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78 公爵令嬢はクリスマスパーティーをする

地球にあってこの世界には絶対にないものがある。


それは、クリスマス。


なんてったってこの世界、10月までしかない。


一年間は500日もあるのに。


しかも、1月が年度始めで春真っ盛り。


地球の感覚でいると、季節感はめちゃくちゃになる。


でもってこの世界の宗教では、創造神は各国にいて宗派もバラバラ。


一応この国には教会が数多くあるし聖地もあるんだけど、教皇や司祭の地位は地球のそれほど高くなくて、その辺にいる神父のリーダー的存在ってくらい。


そもそもその本人達が「まず自分を信じて、他人を信じ、それから神を信じろ」を布教していくスタンス。


お祈りじゃご飯は食べられません、でもご飯食べたら神に感謝しときましょう。的な。


現実主義な人ばっかり。


で、この世界の神の誕生日なんて、誰も知らない。


イエスや仏陀の誕生を祝う様なイベント事もない。


強いて言うなら、この国の初代国王の誕生日くらいだろうか。


それをどうにかクリスマスっぽく出来ないかな。


多民族が互いに争う広大な土地を治めた、勇敢な王とそのお供……


うーん、なんか、始祖ってより始皇帝だ。


もう、いっその事「クリスマス」ってイベントにしてしまおうか。


時期は、冬ど真ん中の8月25日、明々後日(しあさって)


図らずも、日にちが本場のクリスマスと一緒になった。


よし、この世界では8月25日をクリスマスにしよう!




そうと決まれば、まずはもみの木の調達!


これはフィアンマ男爵領の割と近くに自生してるものがあったから、それを男爵邸まで持ってきた。


まぁ、そんな目立つ事をしてると、当然リッカに問い詰められるわけで、


「モミをこんな所へ植えて何をなさるのですか?」


「クリスマスをするの。」


「クリスマス……とは、何でしょう?」


「日本の文化で、お祭りのようなものよ!」


めちゃくちゃ説明省いたけど、全然違う訳じゃない。



敷地にもみの木を植えたら、飾り付けをする。


錬金魔法でオーナメントをたっくさん作っていたら、今度はレベッカちゃんが、


「何作ってるの?」


「クリスマスツリーに飾るオーナメントを作ってるの。」


「クリスマスツリーって何?」


「クリスマスの象徴よ。」


「クリスマス?」


「お祭りの名前よ。」


説明がめちゃくちゃ雑だけど、全然違う訳じゃない。



リッカとレベッカちゃんに飾り付けを手伝ってもらってたら、ケンとアデンが来て、


「もみの木を飾って、何をなさっているのですか?」


「クリスマス用のツリーを作っているの。」


「はて、クリスマスとは何でしょうか?」


「この季節のお祭りよ。」


「何を祀っているのですか?」


「命の誕生よ。」


「「「「誰の?」」」」


「……全ての命よ!」


なんだか趣旨がちょっと変わってきた。



ケンとアデンにも飾り付けの手伝いをしてもらって、クリスマスツリーの完成!


男爵邸内も飾り付けしてると、ロナウド王子、セシル様、ポスカ君、リリーちゃんが遊びに来て、


「外の木といい、邸の中といい、何で飾り付けしてんだ?」


「クリスマスっぽくしてるんです。」


「クリスマスって何ですか?」


「全ての命の誕生を祝うお祭りですよ。」


「この赤い服きたおじいさんは誰?」


「サンタクロースって言うイメージキャラクターよ。」


「このお方は、大きな袋を持って何をなさってるのですか?」


「クリスマスの前夜に良い子の元へプレゼントを配ってるの。」


「プレゼントはどうやって調達してるんだ?」


「……一年かけて買い集めてるんだと思います。」


「お金持ちだねぇ!」


もう、説明酷すぎて、クリスマスが何か分からなくなってきた。


「でも、この小さな袋に一年分のプレゼントははいりませんよね?」


「うーん、じゃあその場でつくってるんじゃないかしら?」


「まぁ!まるでフラン様みたいですね!」


私サンタになっちゃった!


結局、サンタクロースとは『鼻が赤く光るトナカイの様な魔獣とその他8頭の空飛ぶトナカイの様な魔獣を連れて、大量のおもちゃが入る四次元袋を担ぐ、良い子と悪い子を判別できる特殊能力を持った、光速で行動可能な、クリスマスのイメージキャラクターの金持ちのおじいさん』になった。




クリスマス前日、今日の夜はクリスマスイブだ。


飾り付けも終わったし、クリスマスパーティーの準備をしましょう!


