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第64話 4方向出発

『・・・帰ってきた』

馬車がローマンの城壁を通過するときに、セインがつぶやいた。10歳の子供にしては、ありえない出来事の連続・・・。何とか、ローマンに戻ってたというのが実情なので、これが本音なのだろう。


『これからですよ♪』

ロックが諭すように言う・・・言ったつもりであったが・・・。


『軽いなあ・・・』

セインに言われてしまうロックであった。


・・・


王宮内で馬車は停止した。本来であれば、護衛もものなり、使用人なりが、馬車の出入り口を操作して開けるのだろうが、すっかり冒険者になってしまったセインは、馬車が停まるなり、自分で馬車から飛び出していた


『ついた~!!』

ミグを筆頭に、出迎えていた面々はその様子に唖然としている。


『ミグ!!帰ってきたよ』

セインはミグに駆け寄りながら叫んだ。


『長旅、お疲れ様でした』

『まだ終わってないよ』

復活したミグの一言に、セインがさらに返す。


『シルダとアンクス兵が来たら、出発だ!!』

セインはそういうと、王宮の中に入っていく。慌ててミグが追いかけていった。

『待ってください。お話しなければならないことが・・・』


『元気だねえ』

『セイン様の自宅ですから~♪』

同行していたシャールカとロックは、王宮内に消えていく2人を見ながら微笑んでいた。


・・・


『・・・ということです』

何とか、ミグはセインをセント王のところに連れていき、これまでの経緯を説明させた。


『信じがたいことばかりだが・・・瘴気封印作戦にいくのじゃな』

『ロックからそう伝えたでしょ』

セント王が確認するようにセインに言おうと、セインは無邪気に変えてしてきた。やはり10歳である。


『長旅のところ申し訳ないのだが、ロンジンとロシジアが事情を説明しろと、城に居座っていてな。悪いが説明をしてほしいのじゃ』

セント王は、セインをじっと見ながら話した・・・いや、話してほしくて頼み込んでいた。


セインはセント王に答えることもなく、ミグの方に向いて

『ジルダたちは何時つくのかな』

『今日、到着予定です』

ミグもセインにつられて答える。それを聞いたセインはセント王に


『シルダがついたら、彼女も読んで、事情説明をしましょう』

といった後

『疲れたから部屋で寝る!!』

と言い残し立ち去ってしまった。

 呆然を見送る、セント王とミグであった・・・。


・・・


『・・・着いた』

ローマンの城壁を馬車の長い列が追加していく。先頭の馬車にいたジルダがつぶやいたものだった。出迎えのローマン兵に護衛される形なので、特にすることはない。


『着いたら、早速、挨拶をしなければ・・・』

ローマン王国の関係者とはあまり面識のないジルは憂鬱であった。ジルダたちは、ローマンのどこに案内されるのか聞いていなかった。護衛のローマン兵に誘導されるまま、いつの間にか王宮についていた。


・・・


 停車した馬車のドアが外から開けられる。次の瞬間、見覚えのある顔が目に入った。


『お久しぶり~。お疲れ様でした~♪』

問答無用で覗き込んできたロックであった。


開けられたドアからジルダが降りると、シャールカがロックの脇にいる。


『二人とも先に着いていたのか』

『まあねえ~♪』

『さっき着いたばかりだよ』

シルダの問いにとぼけるロックとまともに答えるシャールカであった。


『セインは?』

シルダの問いに2人は王宮を指さす。


『お昼寝らしいよん♪』

見てもいないでロックが答えた。


・・・


アンクス兵80名を含め、城内に部屋があてがわれた。他国の兵が求まって城外にいるのは誤解されるかもしれからである。


ローマンの近衛兵と思わるものがやってきて

『シルダ様 ミグ閣下からお連れするように言われております』

と直立不動で敬礼している。


『わかった』

シルダが答える。


『うちらもついていくから大丈夫だよ♪』

ロックはそういうと、シャールカを引っ張りジルダの後についていった。


・・・


『・・・というわけで、事情説明の会議に出てほしい』

ミグの説明に

『わかりました』

『はい』

『りょうーかい♪』

とシルダ、シャールカ、ロックが答える。


『じゃ、王子様を起こしてくるから♪』

といってロックは消えていった。


・・・


王宮に設けられた会議室には、セント王、ミグ、ローマンにはロンジンのベルミーヤと、ロシジア王国のリシューが呼ばれていた。今回の説明役としてセイン、同行者という位置づけでロック、シャールカ、シルダがいた。


