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第22話 ローマン出発

旅の章の始まり、始まり~。


 当初の予定より1日遅れて、波高、セイン、ロック、シャールカの4人とコルノーたち5人の計9名からなるアンクス王国への使者が出発した。目指すは、アンクス王国の首都アンクスペイである。大山脈のうちアンクス王国に抜ける東峠は、西峠や南峠と違い、馬車が通ることが出来た。なので、全行程馬車での移動が予定されている。更に、途中の村には宿泊設備が設けられており、野宿の必要はない予定であった。

『随分整備されているんだねえ~』

波高がセインに言うと

『ここは、この大陸のメイン通りだからね。当然、整備されているわけで・・・』

とセインも当然と言わんばかりの回答であった。

『ただ、問題はアンクス王国に入ると、魔物が強いらしい・・・』

『東峠を抜けた後は、厳しい移動になるかもしれないです』

コルノーが話に入ってきた。

『アンクス王国では、魔物に襲われ、壊滅した村もあると聞いていますよ~』

ロックも話に入ってきた。

『せめてポージョンとかあれば・・・』

ラノベを読んだ時の知識でつぶやく波高。

『ポージョンって何ですかあ?』

シャールカが気になるのか聞いてくる。

『魔法の薬のことです』

波高が答えると

『ウェブハイトさんの世界にはあるんですね~♪』

ロックが羨ましいと言わんばかりに行ってきたので、

『ないです。お話の世界に登場するものです』

『以前、獣人とか魔法とか言っていたあれですか』

セインが呆れたように言う。

そう、この世界では、魔法も獣人もポーションもないらしい・・・。にも拘わらず、アイテムボックスは何故かあり、現代日本でも説明のつかない、“討伐基地”があったりする。そして、結界の張られた、異世界人しか入れない部屋の存在・・・。謎な世界である。


・・・


アンクス王国へ街道は整備されているので、大きな危険もなく、魔物も滅多に現れない。

『みんな見つけると、倒して食べちゃうんですよ♪。』

ロックが街道に魔物がほとんど出てこない理由を教えてくれた。

街道の馬車を護衛している者も多いから、魔物を見つけると、

『今日は肉料理~』

なんていって、討伐するらしい。魔物が出るようになって、皆、生きるために必死らしい。

『あんまり、表沙汰になってないですけど、結構、犠牲者もいるらしいですよ~♪』

ロックが声を潜めた。潜めたところで、馬車の中なので、皆聞こえてしまっているが・・・。


・・・


 特に急ぐわけでもないため、50kmごとにある村に1泊しながらの移動になるらしい。最初の村はティエゾというらしい。

昼二(午後3時)くらいにティエゾの村に到着した。村の周囲には柵が出来ていた。街道の入り口には門だがあり、夜は閉めているそうだ。

 宿泊設備などと言っていたので、あまり期待していなかったのだが、その姿はまぎれもなく宿であった。街道宿といったところか・・・唯一の飲食店でもあるらしかった。部屋は4人部屋だったので、コルノーたちが2部屋、セイン、ロック、波高で1部屋、そしてシャールカが1部屋とした。

(シャールカは女性だし・・・)

一日馬車に乗っていると、さすがに飽きる。ちょっと村を散策することにした。柵から出なければ大丈夫らしい・・・。宿の周辺を除けば、畑が広がっていた。どうやら麦のようだ。歩いていくと子供とその母親らしい姿があった。子供は波高を見つけると、こちらに走ってきた。

『ねえ、もしかして魔物を退治してくれる勇者様?』

5歳くらいに見える女の子のようだ・・・。

『旅のものだよ。アンクスに行くんだよ』

波高は、子供の問いにはそのまま答えずに、アンクスに行く旅人ということにした。

『ええ、違うの~残念!!』

とだけ言うと、親の方に向かって走って行ってしまった。

(どっかで聞いたような・・・)

母親を見ると何かを抱えていた。興味の湧いた波高は、母親の方に近づいた。

『すいません。うちに子が勝手に・・・』

謝りだした母親に、

『いえいえ、こんなところを母娘の2人で歩ているのが珍しいなと思って・・・』

と波高がいうと

『近くに薬草を採りに行っていたんです。これで、傷薬を作って売っているんです』

と母親はいう、どうやら、近くの森で採取していたらしい。

『でも、村の外は魔物がでて危ないんじゃ・・・』

と波高がいうと、

『はい、でもこの娘を食べさせなくていけないので・・・』

『この子の父親は?』

『先日、魔物に襲われて亡くなりました・・・』

『すいません。失礼なことを聞いてしまって』

慌てて波高は謝った。

『誰か、魔物を倒してほしいです・・・』

母親はそういうと、娘の手を引いて集落の方に歩いて行った・・・。

波高はその姿を呆然と見送っていたのだが・・・。

『わかったろう。みんな魔物に困っているんだ』

シャールカがいつの間にかやってきていた。よく見ると、セインやロックも少し離れたところからこちらを見ている。

『あなたにとっては迷惑でしかないのだろうが、この世界の人は、勇者様が現れて、魔物を退治してくれることを信じて生きている』

シャールカが妙なことを言い出した。

『さっきの子供?』

波高の問いに

『この国に伝わる伝説だ。王様が召喚した異世界の勇者様が魔物を退治してくれるお話があるんだ・・・』

『それってまさか・・・』

波高は嫌な予感がしたが、シャールカにその話を教えてくれるように頼んだ。

2022/4/13 誤記修正

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