第65話 訓練飛行?
ちょっと時間を遡って・・・。
『1000ft維持!!』
暇だったので、Cessna172を使って阿久津の飛行訓練をしていた。
『TGLも飽きた~!!』
阿久津の疲れたのか、うんざりしたと言わんばかりに波高を見る。
『ちゃんと前を向いて』
波高はそんな阿久津に気が付かないふりをして続けさせる。
『しょうがないなあ~。高度6000ftまで上昇。VOR 112.4』
波高も多少飽きていたので、高度をとって討伐基地にVOR周波数をセットする。
『今から行くの?』
『なわけないでしょ。ローマンの上空までお散歩に行こう』
今から討伐基地に行くだけの気力が残っていなかった阿久津が驚いて聞いてきたが、波高は平常運転である。
・・・
『翼よ。あれがローマンだ』
『なに訳の分からんこと言ってるんですか』
前方にローマンが見えてきたところで、つぶやいた波高に阿久津の疲労度は上がっていくのであった。
『高度下げます?』
『騒がれても困るので、この高度で維持しよう。王宮に向かって!』
阿久津に操縦させ、波高が下を眺める、たくさんの兵が整列している。しばらくすると、馬車に乗り込んでいく姿が見えた。
『どうやら、アンクス兵がローマンを出発するところみたいだ』
波高はそういうと
『基地に帰りましょう。VOR 112.8セット』
『了解』
やっと戻れるとほっとする阿久津であった。
・・・
波高への連絡を忘れていたセインたちだったが、
『ひょっとしてあれ』
シャールカが空を指さす。セイン、ロック、ジルダがその指の先を見ると、小さいながらまぎれもなくCessna172であった。
『どうして今日だとわかったのだろう・・・』
『偶然じゃない』
『ローマンに来るなんで聞いてないよ~♪』
『・・・よくわからん』
ローマン出発の日が解ったことを不思議に思うセイン、遊びに来ただけだと思っているシャールカ、そんな話は聞いてないので頭が???になったロック、そして、空にいる何かがCessna172であるか解らないジルダであった。
『ま、念のため、ハイム村に伝令を出してもらうよ』
セインはそういうと
『じゃ、10日後に作戦決行だ。前日に北の森に飛行してもらうから、伝令は急いでハイムに行ってもらうよ』
そういうと、セインは手を振りながら自分が乗る馬車に向かう。馬車の周りでは、コルノーたちがセインの号令を待っていた。
『じゃ、うちらも行くか』
『10日後に頑張りましょう』
『魔物にやられないでね♪』
ジルダ、シャールカ、ロックもそれぞれの馬車に向かう。
・・・
伝令は馬を飛ばしていた。とにかく急ぐ必要があるということで、ハイム村に向かう。途中、ブリトンの街に入ったが、馬を交換してそのままハイム村に向かった結果、5日後にはハイム村に着いた。伝令は波高を知らないので、ハイム村のノーマンを訪ねていた。ノイマンは伝令の存在を村人から聞いていたらしく、自宅の前で待っていた。
『ローマンからやってきました。波高様はどちらでしょうか?』
伝令の目の前にいた老人は、西の方角を指さす。
『ここの西に神殿があります。そこにおります。でも、夕方には戻ってきますので、ここでお待ちください』
あまりにいろいろありすぎたこともあって、王宮からの伝令くらいには動じなくなったノイマンはにっこりと笑うと、伝令を入れに招き入れた。
・・・
夕方には、波高と阿久津はハイム村に戻ってきた。ローマンから何等か連絡があるとすればハイム村にくるという判断であった。
『ねえ、今日のお土産は?』
波高を見つけるなり駆け寄ってきて話掛けてきたのはロナであった。中央基地にも討伐基地のような設備があるとわかってから、波高は、中央基地でお菓子を手に入れていていた。午後になると、基地の食堂メニューが休憩メニューになる。その時間に食堂に行って注文し、そのまま包んでハイム村に持ってきた。その結果、そのお菓子を目当てにボナとロナが待ち構えているという構図が出来ていたのだった。
『はい。どうぞ。ちゃんと他の子にも分けるんだよ』
そういうと、ロナにお菓子の入った袋を渡す。
『わかってま~す!!』
といいながら、ロナはどこかに消えていく・・・。
『伝令がきてますのじゃ』
ノイマンがいつの間にか波高の脇にいた。
『わかりました。早速会いましょう。』
といいながら、アイテムボックスから巨大な肉の塊を取り出した。
『途中で、ミツツノが出まして・・・今日の食事にと思い・・・』
途中まで言いかけた波高に
『おお!!皆の者、今日はミツツノの肉じゃ!!』
とノイマンが叫んだかと思うと、村人があっという間にミツツノをもってどこかに行ってしまった。
『今日は、ミツツノ肉料理じゃ』
ノイマンが楽しそうに肉の後を追って言った。
・・・
『・・・ということです』
『わかった』
伝令から内容を聞き、頷きながら答える波高、やっと訓練飛行から解放されると思って安堵している阿久津。
『明日は討伐基地に向かう』
『私も?』
『阿久津は中央基地にいてくれ。前日に北の森に飛行して、1000ftまで降下。アイシア村跡にいるはずのプレーンたちが確認できたら、残り4か所を回って中央基地に戻る』
波高は急に厳しい口調で阿久津に伝える。
『わかってるよ。大丈夫』
阿久津が答えた。
・・・
ミツツノ肉料理が並べられた。作戦決行が決まったら、基地に籠ることをノイマンに伝えていたためか、今日は、村人総出の壮行会を開いてくれるらしい。伝令も含め、みんなでミツツノ料理を堪能することになった。




