第56話 食の都インガス?
プレーンはインガスに到着!
プレーンと親衛隊20名はオークを崖に落とした後、何とかその日の夕方にインガスに着くことが出来た。
『俺、初めてインガスに来たんだ。魔物の最前線って聞いていたから、殺伐としているのかと思っていたんだけど・・・』
馬車を街の守備兵に預けることにした。守備兵に依頼すると、特別に西門の近くに見張り付で置かせてもらうこととなった。馬は兵の詰め所に併設されている馬小屋で丁寧に連れていかれていた。
(馬車は大丈夫だろう・・・)
プレーンはその様子を確認しながらうなずいていた。
プレーンと20名の親衛隊の兵士は徒歩で街中を移動していた。プレーンにとっては、つい最近まで、冒険者として活動していたので、特に珍しくもなかったが、親衛隊のメンバーは何やらぶつぶつ言っている。魔物の発生以来の出来事を知らないはずはないので、魔物に襲われる街をイメージしていたようだ。が、街の中は、露天が多数あり、肉料理が格安で提供されている。そのほとんどが魔物の肉であるのだが・・・。
『プレーン殿。我々も宿をとりましょう』
『そうだね』
プレーンに話しかけてきたのはこの隊の分隊長であった。ビスマルクより、瘴気封印作戦のためにプレーンの護衛を命じられていたのだが、どちらかというと、プレーンに守ってもらっているというのが実態である。
『指定の宿とかあるのですか?』
プレーンは分隊長に問いかけると、彼は首を横に振った。
『残念ながらありません』
『じゃ、知っている宿にいくことにしよう』
((???))
親衛隊は、波高達が準備のためにどこで何をしていたのか知らなかった。・・・というより、波高の指示で全員が口止めされていたのだった。もし、中央基地や討伐基地といった、彼らの理解を超えた環境の存在は伝えるわけにはいかないとの判断だった。プレーンはこれを守って、親衛隊のメンバーに乗ってきた飛行機のこと以外、何も話していなかった。
・・・
『あった!!』
プレーンが街中を移動しながら、ある宿の前に立っていた。そのまま、宿の中に入っていった。
『いらっしゃいませ・・・プレーンさん?』
『そうだよ』
宿のカウンターにいたのはベルであった。
『皆さん。インガスに来られたのですか?』
『いや。封印作戦のため、私だけだよ。』
『他の方は・・・』
『それぞれの持ち場に移動中のはずだよ』
『ではプレーンさんが・・・』
『北の森に向かうところ・・・』
『お一人でですか?』
ベルはプレーンが一人で瘴気発生個所に向かうと思ったらしい。
『おーい。みんな入って来てくれ!』
プレーンは親衛隊を宿に入れた。
『まあ。たくさん!!』
『全部21名。宿 空いてるかな?』
『はい。大丈夫です』
親衛隊を見てほっとしたベルであった。
・・・
『食事の後は、今日は各自自由行動とします。インガスの街中は安全です。各自楽しんでください』
夕食後、プレーンは親衛隊のメンバーにそう伝えると、部屋に入っていった。
『せっかくだから飲みに行こう』
『おう、今日は飲むぞ!!』
親衛隊のメンバーは早速、街に繰り出していった。夜になっても、露天はまだ多数開いていて、酒も買うことが出来た。魔物の肉が大量に提供されていることもあって、酒のつまみは肉料理である。
親衛隊は数名づつに別れ、その1つのグループは宿のすぐ近くにある居酒屋に入っていった。混雑していたが、ようやく開いている席を見つけ、店員にメニューをもって来させた。
『おい。肉だけかと思ったら、見たこともないのがあるぞ!』
『なに、ポテトチップス、フライドポテト・・・なんだこりゃ』
メニューに見慣れないものを発見した親衛隊兵士たちがぶつぶつ言っていると、
『兵士さん。この街では有名なつまみです。どちらも芋を揚げたものです。』
店員は、営業スマイルで話掛けてきた。
『おう、なら、エールとポテトチップス、フライドポテト、それと腹の足しになる肉を持ってきてくれ!!』
『はい!!毎度!!』
しばらくして、エールのジョッキとポテトチップス、フライドポテトが、テーブルに置かれる。
『肉は今調理してますから、ちょっとだけ待ってくださいね』
店員は営業スマイル全開でそういうと、厨房に戻っていった。
『みたことねえな』
『確かに芋を揚げたものみたいだ』
エールを飲むことも忘れて、目の前のポテトチップスを1つ口に入れてみる。
((こいつはいい!!))
肉料理の到着を待たずに彼らの宴会が始まった。
・・・
『うまくやれている?』
『なんとか。みんな親切な人ばかりで助かってます』
プレーンは営業の終わった宿の食堂で、セレス、ベルと3人でお茶を飲みながら話し込んでいた。
『他の方はどこに?』
セレスは他の人達がどこに言ったのか気になるらしい・・・。
『大山脈に4ヶ所、それと北の森の計5ヶ所に別れて向かっているのですよ』
作戦自体は、隠す必要もないので、プレーンは説明を始める。飛行機のこともプレーンが理解できた範囲で説明したが・・・
『プレーンさん。いくらなんでもそんなものがあるとは思えないんですけど・・・』
セレスとベルは飛行機の存在を信じてもらえなかった。
『そうそう。こんなものを作ってみたんです。試食してみてくれませんか』
セレスが皿に何かを乗せて持ってきた。
『ポテトフライと一緒に、一口サイズに切ったオーガの肉を油で揚げてみたんです』
プレーンは1つ摘まんで口に入れてみた。口の中で肉汁が広がる。中々熱かったので危うく口の中が火傷するかと思ったが、味は良かった。
『これ、肉に何かつけたでしょう』
ようやく飲み込んだプレーンはそういうや、慌てて水を飲み込んだ。
『熱かった?』
『すんごく!!』
セレスが心配そうにプレーンを見る。プレーンはその顔を見て
((いいなあ~))
『で、試食の感想は?』
ベルに言われてプレーンは我に返った。
『美味しい』
プレーンの一言にセレスとベルがハイタッチをしている。
『お店にあった胡椒をつけてみたの』
『いいアイデアだと思うよ』
『でも、一種類だと飽きそうだよね・・・』
この街の人は、肉を食べ飽きるほど食べているので店に出すには何か工夫が必要らしい。
『櫛に刺して揚げてみたら。そうすれば、歩きながらでも食べやすそうだよ』
セレスは真剣にプレーンの意見を聞いている。
『櫛に刺すのなら、野菜を肉で巻いて刺してもいいかも・・・』
ベルがつぶやいた。
『熱心だね』
声をかけてきたのは、宿の主であった。
『2人もいろいろ頑張ってくれるので、宿も店も繁盛している。正直助かってるよ。また、みんなでインガスに来てほしいなあ~。出来れば、この2人の結婚式にも出てほしい・・・』
突然の話にセレスとベルの顔が赤くなっていく。
『そんな予定があるのですか?』
プレーンが聞くと
『この2人は結構人気になっていてな。結婚してほしいという話も何件か来ているよ』
宿の主が楽しそうに笑った。
『もうしばらくは、ここでいろいろアイデア料理を作ってほしいけどな』
そういうと、宿の主は厨房に行ってしまった。
『まだ、好きな人がいるわけではないので・・・』
セレスはうつむきながら小さくつぶやいた・・・。
セレスとベルの説明によると、2人目当てに毎日、ポテトチップスを買いに来る人もいつらしい。
唐揚げ、串揚げ・・・。書いてて自分が食べたくなった。
2022/3/16 誤記修正




