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第55話 東峠群発地震?

東峠の装置は・・・

 キニシアでは馬車が集められていた。人々がその姿を遠巻きに眺めている。そこに80名のアンクス兵が現れたのだから、事情とほとんど知らない街の人々は、その姿を不安に思っていたのであった。


『では、これからローマンに向かいます』

『道中お気をつけて。途中の村は80名もの人を収容できないので、村の中で野営していただくことになります。ご了承ください』

シルダの礼にキニシア隊長が答える。キニシアの隊長は一行を見送りに来ていた。いや、街の人々の不安を解消するため、自ら出ていくしかなかったといった方がよい。そして、街の西門を開けさせ、80名を乗せた馬車を送り出した。


・・・


『やれやえ・・・やっとアンクス兵がいなくなった』

キニシアの隊長を任されてから、前任者の不始末が原因で謀反を心配する街の人々の信頼を得ることを最優先にしていただけに、アンクス兵が街の中に入ってくるのは不安であった。しかし、特に問題も起こさず無事にアンクス兵をローマンに送りだせた・・・はず?


『すいませ~ん。東峠で地震が頻発しています』

隊長の執務室にノックもせずに飛び込んできたのは、新人城兵のエドであった。


『ノックくらいしろ!!』

キシニアの隊長がエドに怒鳴る。しかし、事情を理解していないのか

『東峠が頻繁に地震で揺れるので、皆怖がっています。明らかにおかしいです』

というなり出て行こうするので、


『ちょっと待て』

キニシアの隊長はエドを呼び止めた。


『え?』

エドが上擦った声を出して振り返ると、そこには青筋を立てた隊長の姿があった。


『お前に東峠の調査を命じる。地震の原因を調べてこい。わかるまで戻ってくるな!!』

隊長の怒声が響いたとともに、エドは隊長に蹴り飛ばされていた。


・・・


『何も蹴り飛ばさなくても・・・』

ぶつぶつ何か言っているのは、先ほどのエドである。そして、彼の上司である班長も同行していた。


『お前のせいで、俺まで調査に行かなきゃならなくなったろうが・・・』

班長はエドに報告に行かせたことを後悔していた。と同時に、とてもなく大きな不安を感じていた。なにせ、この大陸では地震をいうものは通常発生しない。つまり、誰かが意図的に起こさない限り発生しないものであった。それが、東峠からずっと続いているとなれば、考えられることは・・・。

(魔物がなにかしているんじゃ・・・)

班長は街に残してきた妻と娘の顔を思い出しながら東峠に向かっていた。


・・・


ちょっと時間を遡って・・・

アンクス兵が馬車に乗ろうとしていたそのころ、キニシアからアンクス王国に向かった商人たちが、1時間もしないうちに戻ってきた。


『峠に掛かり始めたあたりから、地震が頻発し初めまして、危なくて峠に上るのを諦めて戻ってきたんです』

商隊の代表と思われる人物からの報告に、当番であった班長は

(嫌な予感がする)

と思いつつ、そばで居眠りをしていたエドを蹴り飛ばした。


『おい、エド、隊長のところに、東峠で地震が頻発していることを報告してこい』

班長の怒鳴り声に


『はい?!』

とだけ言って、エドは隊長の執務室に向かって走っていった。


・・・


 班長とエドが東峠に掛かるとこまでくると、細かい地震がひっきりなしに発生していた。歩けないほどではなかったが、いつ落石があってもおかしくない。本能が危険を伝えていたが、原因を探さねばならない。


『エド。上るぞ・・・』

『はい』

班長とエドは言葉少なに峠を上り始めた・・・。


『何もないですね』

東峠の最高地点までやってきた。東側にはアンクス王国が見える。地震は続いていたが、特に強くなるわけでもなく・・・。


『ありゃなんだ?』

班長が指をさしたのは、巨大石碑がなくなっていて、謎の四角い洞窟が口を開けていたのであった。


『見たことないです。確か大きな岩があったはずですが・・・妙に表面がつるつるな不思議な岩だったはずですが・・・』

エドは、見回りで何回もここまで来ていた。この世のものとは思えない、磨いたような平面の巨石は前からに気になっていたが・・・。まさかなくなっているとは思っていなかった。


