第24話 アイシアの村跡
今回は短いので、23話の続きとして記載しました。
プレーンの搭乗・・・じゃなかった登場です。
魔物の発生が最初に確認された村であったアイシア村は、インガスの街から北西にあった。以前は、徒歩で約10日の道のりであった村であったが、魔物の発生と、アンクス王国軍と魔物の戦いによって壊滅したと伝えられている。1万の兵が投入され、ほぼ全滅という、信じられないような事態が発生したこの地は、魔物の危険地帯とされ、インガスからの街道は閉鎖されていた。
・・・
魔物防衛の拠点となったインガスの街には、魔物討伐で生計を立てる、冒険者が多く住むようになった。魔物を間引かなければ、大量の魔物の発生が想定されたこともあり、アンクス王国では、魔物討伐を生業とする冒険者を募るキャンペーンを行ったためである。正規の兵士を参加させるには、あまりにリスクが大きいと判断したからであった・・・。
・・・
ここの冒険者ギルドに最近登録された冒険が、何故か、外傷が全くない魔物をカウンターに持ち込み、少なくない金額を手にしていた。始めのうちは、全く外傷がない魔物を訝しげに扱っていたギルドの職員であったが、毎日のように持ち込まれる外傷のない魔物に今では慣れてしまい、黙って受け取っている。
男はその後、ギルトに貼ってあるこの大陸の地図を見ながらつぶやいていた。
『アイシア村に何か手掛かりがあるのではないだろうか・・・』
何やらぶつぶつ言っているこの冒険者に声をかけたものがいた
『プレーンとかいったな。新人がアイシア村まで行くのは無理だと思うぞ・・・』
いかにも鍛え上げたと言わんばかりに立派な体型をした初老の男性であった。
『ギルドマスター。マスターはアイシア村に行ったことがあるのですか?』
『ああ、魔物討伐で軍が派遣されたときにな。』
初老の男性こそ、1万人の犠牲を出した魔物討伐軍の数少ない生き残りであった。
『確か、派遣された軍は壊滅して、伝令すら来なかったとか・・・』
『ああ、何故かわからんが、村まで進軍したところで大量の魔物に囲まれてな。逃げることも出来ず・・・』
『マスターはどうやって助かったのですか?』
『村の一番大きな家跡に地下室があったのを発見してな。慌てて逃げ込んだ。静かになるまで、地下室で隠れていた。確か3日くらい・・・静かになったので、出ようとしたら、出口を何かが塞いでいてな、完全に閉じ込められてしまった』
思い出しただけでつらいのだろう・・・初老の男性は顔をしかめた。
『どうやって出たのですか』
『絶望して地下室の壁に蹴りを入れたらな。なんと壁が壊れて、洞窟につながっていた』
『偶然?』
『わからない。もしかしたら、あの村が作っていたのかもしれない・・・。とにかく、その洞窟を歩いて行ったところ、かなり南の草原に出た。このあたりだ』
初老の男性は地図のある地点を示す。そこには“ボンネヒル”と書かれていた。
『このあたり一帯は草原になっている。そこに、この丘があり、その丘の下に洞窟の出口があった。』
『あったって・・・ものすごい距離じゃないですか』
『ああ・・・。丸3日歩いた。』
『他の方は・・・』
『隠れたときは5人いたがな、洞窟出の出口まで生きていたのは、俺だけだ。』
『・・・』
『地上に出たあと、どうやってインガスの街にたどり着いたのか覚えていない。気が付いたらインガスの街に収容されていた。』
『いまもその洞窟はあるのでしょうか・・・』
新人の冒険者は、彼がギルドマスターと呼んだ、初老の男性の方を見る。
『多分あるだろうが・・・アイシア村で地上に出れなければ意味がない。軍の事情聴取でも説明し、ボンネヒルに調査隊が派遣されたが、何故か洞窟は見つけられなかった・・・』
『俺は、多くの仲間を置いて一人逃げてきてしまったんだ・・・』
初老の男性はうなだれ、その目からは光るものが流れていた・・・。
プレーンは何者?
外傷のない魔物を持ち込む男・・・。
2022/3/14 誤記修正




