第54話 GOGO ウエスト(その1)
ローマンに向かった80名・・・
シルダの指揮のもと、80名のビスマルク親衛隊はカスパーの街に移動していた。途中、魔物に出会うこともなく、カスパーの街で宿泊したシルダと80名は、東峠をキニシアに向け西に移動していた。
『そうえいば、キニシアって今大丈夫なのか?』
『さあ、反乱があったらしいが既に鎮圧されたらしいぞ』
隣国の情報が正確には伝わっていないのか、親衛隊の80名の中には、キニシアに無事入れるのか心配する者がいた。
(こりゃ、説明した方がよさそうだな・・・)
シルダは東峠の最高地点付近のちょっと広くなっている部分に80名を集めた。
『この碑のある部分の全員集合!!』
シルダが大きな岩を指さし、走っていく。80名の親衛隊もつられて後を追いかけて行った。
広場ではないので、80名が集まるにはちょっと狭かった。何とか集まろうとした結果、岩の裏側まで隊員が溢れ、岩の裏側に誰かが触れた途端、碑になっていたはずの岩が忽然と消失した。
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そして、何かの洞窟の入り口を発見した。波高達が偶然見つけた洞窟の入り口を見つけてしまったのである。
『ちょっと見てくる』
シルダは、この施設のことを知らなかったが、隊員たちを置いて中を確認しようと入っていった。すると、先日いった討伐基地そっくりの通路が現れ、しばらくすると、暗く広い空間に出た。シルダが広い空間に入ったところで地面が揺れだす。前方の暗闇から何かが光ったような気がした・・・。
『この先は危険だ』
ジルダはそうつぶやいたのち引き返す。ここに時間をかけているわけにはいかない上、討伐基地のような通路から、何等か関連があるのかもしれないが、波高達から何も説明を受けなかったということは、波高達も知らないか、知っていても今回の作戦に支障のない施設ということなのだろう・・・。
とにかく先に進もう・・・。
隊員が洞窟付近に多数いたため、入り口は閉まらなかったこともあり、80名のところに引き返すと、
『この先は何もない。予定通りキニシアに向かう。セイン王子がローマンに話をしてくれているので、問題はない』
と言ったのち、そのままキニシアに向けて、峠を下り始めた。
親衛隊80名もその後についていく。全員が洞窟の入り口から離れたところ、消えていた岩が復活したが、最後尾の隊員はその変化に気が付いていなかった。
・・・
『東峠から兵士らしき集団がやってきます』
キニシアの街にある城壁の見張り小屋の兵が叫んだ。
『先日、話の来ていたアンクスの兵だろ。一応警戒はしておこう』
城壁の警備兵のリーダーが叫んだ兵士に答えた。
『隊長に報告してこい。それと・・・、エド、お前は確かめに行ってこい』
隊長は、脇で居眠りをしていた新人を蹴り飛ばした。
・・・
『すいませ~ん。隊長さんはどなたですか?』
エドは、蹴り飛ばされたまま、慌てて峠に向かい、降りてきた一行にたどり着いたところであった。
『私だが』
ジルダはエドの居眠りの時についたと思われるよだれのついた甲冑に呆れながら答えると、
『セイン殿下のお仲間の方々ですか?』
『まあそんなところだ』
エドの微妙におかしい問いであったが、瘴気封印作戦はセイン王子も関わっているので、嘘ではない。面倒なのでジルダは無難に回答した。
(いいかげんな兵士だな・・・)
ジルダは呆れていた。
・・・
『街の宿に収容しろ』
キニシアの隊長は報告に来た城壁の兵に指示を出した。
(いよいよ始まるのか・・・)
ローマンからの連絡で、アンクス王国の兵が瘴気封印作戦のためやってくるのは知っていた。宿に泊めさせ、馬車を用意してローマンに送る必要がある。そのための馬車もローマンから派遣されていたので、準備に問題はなかったが・・・。
(隣国の軍がやってくるのは、いい感じがしないな)
いまいち納得できていなかった。
・・・
『私がキニシアの隊長です』
彼は、宿にジルダを訪ねていた。
『この度は、宿を用意していただき、また、わざわざ訪ねてきていただき、ありがとうございます。本来であれば、私が訪問させていただかねばならなかったのに、申し訳ない』
街の隊長に挨拶に行き忘れていたシルダの失態であった。
『そのことはお気になされずに・・・』
『明日、こちらで用意しましたローマンに向かう馬車に、全員乗っていただきます』
隊長は努めて事務的に対応した。感情を出すと問題になりそうだからである。
『ありがとうございます』
ジルダも、事務的に礼をいうにとどまった。
隊長が帰った後、
『隊を率いての移動は面倒だ!!』
ジルダは部屋でつぶやいた。




