第58話 分隊長悩み
プレーンは20名のうち10名を連れ、インガスを出発した。分隊長にはインガスに残ってもらい、食料等の確保をしたうえで、ボンネヒルに10名と13日後にくるように伝えた。例の洞窟出口付近の場所を説明したが・・・。
((一様聞いたが・・・))
分隊長は気が気ではなった。食料はこの宿の主がどうにか準備してくれるらしい。運搬する台車も確保してくれるそうだ。それらを警備しながら運べばよいのだが・・・。
((場所がわかるだろうか・・・・))
そう、ボンネヒルに行ったことがないのだ。プレーンを不安にさせるわけにはいかなかったので、言えなかったのだが・・・。
『おい、ここにビスマルク閣下の親衛隊がいると聞いたのだが・・・』
いかにも鍛え上げたと言わんばかりに立派な体型をした初老の男性はそういうと、宿の主の前に来た。
『ギルドマスターじゃないですか。どうしたんですか』
宿の主は慌てて声をかける。
『ああ、いよいよやるらしいじゃないか。俺にも手伝わせてほしいと思ってな』
1万人の犠牲を出した魔物討伐軍の数少ない生き残りである彼にとって、今回の話は他人事ではなかったらしい。ようやく情報を聞き出してやってきたということらしい。
『既にアイシア村へ出発しましたが・・・』
『なに・・・遅かったか・・・』
宿の主とギルドマスターの声を聴いた分隊長は急いで、部屋から出て、ギルドマスターに駆け寄った。
『あなたが、この街のギルドマスターですか?』
『おうそうだ』
『私は、ビスマルク親衛隊で分隊長をしているものです。出来れば、協力してほしいのですが・・・』
分隊長の言葉が終わらないうちに、ギルドマスターは宿の主の方を向き、
『こいつの言っているのは本当か?』
宿の主は、慌てて頷いた。
『そうか、協力するぞ。なにをすればいい』
分隊長にまくしたてるギルドマスターであった。
((やはりこうなったか・・・))
宿にいた人達は、ギルドマスターが来た時点で、この展開を予想していた。何故なら、ギルドマスターが1万人の犠牲を出した魔物討伐軍の数少ない生き残りであることは、インガスでは有名であったのだ。
・・・
『・・・というわけなのです』
分隊長はギルドマスターにプレーンから受けている指示の内容を説明した。
『わかった。実は・・・。俺はその洞窟を通ったことがある。』
『ええ~!!』
ギルドマスターの言葉に分隊長は驚愕した。まさか、洞窟を知っている人がいるとは思っていなかったからだ。
『だがな、恥ずかしいことに、洞窟を出た後の記憶が曖昧でな、いままでほとんど話してなかった。』
『だがな、プレーンの言っていた場所には心当たりがある。多分大丈夫だ。』
『それと、ボンネヒルは普通に冒険者がいける程度のところだ。魔物は多少いるが、10名も兵士がいるなら大丈夫だろう。野営用の資材は、ギルドのものを貸し出すから安心してくれ。』
ギルドマスターはそういうと宿の主に向かって、
『水の樽も出来るだけ用意してくれ』
といった後、分隊長の部屋に向かって
『10日後に出発しよう』
と言ったのち、宿を出て行った。
・・・
((ギルドマスターはプレーンさんのことを知っているみたいだな・・・))
分隊長は驚きながらも、協力者が現れたことにほっとしていた。
((これでなんとかなるかも・・・))
分隊長は、食堂に出てきて水を頼むと、水とポテトチップスをの入った皿が出てきた。
『プレーンさんはインガスで冒険者をしていたそうですよ』
目の前には15歳くらいの女の子である。
『プレーンさんのお知り合いですか』
『はい。この宿でお世話になっているベルといいます。ウェブハイトさんたちに助けられてインガスまで連れてきてもらいました』
ベルは分隊長ににっこり微笑む。
『おお、プレーンさんから話は聞いてましたが、この宿に方だったのですね』
『はい。だから・・・みんな協力しますから安心してください』
分隊長は自分の心配が見透かされていたことを初めて理解したのだった・・・。
今週は、明日も投降します(多分)。




