表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/93

第21話 ローマン国王との対談

ちょっと長いです。

 3日後、波高たちを乗せた馬車は無事、ローマンに到着した。途中に出た魔物は、コルノーたちが討伐していたので、馬車の中で待っていればよかった。コルノーの部下が、先ぶれして、ウェブハイト(波高)が、謁見という形式を嫌がっていることを連絡していたため、到着後、波高はメイドに先導され、王宮内の一室に案内された。ここで夕食までまっていてほしいとのことであった。


・・・


セインは、ロック、シャールカと主に、父であるセント王の執務室にいた。セントの脇にはミグが控えている。

『セイン。よくやってくれた。無事に戻ってきてくれて・・・』

セントの発言をセインは遮り、今までの経緯を報告した。


・・・


『父上、確かに異世界からの召喚には成功しました。ですが、まだ何も解決していません』

『というと・・・』

セント話掛けたが、セインはかまわず続ける

『異世界からの召喚者は、我々が読む事の出来ない文字を読み、異世界からの召喚者だったと言われている、初代アンクス王の署名の入った書類を見つけ、初代アンクス王が残したらしい瘴気を抑える方法を説明してくれました』

『では、それを実行するのみでは・・・』

セントが答えるが、セインは更に続ける

『ウェブハイト、異世界からの召喚者の名前ですが、彼が言うには、この世界にある5ヶ所の瘴気発生個所を突き止める必要があるということです』

『瘴気は大陸北の森ではないのか』

セントが狼狽しながらつぶやく

『残り4か所は現在不明です。ウェブハイトさんは、アンクス国王が何か情報を持っていると思っているようです』

『確かにその可能性はありそうな・・・』

ミグがつぶやいた

『これからアンクス王国に行こうと思っています。父上からの紹介状がほしいです』

セインは馬車内での話のままにセントに紹介状を要求した。

『わかった』

セントはセインの気迫にそのまま了承するしかなかった。

『準備するので待ってくれ』


結局、夕食のとき、波高は初めてセインの家族であるこの国の王族一家に会い、そこで紹介を受けることになったのだった・・・。


・・・


(いつ、召喚者に説明すればいいものか・・・)

セントは食事後、執務室にもどり、国王のみが知る隠し部屋の入り口を見つめていた・・・。


・・・


『ウェブハイトさん。うまくいきました。父上は紹介状を書いてくれることになりました』

夕食後、波高のいる部屋に現れたセインが、部屋のドアを閉めるなり話始めた。

『明後日には、アンクス王国に向かうことが出来るでしょう。』

・・・

波高はうなずいた。言うことがなかったからである。


『なので、明日はローマンの見物をしませんか?』

セインは妙な提案をしてきた。

『ウェブハイトさんに、この国のことをもっと知ってほしいと思っています』

セインは真剣そのものであった。

『だが、セインはほとんど王宮から出たことがなかったのだろう・・・』

波高は、ロックからセインが王宮からほとんど出たことがない王子であったことを聞いていたのである。

『大丈夫です。ロックもシャールカも一緒です。みんな、冒険者の恰好で出かけましょう』

セインの提案に納得である。

『わかった。だが、コルノーたちはそれでいいのか?』

この話をこっそり聞いていたコルノーに気が付いていた波高であった。


・・・


翌朝、朝食後に、波高の部屋には、服が一式届けられていた。

(これに着替えるようにということか・・・)

波高は、この国の冒険者風の衣装に着替えたのだった。

コルノーたちも、王都民の服装に着替えていた。変装して護衛するという。結局、セインたち4人にコルノーとその部下が5人もついて、9人での王都見物となった。

 無事、王宮から出た一行は、貴族街を抜け、王都民の住むエリアに入った。

(これは、東京の下町見たいなものか・・・)

波高は勝手に想像していたが、大体あっていたようだ。途中、市場を眺め、大公園に行き、屋台でクレープみたいなものを食べた。正確には甘くないクレープであった。

(味はイマイチ・・・)

波高は、歴史の本で見た中世ヨーロッパの景色そのままのような姿に見とれていた。冒険者風の服を着ていたので、特に問題ないと思ったのだが・・・。よく見ると、周囲の人が、波高を珍しそうな目で見ている。最初はセインたちと一緒にいるからだと思ったのだが、そうではなく、波高の容姿のせいであった・・・そう、日本人であれば当たり前の、黒髪、黒目は、この国ではいないからであった・・・。


・・・


(ありゃなんだ。見たこともない黒髪、黒目が歩いているぞ。)

冒険者ギルドで粘っても、情報がないとみて、市中を散策していたロンジン国モスビス防衛部隊の兵士であるエミールの目に見えたのは、明らかに不自然な9人のグループ。4人の冒険者を5人の市民が護衛するような形で歩いている。そして、4人の冒険者風の中に、見たこともない容姿の人間を見つけたのだった。

(これは、絶対に怪しい・・・)

エミールはこの一行の後をつけることにした。


・・・


昼は、ロックのおすすめの店でパスタのようなものを食べた。マカロニが長くなって、スパゲティのような感じになっている食べものといったところで、香辛料がないのか味はイマイチであった。


