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第16話 基地内にて

翌日、どうしてなのかわからないが部屋が明るくなり、波高は目が覚めた。恐らく、消灯後、一定時間が経つと電気が付くのだろう・・・。よく知らないが・・・。

セイン、ロック、シャールカは既に食堂で食事をしていた。何故か、パンにベーコンエッグ、ソーセージ・・・。メニューを見ると、表示が入れ替わっていた。

(謎すぎる・・・)

同じものを選択すると、夕食と同じ感じで出てきた。出てきたものをもって、3人のいるテーブルにいくと、

『このテーブル、いつの間にか清掃されていたみたいだよ~』

とロックが言い出す。夕食のときにつけた汚れがなくなっていたというのだ。

『ウェブハイトさんの世界では、当たり前なのか?』

セインが波高に聞いてくる。が、2020年現在の日本では、自動で食堂が清掃されることは一般的ではない。ロボットも見当たらないので、謎である。


『謎は多いのだが、まずは討伐基地を調査しなければならないと思っている』

波高の一言に3人が首を縦に動かした。


ここで、波高は、昨夜必死に読んでいた“討伐基地マニュアル”に書いてあったことを説明する。

『まず、ここは海抜600ftの高さにある丘にあるということ』

『600ふぃーと?』

『そう、メートルに換算して183mくらいの高さにある』

『かいばつって?』

『海水面のことです』

(・・・)

相変わらず波高の説明に判ったような、いないような謎な顔をしている3人であった。

『丘の頂上が平らになっていて滑走路になっている』

『昨日、空飛ぶ馬車で降りたとこだよね~』

ロックの確認が入る。

『そうです』

『そして、その下がコントロールルームといって、頂上の状態を監視するところになっています』

『コントロールルームの隣が格納庫で、飛行機が今あるところです』

『昨日、手で押したとこだ』

セインが確認してきた。

『そうです。まずは、飛行機の点検と燃料の補充をしてきます』

波高の説明に3人は

(???)

そう、燃料のこともまだ理解しきれていない。実は、格納庫にでっかいタンクがあって、そこから、ガソリンスタンドのようなノズルが出ていた。そのノズルが掛かっていたとこには

“AVGAS100”

と表示されていた。

AVGAS100は、日本で生産されていたもので、今、日本ではAVGASの生産はされていない。全て、“AVGAS100LL”を輸入している。燃料につけた色が違うのですぐわかる。

そして、討伐基地にあったのは、まぎれもなく、今はなきAVGAS100だったのである。

(謎ばかり・・・)


・・・


波高は、タンクのノズルを引き出した後、機体に給油し始めた。もちろん、アースをとることは忘れずに・・・。高校生のとき取得させられた乙4類危険物取扱者の知識である。

そしてエンジンのカウリングを開け、オイルの量をチェックする。

(オイルは大丈夫・・・当分足りそうだ)

そして、どういうわけか、オイルも棚に補充用の分が1ダースあった。1本が約1Lあるので、当分は大丈夫・・・。でも整備士もいないので、何かあったときは・・・今は考えても仕方がない。自分でわかる範囲で異常がないか点検する。特に問題はない。

(今後どうするかは課題・・・)


セイン、ロック、シャールカの3人は波高の作業を眺めているだけだった。波高からは、危ないので近寄らないように言われていたこともあって・・・。


・・・


1時間くらいで波高が戻ってきたのち、食堂に再び戻る。

『下の階にある装置を見に行こうと思う。』

『それが瘴気を封印すると言われていたものなのか?』

セインが波高に前のめりになる

『たぶん。下の階にある装置という部分しかそれらしいものがないみたいだからだ』

この中で唯一、日本語が読める波高は、自信なさげに話した・・・。

『自信なさげだな』

シャールカが波高の浮かない顔をみて言う。

『今まで出来事から見て、私のいた世界でも瘴気が抑え込めるとは思えない。なので、本当にそんなものがあるのか信じられない・・・』

ぼそぼそいう波高に、

『考える前にいってみよう~』

ロックの能天気な声が響いた。


・・・


“討伐基地マニュアル”にあった基地内のマップを頼りに、装置の場所に向かう。

そして、ついにその入り口についた。

『これで瘴気を封印出来れば、魔物の発生を止められる』

セインはつい、叫んでしまった。

自動ドアが開き、中にはいると・・・

(なんじゃこりゃ~!!)

4人の目の前には、巨大な装置があった。昔のアニメに出てきたようなコス○クリーナーのような・・・。

 波高はここで操作パネルにぶら下がっているものを発見した。これも、何故か日本語で書かれている。それにはこう書かれていた


=瘴気封印装置について=

 この装置は、この大陸に発生する瘴気を地表に出なくさせるための装置である。これを稼働させれば、25時間以内に瘴気の発生は抑えられる。

 ただし、この装置が有効に機能するためには、5か所ある瘴気発生個所に、端末を設置する必要がある。端末は、この先の神殿にある5体のブイを置き、ブイのから出た端子を瘴気の中に入れる必要がある。この装置を使って稼働させたときに端末を設置しなかった場合、瘴気の内部圧力が高まり、瘴気がしてしまうので注意が必要である。

なお、ブイの輸送には、出口に設置した台に“アイテムボックス”を置いてある。これは、異次元をつなぐ際に見つけた未使用異世界を使った収納である。容量は大きすぎて確認できていない。


                             初代 アンクス王



波高は書いてある内容を3人に説明した。

『出口って・・・』

ロックの様子がおかしい・・・。

『あそこだと思うが』

緑色の光る板に“EXIT”と書いてある。

『もしかして・・・』

『とにかく一度行ってみませんか~』


・・・


EXITと書かれた出口は、何故か手動であった。開けてみると、外の光が入り込む空間があった。そして何も置かれていない台があった。

『これはまさしく・・・』

ロックが叫んだと思うと、そのまま第の先にある外の光が入り込む空間に走り込み、扉になっていた敷居を開いた。そして、そのまま外に走っていった・・・。

(???)

