレーンは中に入る。そう、ここは、セスナ172Pがあった空間であった。荷物置き場としては申し分ない。どういう訳か、プレーンが中に入ると、空間全体が明るくなった。プレーンも人感知センサーによる照明のON/OFFまでは知らなかったので、突然明るくなった空間に警戒していたが・・・。
(そういえば、空馬車があったときも、明るかった・・・)
と思いだしたプレーンは、何故、明るくなったかという思考を放棄した。
・・・
台車で運び込んだ物資は、全て、この空間に移動した。ここからアイシア村跡までは、兵士たちが運ぶことになっている。
(3日間の搬送か・・・)
分隊長は気が重かった。大量に用意してくれた物資はありがたいのだが、運ぶのは大変だからである。
『分隊長。とりあえず、この物資は必要に応じて、この先に運び込むことにしよう』
『えっ?』
プレーンの言葉に変な声で返してしまった分隊長をそのまま、
『アイシア村跡にも大量の食料が確保できている。だから、不足して来たら補充しようと思う』
分隊長はプレーンを覗き込む。
『魔物狩りをされたので・・・?』
『大量のお出迎えだったよ!!』
プレーンは愛しか村跡に入るときの戦いを分隊長に説明した。
『あの・・・被害は・・・』
分隊長は心配になったらしく、恐る恐るプレーンに聞いてくる。
『ないよ。皆、地下の拠点にいる。見張りを建てながら、干し肉を作っているはず・・・』
プレーンが淡々をいうと、
『早くいきましょう。心配です』
分隊長は真顔になった。
『じゃ、おれらは、街に引き上げるからな。作戦の成功を祈っているよ』
ギルドマスターは、そういうと、台車引いてきた冒険者たちを引き連れて帰っていった。
『ありがとうございました~!!』
プレーンはその後ろ姿に向かって大声で叫んだ。それに反応するように、ギルドマスターの右手が上がる。冒険者たちもならって右手を挙げた。
・・・
プレーンと分隊長以下10名は、洞窟の中をしばらく進んだ。やがて、足元にボンネヒルに来るときに見た紋様のある床が見えてきた。
『皆さん。この紋様の中に入って・・・』
分隊長以下10名は、言われるまま指示に従う。
(やっぱり・・・)
プレーンは確信していた。壁には来るときと同じボタンがある。おそらく、このボタンを押すと転移するのだろう。
全員が紋様に中に入ったのを確認してから、プレーンは壁のボタンを押した。床の紋様から光の柱が発生し、プレーン達を包んだと思ったとたん、次の瞬間、違う場所に移動していた。
・・・
分隊長と9名の隊員は何が起こったのか理解できなかった。見た目にはそっくりな周辺であるからである。
『あと少しです』
プレーンはそういうと、歩き出した。分隊長以下10名が後を追う。まもなく、洞窟の脇が破壊された部分・・・そう、アイシア村跡の地下室入り口に到着した。
『みんな無事?』
プレーンは中に入るなり、声をかける。
『ええ~。3日かかるんじゃなかったんですか?早すぎませんか?』
中にいた隊員たちが驚いている。
『いや~。途中転移できる装置を発見してね。1時間もかからないで着くことが出来るよ』
((ええええええ~))
中にいた隊員の心が揃った・・・。
・・・
『では、20名に戻りましたので、交代で見張りをしながら待ちましょう』
分隊長は、20名を4班に別け、見張りのグループ、物資調達(干し肉作り&運び込み)、待機(2班)に別けた。プレーンはフリーにしてある。
隊員たちにも転移の方法を教えてもらった結果、アイシア村跡の地下は、外から物資がなくても問題がない拠点になっていた。
『あとは連絡を待つだけだ・・・』
プレーンは一人外に出て、空を見上げながらつぶやいた。
2022/3/14 誤記(脱字)修正




