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第15話 討伐基地

正月3日までは毎日投稿します。

 9000ftの水平飛行、135㏏で巡行する。オートパイロットはついていないが、風がほとんど吹いていないらしく、安定している。・・・・やることがない。硬直していた3人も少し慣れてきたのか外を見ている。といっても、9000ftの上空からなので、地上の詳細はわからない。


『ローマンだ!!王宮が見える!!』

セインが叫んだ。そう、右手に見えるように飛んだはずなので、当然なのだが・・・。

空からは森や草原が見えるばかり・・・大山脈を超えるとアンクス王国である。地球では、勝手によその国の上空を飛ぶと、その国の戦闘機が飛んでくるのが普通だが、この世界には飛行機はないようなので、その心配はしないでよいようだ。最も、事前にアンクス王国に伝えたところで理解できるとも思えないし、討伐基地がどうなっているのかも分からないので、むやみに情報は流さない方がよいだろう・・・。


・・・


1000km先と書いてあったから540NMか・・・。135㏏で飛行しているから4時間で着くはず・・・。大山脈を超えたところで、からは見渡す限りの平らな大地である。大山脈から流れているらしい川が見られるが、これといった山はない。

『丘はありますよ~』

後部座席に座っているロックがいってきた。しゃべれば伝わることを理解したらしい。

修行で大陸を回ったときの話をし始めた・・・。正直、よくわからん。世界が違いすぎる・・・。


・・・


9000ftの上空からは、はっきりわかる起伏はない。

『前方に湖を発見!!』

波高は3人に聞こえるように伝える。

『ラック湖だよ~』

またまたロックの声が返ってきた。

『あそこには、竜が住んでいると言われているんだ~』

(!!!)

『竜は空を飛んだりするのか?』

波高は慌ててロックに確認する。

『いや~みたことないからね~。いるかどうかもわからない』

ここで、沈黙を破ってシャールカが

『上からみてみればわかるかも・・・』

『本当に見るの?』

『できるだけ、ラック湖に近づいてくれ』

右席にいるセインの要求が・・・。

『じゃ。高度を下げます』

500ft/minで降下する。これくらいであれば通常であれば問題ないはずである。3人も特に動揺してはいない・・・。

結局、ラック湖を1000ftくらいで通過してみた。地上の見え方から推定して中央基地(神殿)とほぼ同じ海抜だと思われる・・・。このときは竜の姿は見えなかった(もしかしたら、エンジンの音に驚いて隠れてしたのかもしれないが・・・)。

 この先にも街や村がありそうだったので、6000ftまで上昇する。ここまで上がれば、地上からはよく見えないはずだ・・・たぶん。


・・・


離陸してから4時間、燃料もかなり減ってきたところで、前方に光るものを発見。近づいていくと、それは、滑走路であった。ただ、周辺は森で、建物らしいものはほとんどない。滑走路の脇に、駐機スペースのような出っ張りがあり、その外側に小屋のようなものが見える。


『どうやらこれが討伐基地らしい』

波高がつぶやく。

『ここって、来たことがあるような気がするんだけど~』

ロックが妙なことを言い出した。

『とにかく降りてから確認しよう』

セインのが一旦、ロックの発言を黙らせる。


安全確認のため、初めは滑走路上をローパスする。何で舗装してあるのか謎であるが、作りは中央基地(神殿)の滑走路とほぼ同じ。見た目から1000m以上の長さはありそうだ。そのままダウンウインドに入ろうと左旋回したころ

『海だ!!』

セインとシャールカの2人が叫ぶ。どうやら、海を見るのは初めてらしい・・・。ロックはおとなしくしているので、見たことがあるのだろう。

風がないので、特に問題なくフラップを降ろして着陸した。無風なら着陸も楽勝です。


・・・


着陸後、駐機スペースのようになっている出っ張り部分に行ってみる。見ると、小屋のように見えたのは、階段の入り口だった。この滑走路への出入り口なのだろう・・・。


出っ張り部分に入るときに気が付いた。ここって、昇降機かも・・・。明らかに四角に囲った溝があったからで、そして何故か、前輪の停止位置をしていると思われる線が引いてあったからだ。

(まさか、不沈空母??)

いくらファンタジーと言っても、まさかね・・・。


・・・


エンジンを停止させ、まず、3人を降ろす。初めてのフライトに3人とも、脚がおぼつかない・・・(おいおい)。

 仕方がないので、車止めをし、ピトーカバーをし、機体カバーを付けた。見渡してみたが昇降機の操作部らしきものは見つからない。

 しばらくして、元に戻った3人と主に、階段のところに行ってみる。近づいてみると、それは階段ではなかった。

 とても頑丈そうなドアがあるのだが、全く動かなかった。つるつるの板が2枚あるように見えるそのドアの脇には、小さな箱のようなものが埋め込まれていて、その中にはボタンが1つあった。波高を除く3人はどうしていいかわからないといった顔をしている。波高がボタンを押すと・・・ドアが開いた。

『おお~!!』

セイン、ロック、シャールカの声が揃った。


なんのことはない、エレベータがあった。但し、何故、この世界にエレベータがあるのかは謎である・・・。波高は中に入った。

『さ、早く入って』

波高はセインたち3人に入るようにいう。警戒心Maxの3人が恐る恐る中に入ったのを確認して、エレベータのうち“閉”と書かれたボタンを押す。当然、ドアが閉まる。

『閉じ込められた!!』

セインが叫ぶ。

『大丈夫。たぶん』

とだけいって、波高は、“開”と“閉”のボタンの下に、2つ上下に並んでいるボタンのうち、下の方を押すと、エレベータは降下していった。

『き、きみの世界では、こういうものがあるのか』

シャールカが顔を引きつらせながら話してきた。

『これは、エレベータというものだ。珍しくはない』

波高がいうと

『こんなもの見たことない~!!』

セインたち3人の声が揃った。


・・・


しばらくして、エレベータが停止、ドアが開いた・・・。そこはまさしく基地であった。但し、誰もいない・・・。どういうわけか目のまえのモニタには滑走路の各部分が写っており、乗ってきた機体を映した映像もある。