『・・・つまり、5か所同時に封印する必要があるのだな』

ベルミーヤがセインを睨むようにいう。セインは、状況を説明した。しかし、5か所同時に封印出来かったときに何が起こるのかは、本人も知らないので、何も説明していない・・・。当然質問されるかと思ったが・・・。


『事情は解ったが、何も協力しなくてよいのか』

『はい。見守っていただきたいです』

ベルミーヤとセインの会話が続く。ベルミーヤとしては、この話に絡んでないことが不満であった。よくわからない部分も多い。しかし、邪魔をしてこれ以上、魔物が溢れるとロンジンどころか大陸全体の危機になってしまうので、了承せざるを得ないのであった。


『私も理解しましたので、国に伝えます』

リシューも不満はあったが、あまり深入りしたくないという本音もあって、特に意見は言わないことにしたようだ。


『明日、4か所に向かってそれぞれ出発します。アンクス兵をさらに、ローマン兵が護衛する形で移動することにします』

 セインがそう宣言したが、不思議とだれも意義を唱えず、会議は終了した。


『セイン。ローマン兵が護衛につくって誰と確認したの♪』

ロックが会議後にセインに確認する

『誰にも確認してないよ』


((ええええええ~))

ロックと、隣で話を聞いていたシャールカ、シルダの声が揃った。


『ミグによろしく言っておいてね』

セインはそういうと自分の部屋に消えていった。


『アンクス兵には私が伝える』

シルダはそういうと、あてがわれていた部屋に消えていった。


『ミグ閣下に話しておいてね』

シャールカもロックにそれだけ言うと用意されていた客室に消えていった。


『じっちゃーん♪』

ロックはミグの執務室に走っていった。


・・・


『ちゃんと用意しておるから安心せい』

慌てて駆け込んできたロックにミグがいう。


『ほんと?』

『当り前じゃ。アンクス兵だけで行かせるわけにいかないだろうが・・・』

ミグは頭を掻きながら、慌てている孫を見て、

(まだまだじゃのう・・・)


・・・


翌日、王宮前の広場に整列したアンクス兵80名、ローマン兵80名、各方面の代表として、セイン、ロック、シャールカ、シルダが対面していた。それぞれ、だれについていくかは事前に打ち合わせされていたので混乱はなかったが・・・。


『アンクス兵とローマン兵は、互いに相手を尊重するように・・・』

セインの呼びかけに皆、頷いている。そう、ローマン兵とアンクス兵はこの日が初対面であった。


『まあ、何とかなるだろ』

セインに同行するローマン兵の代表であるコルノーは楽観している。


セイン、ロック、シャールカ、シルダの4人はそれぞれのブイを再確認する。


『多分、1Wくらいで着くだろう、なので、10日後を決行日とする』

セインが宣言した

『ねえ、誰が波高(ウェブハイト)に伝えるの?』

シルダの一言に

『あ!』

と思わずセインが声を出してしまった。


・・・


4方向に向かって、ローマン兵に護衛された、アンクス兵の乗った馬車が出発していく。それぞれの先頭にはセイン、ロック、シャールカ、ジルダが指揮を執るべく乗り込んでいる。結局、ハイム村に伝令を送ってもらうことになった。伝令は5日くらいでつくらしいから大丈夫だろう・・・。作戦前日にCessna172(空馬車)が北の森に飛ぶことになっていたので、ついでに残り4ヶ所も回ってくれるように波高(ウェブハイト)に伝えるころになった。


『なんとかなるだろう』

セインはつぶやいていた。


・・・


 『ロンジンに戻る。万一備えて、防備を固める』

ベルミーヤはそういうと、国に帰っていった。結果を報告させるための連絡兵1名を置いて・・・。

一方、ロシジアのリシューも、急ぎ国に帰るかと思いきや・・・

(うまくいくか、ここで様子をみることにしよう)

伝令を国に送ったのみであった。


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