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第3話 セイン

 困ったものだ、異世界からの召喚だと。勇者が来て魔物を退治して、瘴気を封印してくれると父上は思っている・・・。

 若干10歳にも関わらず、国の大事・・・いや、大陸の大事を父である国王から投げつけられたセインは絶望していた。

このままでは、いずれ魔物に人は滅ぼされるだろう。だが、異世界から何を召喚するのだ?勇者?そんなものがゴロゴロしている世界があるとは思えない・・・。


『セイン様。入りますよ!!』

聞きなれた声が聞こえてきたかと思うと、セインの部屋の扉が開いた。執事のミグ=ファインである。70歳の高齢にも関わらず、何故か元気で、見た目はセインの父であるローマン国王と同じくらいの歳に見える。セインが生まれたときからずっと身近にいたので、家族同然の存在のようにセインは思っていた。


『セイン様、ハイム村に行くのでしょう。』

『ああ、王命だからね。』

『であれば、早速、護衛を用意します。明日の朝には準備させておきますので・・・』

『ちょっとまった!!』

『は?』

『今は、少しでも兵を温存しなければならない。護衛の兵を引き連れてハイム村に行ってる余裕はないはずだ。』

『確かにそうですが、大事なセイン様に万一のことがあっては・・・』

 兵を引き連れている間に王都が魔物に襲われては困る。多分、兵では魔物の襲撃を防げないだろうけど・・・。

・・・

『冒険者としてギルドに登録してハイム村に行くことにする』

セインは自らが王子であることを隠してこっそり出かける考えらしい・・・。

『馬鹿いってはいけません。セイン様が襲われたらどうするのですか!!』

ミグが青筋を立てて叫んだ。

『子供が冒険者の恰好で歩いても、だれも脅威には感じないし、ハイム村にいっても不審には思わない。兵を連れてハイム村にいったら、国民はどう思うかな?』

頭から湯気が出そうなミグにセインは言い返す。

『それは・・・ハイム村に何かあると思うでしょうな』

『それが他国に知れたら・・・』

『我が国の不審な行動とおもうでしょうな』

『だから、兵は連れていけない』

『・・・』

ミグは沈黙せざるを得なかった。だが、わずか10歳にしてここまで考えている将来が楽しみな王子を危険にさらすわけにはいかない。

『セイン様はロックを覚えておらえますか?』

『ああ、去年、王宮であったね。ミグ自慢の剣士候補』

『ロックをお供につけさせます。はい。ちょうど、王都に戻ってきましたのでな・・・』

ロックは、修行に行くと言って去年、王都から出ていったミグ自慢の孫である。それが、ちょうど帰ってきたところらしい・・・。

『ちょうどいいので、ロックには冒険者登録をさせて、2人でパーティーを組んでもらいましょう』

ミグはセインの同意も聞かずに部屋を飛び出していった・・・。

(いっちゃったよ・・・。ま、一人よりはマシか・・・)


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