そして、目のまえには机が1つあり、その上には本が置かれていた。その表紙には


討伐基地マニュアル


と日本語でかかれていた・・・。

(なんじゃこりゃー)

呆然としているセインたち3人を忘れて、波高も違う理由で呆然としていた。。。


・・・


 モニタの近くに椅子があったので、とりあえず座る。セインたち3人にも適当に空いている椅子に座ってもらった。但し、この部屋の操作をすると何が起こるかわからないので、機器には触らないように伝えた。そして、波高は、“討伐基地マニュアル”を読み始めた・・・。

 理由はわからないが、この基地には、食堂から寝室まであった。既に日も落ちかけていたので、機体を格納する昇降動作を行ってから機体の場所にいき、機体を昇降機から移動させて、昇降機を元に戻した。(まるで空母・・・)


・・・


滑走路は、海抜600ftにあって・・・(熊本空港とほぼ同じだな・・・)。マニュアルに従って、VORを完全?起動させた。

こちらには、レーダーも何故かあるらしい(外にはそんな設備は見つけられなかったのだが・・・よくわからん)。差し当たって必要とは思えなかったので、詳細は後回し・・・。

 よく見ると、食堂と寝室の使い方まで記載がある。食堂はセルフ式で、食堂に入ってメニューから選択すると、調理されたものが自動で出てくる仕組みであった(自動販売機の高性能版とでも思えばよいみたいだ・・・)。

食糧ストックはモニタに表示されている。1000食の定食とその他、サイドメニューの在庫が表示されていた。そして、それとは別に、見慣れた厨房・・・というより家庭のシステムキッチンがあり、調理機材も一通りあった。調味料は・・・塩と胡椒と砂糖くらいしかない。さすがに醤油やみりんはなかった。そして、寝室は全て1人部屋になっていて、ドアは自動ドア。部屋の中に風呂と洗面がある。タオルや歯ブラシまである。だが、自動でベットメイキングされることはないらしく、良くも悪くもただの個人部屋であった。


・・・


とりあえず、施設の最低限の部分と、食堂、寝室の記述を読んだ後、セインたち3人に食堂までついてきてもらった。

『この洞窟はやけに明るいが、どうなっているんだ』

シャールカが途中の通路で質問してくる。

『ここは通路だよ。間接照明というもので、光源を壁に反射させて全体を明るくしている』

『つうろ・・・』

シャールカはまだ理解出来ていないようだ。

食堂の入り口で、説明をする。

『まずは食事をしよう。ここに絵があるので、この中から選んで、選んだ絵の下にあるボタンを押してくれ』

幸い、メニューは写真に表示されていたので、それを見てもらうことにした。

まずは、波高がやってみる。

唐揚げ定食の写真の下のボタンを押すと・・・何か装置が動き出した。ちょっと先に受け取り口がある。待つこと3分。ごはん、スープ、鳥?の唐揚げの定食が現れた。スプーンやフォーク、箸は脇に大量に置いてあった。とりあえず、スプーンと箸をとって、適当にテーブルに持って行って座る。

 他の3人も何故か同じものを持ってきた。飲み物は・・・水の自動給湯器があり、その脇にコップがあったので、4つ水を入れて持ってくる。

『まずは食べよう・・・』

と波高は箸をもって食べ始めた。セイン、ロック、シャールカが波高を見ている・・・。味はまあまあといったところ。病院の食堂くらいの感じ・・・。波高は何事もなく食べているのを見て、3人も食べ始める。ごはんはなじみがないらしい。肉とスープばかり食べている。箸は使ったことがないらしく、フォークを使って肉を刺している。スプーンはこの世界でもおなじみらしい・・・。

『美味しい。不思議な味がする・・・』

『王宮でもこんな味付けはないな・・・』

『肉の表面になにがついているのかな~・・・』

3者三様の反応である。明らかに日本から持ち込んだとしか思えない味であった。


・・・


食事後、返却口と書いてあるベルトコンベアーの上に置くと、センサーがあるのか、食器や残飯は運ばれていった。自動で処理されているみたいであるが、面倒なので確認するのはやめた(どうせわからんし・・・多分)。下手にいじって壊すと困りそうに見えたのだった。

そのあと、マニュアルに書かれていた内容を、3人に説明して寝室をそれぞれ決め、早めに就寝してもらうことにした。3人には、討伐基地の操作を覚える必要があることを伝え、自分に割り当てた寝室に入って、マニュアルを読み始めたが、30分もしないうちにセインが波高のところにやってきた。

『ウェブハイトさん。部屋の使い方を説明してくれ』

そう、彼らには部屋の機器の使い方がわからなかったのだ。


・・・


幸い、部屋の作りは同じだったので、3人に波高の部屋に来てもらい、証明のスイッチ、水道の蛇口の開閉、自動ドアの説明(何故か部屋にカギをかけることが出来なかった)。

をし、水栓トイレの使い方を説明した。特にトイレに3人は驚いていて、

『ウェブハイトさんの世界では、これが普通なのですか?』

とセインは真剣に聞いてきた。そして、王宮にもほしいと言い出した。

(しばらくは、おとなしく部屋にいてもらおう・・・食堂の使い方は説明したから大丈夫だろう・・・)

波高は“討伐基地マニュアル”を読み進めていった。



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