まずはローストチキン。


本場なら七面鳥なんだろうけど、チキンでも充分贅沢そうに見えるじゃない。


ついでに、フライドチキンも作っておこう。


日本でのクリスマスがK■Cのイメージが強すぎて、クリスマスに食べないといけない感がする。


まぁ実際激ウマだから、仕方ないよね。


続いて大事なのが、クリスマスケーキ!


クリスマスといえばブッシュ・ド・ノエル。


苺ショートケーキも捨てがたいから、両方作っちゃおう。


あと、ドイツではクリスマス前から少しずつシュトーレンを食べるっていう文化があるらしいから、これも作っちゃう。


飲み物はもちろん、シャンパンかシャンメリー。


ただ、スパークリングワインはまだ作ってないから、ワインで代用。


シャンメリーは炭酸飲料でいいでしょ。


他には、ビーフシチュー、ポテトサラダ、ピザ、フライドポテト等クリスマスっぽいのを色々作っていこう。


招待客もホームパーティーよりは人数いるんだし。




夜になって、ぞろぞろと招待客が集まってきた。


今日呼んだのは、フィアンマ家から、お父様、お母様、お兄様。


王族から、ロナウド王子、クロード王子。


絶対来たがると思ったから一応国王様もお声掛けしたんだけど、本日公務の為欠席。


「行きたかったぁぁ!」


……来年はお城でクリスマスしましょう。


クアングルド家から、セシル様、騎士団長夫婦。


ヤークン家から、ポスカ君、リリーちゃん、ヤークン侯爵夫婦、ケンのご両親。


フィアンマ男爵領から、アデン、ケン、レベッカちゃん、アデンの奥様、レベッカちゃんのお母さん。


急遽の呼び出しで、みんなよくこれほどまで集まれたものだ。


「「「フラン(ドール嬢)のパーティー、絶対参加したい!」」」


いいオッサン達が遊びに全力かよ!




何はともあれ、パーティー開始。


大勢の大貴族の中にポツンといるレベッカちゃんのお母さん、すごくおどおどしてて食が進んでない。


「マ、マナーが何も分からず、動いてもいいのか分かりません……」


そこまで緊張しなくてもいいって、今日は家族でホームパーティーなんですから!


あ、ケンのご両親、支給係の仕事を取らないで、お食事をしてください!


「「この様な場で席に着くのは初めてで、全く落ち着きません!」」


あなた方は今日はゲストなんですからね!


ほら、あちらをご覧なさい。


あの老夫婦は楽しそうにパーティーに参加してるじゃないの。


「甘い物や脂っこい食べ物を食べ過ぎて、胃もたれしてきたわ。」


……アデンの奥様、胃薬をご用意しますね。



各々夫婦や親子で食事を楽しんだ後は、プレゼント交換。


音楽が鳴っている間は隣の人へプレゼントを渡して、曲が止まった時に持っていた物が自分の物になる。


因みに、今回のプレゼントは全部私のお手製。


みんなに用意して貰おうと思ってたんだけど、急には無理でしょうから。


音楽はちゃんとプロを雇ったから、セシル様もプレゼント交換に参加できるよ。


音楽開始。


プレゼントをさっさと渡す人もいれば、ゆっくり渡す人もいて、タイミングが結構ズレるのね。


音楽が終わったところで、プレゼント渋滞を解消させて、みんなの手元に届いたところで交換終了。


さぁ、何がもらえたのかな?


中身を確認していいよ。


「まあ、素敵な銀細工の髪飾りですわ。」


「ほぉ、これは立派なパイプだな。」


「見て!ガラス細工のドラゴンだよ!」


「誠に見事なカトラリーですな!」


お、彼らは当たりをひいたね。


「自分は、バラのペンダントでした。」


「私は眼鏡ですね。」


「ご立派な籠手ですわねぇ。」


「ははっ、鎖帷子(くさりかたびら)ですか、面白い。」


この人達は、必要としない物が当たっちゃった感じだね。


「これはどうやって使う物でしょうか?」


ケンのお父さん、それは十徳ナイフと言って、こうやって使うんですよ。


あ、缶切りとドライバーはただの飾りです。


「何だこりゃ!?」


ロナウド王子のそれは、ヌンチャクですよ。


「フラン、これは何?」


お兄様、それは十手という武器です。


「フランドールさん、こちらの変な顔したお人形は何ですの?」


ヤークン侯爵夫人、それは、茶運び人形というからくり人形です。


とまぁ、こんな感じで、日用で使えそうな物とネタ的な物を半々で用意してたんだけど、ネタプレゼントが意外に受けた。


特に、十徳ナイフは実用化をして欲しいと言われた。




こうして、クリスマスパーティーが終わった。


問題点があったとすれば、


「プレゼント交換したかったぁぁ!!」


……来年は一緒にしましょうね。

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