・・・


ロシジア王国のリシューは、ローマンに到着したところだった。王都内に宿をとり、王宮に使者を送った。そして、返事を待っている間、王都内をお忍びで散策していたのである。そして、大公園で何か食べている不自然な9人グループを発見した。内一人はなんとなく見覚えがあった。

(まさか、セイン王子が・・・)

そう、リシューはセイン王子に面識があった。以前にも、ローマン王国に来たことがあり、その時にセイン王子に会っていたのである。そして、一緒に行動している黒髪、黒目の人物にすぐに気が付いた。明らかに不自然に見えたからであった・・・。直ちに、護衛の一人を呼び、

『あのグループがどこに行くのか、後をつけなさい』

護衛の一人は人混みに消えていった。


・・・


後をつけられていることに気が付いていないセインたち一行は、王都を回った後、王宮に戻った。さすがに正面から入るのはまずいと思ったのか、使用人や出入りの商人たちが入る通用門を通って行ったのだが・・・。後をつけていた2人の兵士は、

(やっぱり・・・)

と思いながら、王宮に入っていく一行を見届けたのだった。


・・・


セインたちが王宮に戻ると、ミグの部下が慌ててやってきた。

『セイン様たちに至急相談したいことがあるそうです』

(なんか面倒が発生したか・・・)

波高は思うのであった。

至急というので、そのままミグの執務室に向かう。ミグは執務室に待っていた。

『急にお呼びしまして、申し訳ありません』

そう言っているミグに多少、焦りが見られる。

『何かあったのか?』

セインが問うと、

『はい。先ほど、ロシジア王国のリシュー様がローマンにお着きになり、確認されたいことがあると言って、陛下との会談を求めてこられました。』

『本人が来たのか!』

『いえ、リシュー殿の使者の方が見えられまして・・・なんでも、既に王都に着いたそうです』

『それは、えらい急な話で・・・』

セインは驚いていた。通常、使者が到着する前に、先ぶれがくるのが普通であるからである。それが、既に、王都についてから使者がくるなど、普通ではあり得なかった。

(こりゃ、飛んでいるとこを見られたか・・・)

波高は異国の使者が、飛行機のことを聞こうとしていると思えてならなかった。


・・・


『リシュー殿であれば、特に問題はないのではないか』

セインはミグに答える。

『使者が伝えてきた話によると、我が国北部であった地震と、その後に見られた鳥のようなものについて説明を受けたいと言われたそうで・・・』

『来るのが早すぎる・・・』

セインがつぶやいた。

『明日、お会いしてはいかがでしょうか。出発を1日延期して、会談するしかないでしょう』

波高はミグに言った。

(王都に既についているのであれば、今日の私の姿も確認している可能性がある。であれば、隠すことはできないだろう。ここは協力してもらう必要もありそうだし・・・)

『明日の会議には私も出席しましょう』

突然の波高の発言に一同愕然とするのだった。

ミグは慌てて執務室を出て行った。

(セント王のところに言ったな・・・)


・・・


アンクス王国への出発を1日送らせて、ロシジア王国のリシュー一行を王宮に迎え、会談が行われることになった。

ローマン王国からは、国王のセント、宰相のミグ、セイン王子、そして波高が参加した。ロシジアはリシュー一人である。

『今回は、急な会談を受けていただき、ありがとうございます』

リシューの澄んだ声が響く、

『突然の訪問に驚いておるのじゃが、ご用件は?』

話を早く終わらせたいのか、セントは、いきなり要件を聞き出す。

(焦りすぎだ・・・)

ミグはセントの姿に焦っていた・・・。

『先日、ローマン王国の北部で地震があったと聞いています。この大陸では、地震というものは起きたことがないため、何が起きているのか知りたいのです』

神殿が飛行場に変形した際のことを言っているのは明らかだった。

『話が早いですな。我が王家に伝わる伝承に基づき、魔物封印の儀式を北部の神殿で行ったためです』

昨夜、事前の相談により、儀式をしたことは伝えることにしたのだった。なので、セイン王はそのままリシューに伝えたところ、

『それは、異世界からの召喚ということですか』

と切り返された。

『そうじゃ。セインを神殿に派遣して行った。我々も何が起こるかわからなかったので、事前に伝えることはできなかったのじゃ』

『結果はどうなったのですか』

リシューの問いに、セインの視線が波高に向く・・・

(こりゃ、予想通り出番が来たよ・・・)

