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第38話 フライドポテト

 シャールカの槍とセイン、ロックの剣が出来上がるまで、やることがないので、どうしたものかと思ったが、プレーンからアイシア村とボンネヒルの間にある洞窟の話を聞いた波高は、

(これは何かある!!)

との確信をいだいた。とはいうものの、武器がなくてはさすがに厳しい・・・。


・・・


 どうしようもないないので、今までのことを波高は思い返していた。

クロードから受け取った無線アンテナは、カバン型のアイテムボックスに入れてある。面倒なので、アイテムボックスにカバン型のアイテムボックスに入れてしまった。

(ややしい・・・)

 初代 アンクス王は何を考えているのだろうか・・・。さっぱりわからん。ただ言えることは、波高にとって遥か昔の人ではなく、せいぜい20~30年前を生きていた人であるということである。ただ、中央基地と討伐基地そして、意味不明の東峠にあった施設・・・。これは現代の地球文明では説明がつかない。

 それに、中央基地の最奥にある魔方陣・・・があるはずなのだが、どこにあるのだろうか。但し、封印に失敗したときのみ波高の判断で行くように書いてあった・・・何が起こるようになっているのか・・・うまくいけば、必要ないのだろうが・・・。


・・・


『ウェブハイト!大変だ!!』

セイン、ロック、シャールカの三人が慌ててやってきた。


『何があった?』

事情が分からないので寝ぼけ眼で波高が答えると

『他の店がポテトチップスを真似して売り始めたんだ』

シャールカが魔物でも見つけたかのような勢いで回答してきた。

『簡単だからなあ・・・』

波高はつぶやいた。

『このままでは、あの2人の未来が危ないよ~』

あの2人とはこの街で宿の主に雇ってもらったセレスとベルのことである。

このままだと珍しさでの販売はすぐ効果がなくなる・・・。


・・・


『他の店に話をしに行きましょう・・・』

セインは言うが、波高は首を横に振った。

『他のものも作ろう』

波高の発言に皆が波高の方に顔を向けた。

 この世界で、この店の商品を真似して作ったことを止めるルールはないはず・・・であれば、他のものも売るしかない。


・・・


お店には、たくさんのポテトチップスと昨日までと明らかに違う売れ行きに落ち込んでいるセレスとベルがいた。

『ウェブハイトさん。このままだと、売れ残ってしまいます。それにたくさん仕入れた芋が・・・』

お店の奥には、売れると見込んで沢山仕入れたらしい芋がうず高く積んであった。

『この芋が売れないと・・・』

ベルが調子にのって買ってもらったらしい・・・。このままだと不良在庫の山になる可能性が高い。

 波高が調理場を覗くと、芋の皮の山の中に、芋の端の部分が沢山混ざっているのを見つけた。

『ベル。芋の皮から芋の端の部分を分けて』

波高の指示に

『その部分は小さくてポテトチップスにできなかった部分ですけど・・・』

『これを使って別のものを作る!!』

<<えええ~>>

しばらくして再起動したベルは、芋の皮の山から、芋の皮がついていない、小さくてポテトチップスにできない部分を分け始めた。

 波高は厨房にあった鍋を取り出すと水を入れ、火にかける。

そして、鍋にちょうど入るザルを見つけると

『ベル。分けた芋をこのザルに入れ、ザルごと鍋に入れるんだ。』

『でも、それでは芋はザルの上に乗ったままお湯に入らないですけど・・・』

ベルはなにをしているのか解らなかった。

『お湯の蒸気で芋を温めるんだ』

ザルに入れた芋をザルごと鍋に入れ、15分ほど経った後、波高はザルを鍋から取り出す。

布を広げ、芋をザルから移す。

『ちょっと熱いけど・・・』

芋を布で包んでも揉み始めた。

『何ができるの・・・』

シャールカが波高に聞いてくるが気にしない。

芋が形をなくし練り物になったのを確認して、波高は布に包んだまま芋を直方体にしていく。

厚さ5㎜の、芋ようかんのような見た目のものが出来た。

波高は、ナイフを取り出すと5mm間隔で切れ目を入れていく。薄い芋ようかんは、細長い棒のようになった。

 切れ目を入れ終わると、ポテトチップスを作っていた、油の中に形が崩れないように入れて揚げ始めた・・・。

 2分後、波高は芋を油から取り上げ、皿に乗せる。ポテトチップスのように軽く塩を振って。。。そう、フライドポテト(もどき)が出来た瞬間であった。

『本当はちょっと違う作り方なんだけどね・・・』

波高はそんなことを言いながら、皆に試食させる。


『美味しいじゃないか・・・。芋も無駄がない。』

『芋を布で潰すとき、何かいろいろ混ぜても面白いものができるかも・・・』

様子を見ていた宿の主がつぶやいた。

『トマトを煮込んでドロドロしたものをつけても美味しいかも・・・』

波高は調子に乗ってケチャップもどきも提案する。


・・・


『新商品、ポテトフライだよ。歩きながらでも食べれるおしゃれな食べ門ですよ~!!』

セレスとベルが呼びかけると、人が集まってきた・・・。

試しに作って売ってみたのである。

珍しさも手伝ってあっという間に売れた・・・

『俺にもくれ!!』

『俺にもだ!!』

慌てて、波高たちは追加で作ることになった。


・・・


『疲れた~』

波高だけでは間に合わず、総出で作ったポテトフライは大盛況であった。

夕方まで、客が途切れることなく、出来上がるとあっという間に売れていく・・・。次いでにポテトチップスも買ってくれるので、売り上げは急上昇し、芋の不良在庫は防げそうである。

『いろんなものを練りこんだりすれば、酒類のつまみとしても売れるだろう・・・』

現代地球では、こんなものばかり食べれば肥満が問題になるが、この世界の人は車もないので運動量が多い。なので、歩きながらでも食べれる芋は大いに受けた。

 宿の主も宿の肉料理にこれを付け、

『うちの新商品だ。肉によく合うし、これは歩きながらでも食べれる。店で売るから気に入ったら店で買ってくれ!!』

とサービスする始末。客の反応も上々で、これならしばらくは安泰だ。

『もっといろいろ教えてくれ』

宿の主は波高にエールを渡しながら機嫌よく笑っていた。

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