65 公爵令嬢は友達と料理を開発する
レベッカちゃんが私の友達 兼 専属料理人になって、料理のレパートリーがグッと増えた。
特に、串焼き系はレベッカちゃんが自力で考えた代物。
魚だけでなく、動物の血抜きや皮剥ぎも上手でビックリした。
コック達が捨てていた内臓系を、毒の有無を確認して、臭みやクセをとって、食べやすく調理していた。
「レベッカちゃん凄いわ!
流石、私の専属料理人ね!」
これを聞いて黙ってないのが、男子3人組。
まず行動を起こしたのがロナウド王子。
得意の餡子料理で新しいものを作ろうと一生懸命頑張っていた。
なので私が、ちょっと手助け。
かき氷に、砂糖を加えた抹茶を煮詰めた抹茶シロップと、砂糖を加えた牛乳を煮詰めて作った練乳をかけて、ロナウド王子特製餡子を添えたら、抹茶かき氷の出来上がり。
これをきっかけに、抹茶味のお菓子をどんどん開発していく。
「ロナウド王子は凄いですね!
少しお手伝いしただけで、新しいお菓子を作ってしまうんですから!」
これに待ったをかけたのが、ポスカ君。
水土属性魔力持ちの彼がしたのが、植物魔法による茶葉の精製。
私が少し前に「紅茶以外にも、ハーブや花びら、野菜や果実でお茶が作れる」と言っていたのを思い出したようで、様々な種類のハーブティーを開発していった。
その中には、地球でもお馴染みのカモミールティーやローズヒップティー、ジンジャーティーなんかもあった。
「すごいわ、ポスカ君!
植物魔法で、新しい飲み物を作ってしまうんですもの!」
……一人置いてけぼりを喰らってしまった、セシル様。
「フランさん、僕は料理が出来ません。
動物を捌くことも、新しいお菓子や飲み物を開発することも出来ません。
それでも、フランさんの役に立ちたいのです。
どうか僕に、誰も知らない新しい料理を教えてくれませんか?」
男のプライドを捨ててまで、私の役に立ちたいと言ってくれた。
嬉しいことを言ってくれるじゃないか、この色男は。
「勿論よ! 一緒に新しい料理をつくりましょう!」
「ありがとうございます! フランさん!」
笑顔が眩しい。
「「「その手があったか〜!!」」」
全力で悔しがる3人と、ニヤリと笑うセシル様。
……謀ったのか?
まずは、漁港に行って頼んでおいた物を受け取りに行く。
それは、テングサ。
領民が増えたことで魚介類の需要も増え、素潜りで貝を獲る海人さんが増えたので、ついでにテングサを獲ってもらっていた。
漁獲されたテングサは砂や付着生物が沢山付いているので、真水で洗っちゃ干しを繰り返す。
獲れたてのテングサは赤色なんだけど、何度も洗って干されたテングサは黄色っぽい白色になっていく。
その白色のさらしテングサを二人で受け取って、レッツクッキン!
さらしテングサをほぐしながら洗う。
大鍋に大量の水とテングサ、酢を入れて、テングサがトロッとなるまでしっかり煮る。
煮汁をザルで濾すんだけど、放っておいても中々落ちてこないので、ヘラでかき混ぜたり潰しながらシッカリと絞り切る。
その煮汁を更に布で濾して、煮汁を型に入れて粗熱を取り、冷やして固まったら、専用の型の大きさにカット。
専用の突き器に入れて突くのが楽しい。
セシル様もすごく楽しんでいる。
出来上がった物に、フィアンマ男爵領産の黒砂糖で作った黒蜜をかければ、ところてんの出来上がり。
最初に食べるのは勿論セシル様。
チュルッ
「…美味しい!
プルっとした食感のシンプルな味のところてんと、黒蜜の少しコクのある甘さ、夏の甘味に最高ですね!」
気に入ってもらえてよかった。
黒蜜で食べるなら本当は葛切りなんだろうけど、関西でところてんは黒蜜で食べられてたし、フィアンマ男爵領らしい食べ方じゃないの。
私は四角く切ったところてんをパクリ。
んん〜、プルプルしてて甘くて美味しいっ!
見いていた3人にも食べさせてあげた。
「甘〜い!」
「ちゅるちゅる〜!」
「美味し〜い!」
みんなの開発した食べ物や飲み物は、直ちに男爵領内へ広まった。
そして、毎度のように来る国王様とお父様と共に、騎士団長とヤークン侯爵様まで来た。
「我が息子がこのように立派に成長するなんて…
フランドール女男爵、礼を言う。
ひいては、我が息子の婚約者にならぬか?」
「な、何を言う!?
ポスカを正式に養子にしたのち、婚約を申し込む予定であったのだ、ヤークン家に来てくださるな?」
「待て待て。
フランドール嬢は、いずれ王妃になる器の女性。
王家に嫁ぐのが至極真っ当だ。」
「ありがたいお申し出を沢山いただいたところで誠に恐縮ですが、フランドールは優秀な男性を婿に迎えて、フィアンマ公爵領の中心となる事に決まっているのです。」
おじさん達、本気が冗談かわからない言い振りで、大量の甘味をもぐもぐ食べながら私の将来を勝手に決めるんじゃない!
「フラン様、自分も料理したかったです。
次は自分の番ですよね?」
お、おう、また今度一緒に料理しよう、ケン。





