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間話 うなぎ

ふと うなぎが食べたくなり・・・

 波高と阿久津は、ローマンからの連絡を待っていたが、正直飽きていた。ハイム村にいてもやることがなかったのである。


『阿久津』

『暇ですね』


波高と阿久津は、やることもなくノイマン家で寝転がっていた。


『ねえねえ~』

『・・・?!』

やってきたのはボナとロナである。シャールカがローマンに行ってしまってから、この2人も寂しいようだ。よく見ると、何か持っている。


『捕まえてきたの~』

とボナがいう。見ると、大きなバケツのような入れものに、細長いものがたくさんいる。動いているので、生きているようだ。


ちょっと波高が摘まんでみると、手からすり抜けていく・・・。

『ウナギじゃないか!』


『ウェブハイトさん。ひょっとして食べ方知っている?』

ロナが波高を覗き込む。阿久津も暇に任せてバケツを覗き込み、


『これはウナギですね』

といって中のウナギを手でつついている。


『実は村の近くの川にたくさんいるの』

『でも、みんな気持ち悪がって・・・』

ロナとボナは、インガスでの出来事をシャールカから聞いていたらしい。


『ウェブハイトさんなら何かよい方法を知っているのではないかと思って・・・』

ロナが意味深なことを行ってくる。


『これはウナギといって、美味しく食べれるぞ。』

((ええ~))

ロナとボナは驚きながらもニヤニヤしている。シャールカから、何か言われているのかもしれん。


『よし、試食してみよう』

波高はそういうと、ノイマンに断って厨房に入る。


『阿久津。ウナギを裁くためのまな板を見つけてきてくれ』

『まな板くらい家にもあるよ』

ボナは首をかしげながら波高にいった。


『短剣を頭に刺すからな。別の板を用意した方がいいだろう・・』

『・・・頭に短剣?!』

ロナとボナが固まっていた。


波高は、親戚に釣り好きな叔父がいたため、ウナギやアナゴの捌き方は知っていた。さすがに、短剣で頭を固定したことはなかったが・・・。醤油のようなものはあったので、それをベースに即席のたれを作る。たれを自作したことはなかったが、適当に酒と砂糖を混ぜて煮込んでいると、それらしいものが出来た。


バケツの中のウナギを手際よくさばいていく。

『背開きなんですね』

阿久津がのぞきこんできた。

『親戚は皆、関東にいるからな』

波高は捌きながら阿久津に答える。


『へえ~。てっきり九州なのかと・・・』

『関東じゃ、飛行機を飛ばしにくいだろ』

『まさか、そのために九州に?』


阿久津が驚いている。ロナとボナは会話の内容が理解できず、きょとんとしている。


『仕事で九州に来たから、飛行機に乗る気になったというところかな』

波高はそういうと、捌き終わったウナギをたれにつけていく。


・・・


 捌いたウナギは即席のバーベキューセットで串焼きにしていった。いわゆる蒲焼きである。たれに匂いが周囲に広がっていく中、いつの間にかノイマンの家だけでなく、多くの村人が集まっていた。


『これ、川にいた蛇みたいなやつだろ。食えるのか?』

『今まで食ったこともないから検討もつかねえなあ~』

村人たちは波高が焼いているウナギを見ながらいろいろ言っている。しまいにはノイマンが

『ウェブハイト殿、これは食べれるものなのか?』

と波高に聞いていた。


『はい。これはウナギといって、とっても栄養のある食べものです』

そういうと、焼きあがったウナギを包丁で一口サイズに切り分け皿に盛る。たれの匂いが周囲に広がっているので、皆、興味はあるらしいが、遠巻きに眺めている。


『さあ、一口食べてみてください』

波高はそういうと、暇に任せて作っておいた箸で一切れ掴み、口に入れた。予想通りの味である。

(そういえば、こっちに来てからウナギを食べるのは初めてかも・・・)


波高が美味しそうに食べたのを見たロナとボナが、フォークでウナギを刺して、口に運ぶ。

『美味しい!!』

ロナとボナの声が揃った。


それを見た、ノイマンや村の人たちもウナギを食べ始めた。

『これは旨い』

『こんなに美味しかったのか!!』

『早速、とってきて食べよう・・・』

試食の反応として上々であった。


『これを炊いた米に乗せて食べると最高に旨いのですが・・・』

波高つぶやくと


『米ならあるぞ』

『ええ?!』

ノイマンから意外な言葉が・・・。周辺には水田はなかったので、稲作はしていないと思っていたのだが・・・。


『ここから少し南にいったところにたくさん生えておってな。秋になると水が引いて枯れるので、皆で実をとりに行っている。粉にして小麦に混ぜて食べておるんじゃ』


『えええ~!!』

これを聞いた波高と阿久津は絶叫していた。


・・・


ノイマンが、粉にする前の米を持ってきてくれた。粉にする前に精米しているらしく、完全に白米である。見る限り、日本で見る米と同じように見える。


『粉にしないで食べる方法があるのか?』

村人たちが何かつぶやいている。面倒なので、波高は大きな鍋に米を入れ、研ぎ始めた。


『ウェブハイトさん。何が始まったのですかな?』

ノイマンが奇異なものを見る目で波高を見ながら話しかけてきた。


『米を炊く前に研いでいます』

『米を炊く? 研ぐ?』

どうもノイマンには理解できていないようだ。村人たちも残念なものを見る目で波高を見ている。ロナとボナは、シャールカから何かいわれているらしい。何やら期待しているようだ。


『炊きあがるまで少し掛かるので、1時間後にまた来てください』


・・・


1時間後、炊きあがった米にウナギを乗せたものをたくさん用意した。試食用なので、ノイマンの家にあった、ありったけのスプーンを用意してもらい、一口サイズのうな丼を作っていく・・・。

『さすがに数が多いなあ・・・』

暇だったとはいえ、少々疲労気味の波高であった。


『ロナ、ボナ、悪いが、これを皆さまのところへ』

出来上がった一口うな丼をロナとボナに持って行ってもらう。途中から、蒲焼きは阿久津に焼くの任せて・・・。


『どれだけ焼けばいいんですか・・・』

阿久津が何か言っているが、聞こえないふりをする。


ロナとボナに持って行ってもらった先からは、大きな歓声が上がっていた。

『米ってこんな方法で食べれるんだ』

『たれが米にあう・・・うめえ~』

『米をみんなで栽培したらいいのかも・・・』


どうやら、米を炊いて食べるという方法は好意的に受け入れられたらしい。


丁度、どんぶりのような入れ物があったので、そこに炊いた米を入れ、焼きあがったウナギを乗せて、うな丼を完成させた。


『阿久津、お疲れ様、うちらも食べよう』

そういうと、波高は阿久津を待つことなくうな丼を食べ始めた・・・。



うなぎ食べたい

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