『入ってみるぞ』

班長は、何故か、エドの背中を押して中に入っていく。


『後ろから押さないでくださいよ』

エドは班長にいうが、班長はそのままエドを盾にして洞窟に入っていく・・・。

彼らが入って間もなく、何かが駆動する音がしたのちに入り口が閉まった。


『え・・・もしかして閉じ込められた?』

エドが暗くなった洞窟内で叫んだが、班長は背中を押すころをやめない。


『行けるところまで行くしかないだろう』

班長はエドにつぶやいた。

 よく見ると、前方はや明るい。松明があるわけではないが、壁の一部から光が出ていて、洞窟内を照らしている。しばらくすると、上下左右が平らな板に囲まれた空間になった。

『王都の石畳みたい・・・』

エドは以前いったことのある王都ローマンにあった石畳を思いただした。しかし、今、エドの眼前にあるのは、床だけでなく、壁も天井も同じサイズの石で作られたのごとくつるつるの石畳みであった。


・・・


しばらくすると床に何か謎の円形の紋様があるのを発見した。

『班長。これなんですかね?』

『俺が解るわけないろうが!!』


何か嫌な予感がしたのか、2人はこの紋様を避けるように通過した。更に行くと、広い空間に出た。そして、前方から青の光が出ているのを見ることになった。


((なんだこりゃ~))

2人は光の方向に顔を向けると、そこには見たこともない謎の構造物があり、青だけでなく、色々な色の光が光ったり、消えたりしていた。

班長が後退ったとき、背中が何かに触れたような感触があった。突然、空間に光が溢れた。そして、2人目ははっきりとその巨大な装置を見ることになった。


『もしかして、これが原因なんじゃ』

エドが声を震わせながら装置に指さす。


・・・


2人は装置を見て回った。わかったことは

 ・何の装置であるか不明で、その手がかりはない

 ・装置の手前に椅子と机があり、机には四角の黒い板がある

 ・黒い板の手前(机の上)には、文字らしきものが書いてあるボタンが多数あるが、意味不明


といったところである。2人が装置の近くに行ってみると、装置が振動していることがわかる。


『やっぱ~。これが原因では?』

『たぶんな』

エドの予測に班長が同意する。彼らの理解できないものが眼前にあるが、これが、今回の災いの原因と関係があると思われた。装置の反対側に回ってみたところ、空間の壁に緑色に文字が4文字かかれている部分があったが、触ってみても変化はなく、この装置の先につながる部分は見つけることが出来なかった。


『とにかく戻ってみよう』

2人は元来た方へ走り出した。途中の紋様のことなど忘れて・・・。とにかく、早くここから出たい一心で走り続けた結果。2人は壁に体ごとぶつけて気を失った。


・・・


数時間後、地震は発生しなくなったため、キニシアの兵たちは東峠を上っていた。そして、峠の最高地点付近で、切通になっている崖に体を激しくぶつけたと思われる班長とエドを発見したのであった。兵たちは周辺を見渡したが、2人がぶつかった道の反対側にある石碑はいつもどおりであった。


・・・


『・・・なんです。』

班長とエドは、キニシアの隊長に報告をしていた。何故か、隊長は青筋を立てている。


『お前たち、東峠の謎の石碑は特に異常がなかったとお前たちを連れてきた兵たちがいっていたぞ!!』

『ですから・・・』

『ですからじゃない。存在しない洞窟の話をでっちあげてどういうつもりだ!!』


班長とエドの見てきたものは、誰にも信じてもらえなかった。

このドアは地震発生時は開放した状態になります


東峠の石碑の内側にはこのような表示がされていたそうな・・・。


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