波高は説明を始めた。

『リシュー殿。私はウェブハイトという、日本というところから来た異世界人です』

『・・・』

リシューが波高に鋭い視線を浴びせる

『ローマン王国の召喚によってやってきたのですが、私は空を飛ぶ道具を持っています』

『???』

リシューが“わからん”を言わんばかりの顔になっている。

『その道具を使って、もう1つの神殿と往復してきました』

『それが、鳥のようなあれか・・・』

リシューは独り言のようにつぶやく

『はい、ロンジン王国からも見えたのかもしれません。ですが、今は瘴気を封印することを優先しなければなりません。なので、その詳細を説明することはできません』

『目的は、瘴気の封印なのだな』

『そうです』

『他に目的はないのだな』

『ないです』

『瘴気は封印できるのか』

『今はまだできないです』

『それは何故だ』

『瘴気を封印するための情報を集めなければなりません』

『・・・ロシジアに出来ることはないのか』

『今はありません』

リシューと波高の問答のようになってしまった。

・・・

結局、1時間ほど問答が続いたが、波高は、討伐基地の存在を説明することはなかった。恐らく説明してもリシューの理解できる話ではないだろうが・・・。

 瘴気の封印をするためには、異世界人であった可能性が高い、初代アンクス王について調べる必要があることを説明して引き上げでもらった。

『ウェブハイト殿、一旦引き上げるが、我が国にも影響が出そうな状況になったときは必ず知らせてくれ』

リシューは最後に言い残して、王宮を引き上げていった。


・・・


『いや。見事であった』

セントが波高に向かっていった。

『そして、皆には言わなければならないことがある。』

『・・・』

『実は、我がローマン王国には、国王にしか伝えられていない、秘密の部屋がある』

『・・・』

『そして、その部屋には、国王ですら入ることのできない結界のようなものが存在する』

<<ええええええええええええ~~>>

部屋に残っていた皆が一斉に叫んだ。


・・・


『ここじゃ』

セインは波高を連れて執務室にある、使われていない暖炉を指さした。

『あの暖炉の先に部屋があると言われている。が、この世界のものは入れないと言われている。じつは、わしも入ろうとしたが、暖炉の壁は動かなかった・・・』

波高はかがんで、暖炉の奥にある壁に手をかけたところ・・・暖炉の壁は崩れてなくなり、その先に部屋が現れた。

『見てきます』

波高はそれだけ言うと、暖炉の先の部屋に入っていった。


・・・


そこには、ジュラルミンケースが一つと、けん銃が1丁、そして、その弾薬と思われるケースが積まれてあった。ジュラルミンケースには日本語で書かれた紙があった。



=新たな召喚者へ=

 もし、瘴気が再び発生したときは、ローマン王国には、異世界からの召喚をするように伝承をした。このメモを見ているものは、間違えなく、召喚によってこの世界に来たものであることを確信している。ハイム村の北にある飛行場、ハイム村にあるライトガンを管制塔中央に設置した台に置くことで、一人で飛行機にのった日本人を召喚するようにした。そして、瘴気の封印結界を大陸の南にある地下水流のある丘に設置している。そこで、この大陸にある、5か所の瘴気発生過疎に、装置の末端であるブイを設置し、装置を稼働させるのだ。このケースには、瘴気発生個所を検知するレーダーが入っている。高出力の照明弾を5発用意している。協力者を集め、5か所に瘴気発生個所にブイを設置したら、できるだけ早く照明弾を打ち上げ、それを空中で待機する飛行機で確認するのだ。そうしたら、速やかに討伐基地の装置を稼働させること。稼働させたとき、ブイが瘴気に接していなければ、効果はない。1つでも失敗すれば、失敗した地点より、瘴気が大量に発生するので、絶対に失敗は許されない。瘴気発生個所については、アンクス王国にある、この部屋と同様の秘密の部屋にその所在を示す資料を残した。


追伸

 万一、瘴気の封印に失敗した際は、中央基地最深部にある魔方陣に行け。そこに、瘴気に対しての最終対策を設置している。これは、異世界者が魔方陣に入ったときに発動するので、瘴気の封印に失敗したとき以外は、決して行ってはならない。詳細は、アンクス王国にある、この部屋と同様の秘密の部屋にある。


初代 アンクス王




これは、召喚されたときに最初に見る前提だったようだ。だが、ここが発見されなくてもわかるようになっていたのかもしれない。

ジュラルミンケースを開けると、レーダーのようなものがあり、レンジを調整するつまみがある。レンジを調整すると、北側に光る所があった。どうやら、大陸全体から、かなり細部までレンジを調整できるらしい・・・(しかし、どういう仕組みになっているんだか・・・)。

波高は、けん銃を腰のベルトに挟み、ジュラルミンケースをもって皆のところに戻った。


・・・


戻ってきた波高を皆が呆然見ていた。

『部屋の中には、ジュラルミンケースとその他必要なものがあった』

波高は、さすがに、ここに書かれていた内容をそのまま説明するわけにはいかないと思った。特に、最後の方・・・魔方陣に行くと何が起こるのかわからなかったが、非常に危険な気がしたのだ。

しばらくして復活したロックに、中のものを取り出すから、アイテムボックスにしまうように伝えると、波高はもう一度秘密の部屋に戻って、けん銃の弾薬を運び出した。そして、全てをアイテムボックスに収納させて・・・。最後にジュラルミンケースに鍵をかけてアイテムボックスに収納させた。恐らくこれで、必要になるときまで、レーダーも今の状態を保つだろう。

 (それにしても、けん銃なんて使ったことないんだけどなあ~)


どうしてもアンクス王国に行かなければ・・・。

次週から次の章に移ります。

2022/3/14 誤記修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