波高、セイン、シャールカが慌てて後を追う、外に出てみると、振り返って愕然としているロックに近づく。

『ロックどうした!!』

セインが叫ぶとロックが再起動した。

『ここ、来たことあります~』

<<ええええええええええええ~>>


・・・


とりあえず、ロックを回収して基地内に戻る。

出口を一旦閉めてから、食堂にもどり、ロックに水を飲ませた。


ロックが波高、セイン、シャールカに話した内容によると

 修行中に道に迷い、開けたところに出た。入り口のようだったので、あちこち触っていると、扉が開き、中に入ることが出来た。このとき、台に置いてあったのがアイテムボックスだったという・・・袋のようなものだったらしい。ロックがアイテムボックスを掴むとその物体は消え、彼の脳内に声が聞こえた

 『アイテムボックスを手にしたものよ。無限の収納である。瘴気を抑えるブイを入れてただちに出発せよ』

そうな・・・。だが、目のまえは壁で、他には何もなく、仕方なく外に出てみたら、ドアは閉まってしまったそうな・・・。

 どうやら、ロックは偶然討伐基地を見つけ、更に偶然出口の部屋に入る方法を見つけてしまい、アイテムボックスを手に入れてしまった・・・らしい。

『その時は、瘴気を抑えるブイって何のことかわからなかった。それらしいものもなかったし・・・』

つまり、本来、中から外に出るものが装備することを想定していたので、アイテムボックスの置いてある空間の中に入る方法を知らなかったロックは、アイテムボックスのみを手に入れて退散したということらしい・・・。


『なんで、ロックがアイテムボックスを持っていたのかやっとわかった』

セインは何故か満足顔である。ま、結果オーライということで問題ないか・・・。

『でも、アイテムボックスってどうしてこの世界にあるの?』

シャールカがつぶやく

『ウェブハイトさんの世界にはあるものなのですか?』

セインが波高に聞く。

(ないない!! ファンタジーの話に出てくるだけだよ!!)

『ないです』

波高は首を横に振りながら答えるのだった・・・。


・・・


ロックが落ち着いてから、再び装置のところに戻る。恐らく、このあたりにブイというものがあるのだろう・・・。あったよ、出口のすぐ脇に置いてあった。ご丁寧に棚に“ブイ置き場”と書いてある。


とりあえず、このブイをこの大陸にある5ヶ所の瘴気発生ポイントに設置する必要があるということなのだろう・・・?!

瘴気は北部の森の中だけではないというのか!!

『ロック。とりあえずブイをアイテムボックスに収納してくれ』

セインがロックにいうと、ロックは右手をブイに向ける。

次の瞬間、5セットあったブイは消えた。アイテムボックスにブイが収納されたことをロックが確認する。

『でだ。1ヶ所は大陸北にある森の中であることは間違いない。あと4ヶ所はどこだろうか・・・』

これがわからないとどうにもならない・・・。


・・・


4人は基地内の食堂に移動した。ここが、相談するのにちょうど便利だったからだ。

『神殿に書かれていた内容といい、ここに書かれている内容といい・・・初代 アンクス王がこれについても何か知っているのではないかと思うのだけれども・・・』

波高が話始める。

『なんで、この大陸の文字でないもので書かれているのかも謎・・・』

セインが首をひねる。

『聞いた内容だと、初代アンクス王は瘴気を封印したのかもしれない・・・』

シャールカがぼそぼそつぶやく。

『でも、今のアンクス王国には、その詳細が伝わっていないようだよ~』

ロックは真面目に考えているのだが、なんかふざけて聞こえてしまうのであった・・・。

『一回装置を動かしてみれば、瘴気の発生個所がわかるのでは・・・』

波高の一言に

『魔物が大陸中に溢れてしまうでしょうが!!』

セイン、ロック、シャールカの声が揃った。


・・・


一度、アンクス王に会いに行って、何か知っていないか聞いてみたほうが良いかもしれない。という結論になったが、一番会えそうなセインでさえ、アンクス王にはあったこともない。

『一度、ローマンに戻って父上と相談したほうがよいと思っている』

『なるほど』

『いままでのことも報告したほうがよいだろう』

というセインの提案を受け、4人は、中央基地に戻ることになった。ローマンに不時着するわけにはいかなかったので・・・。

『明日、出発しよう』


どういうわけか討伐基地には魔物が来ないようだ。元々発生の少ない南部であることもありそうだが、明日、ローマンにもどるのであれば、このまま神殿(中央基地)に飛行して、ハイム村経由でローマンに行くのがよいだろうから、この基地内にいるのが安全そうだ。


・・・


セイン、ロック、シャールカがそれぞれの寝室に引き上げたのち、波高はコントロールルームに来ていた。

 この動力がどこから来ているのか疑問であったのだ。コントロールルームにある端末を確認すると、目のまえのアイコンに目が釘づけになった。

“POWER UNIT”

とかかれたアイコンをクリックすると、何と、地下にある発電所の状態が表示された。

どうやら、この地下には地下を流れる川があるらしい。その水流を使って発電していることが判明した。

(一体だれが作ったんだ・・・??)


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