62 公爵令嬢は再び改革する2
子供先生4人+普通の先生の計5人揃ったところで、早速問題発生。
この4人、一応単身赴任と言うことになっているのに、教師をして頂く間の寝泊まりの準備をしていなかった。
うっかりしていた。
普通の先生は元々平民で、使用人の部屋でも硬いベッドでも全く問題ないらしいんだけど、問題は子供先生3人。
皆んな貴族の御子息ですよ。
しかも一人はこの国の王子ですよ。
王宮に比べたらどこもめちゃくちゃ狭いし、大きめの部屋は積極的に実験室や仕事部屋にしちゃってるから、必然的に小さな部屋しか残ってない。
とりあえず、ロナウド王子にはこの男爵邸で一番大きな部屋で過ごしてもらって、他の二人の部屋もどうにか上手い事家具の配置換えとかで広く見せるようにしよう。
…一番大きな部屋って、私の部屋だ。
「ロナウド王子、このお屋敷で一番大きな部屋が私の部屋なんです。
お城に比べると圧倒的に狭いのですけど、私のお部屋を使っていただいてもよろしいですか?」
「「「なんだって⁉︎」」」「ん何ですってぇ⁉︎⁉︎⁉︎」
なんでリッカが一番驚いてんのよ。
「ではフラン様はどこでお休みになるのですか⁉︎」
「私は狭い所でも全然問題ないもの。
実験室で寝るから、そちらへ荷物を用意しておいて。」
「…夜中にこっそり実験するおつもりですね?」
「…分かったわよ、使用人の部屋でいいわ。」
「そんな部屋じゃなく、ちゃんとした部屋を用意いたします!」
「えっ、お、俺、フランの部屋に寝泊りするの⁉︎」
「そう言うことになります、お気に召しませんか?」
「い、いや、別「「召しません!!」」
…なんでお前らが気に食わねんだよ!」
「ロナウド、いくら君が王子だからといって、許されることと許されないことがありますよ。
女性の部屋に寝泊りするだなんて、ふしだらです。」
いや、その言い方だとなんかやらしさが増すけど、我々まだ7歳だよ?
あと、私、ロナウド王子と一緒の部屋で過ごすわけじゃないからね?
「ロナウド王子だけズルい!
僕もフランちゃん先生の部屋で暮らしたい!」
ポスカ君、一応、ロナウド王子はこう見えて王子なんだよ?
そんな地位の人に向かって「ズルい」はダメだよ?
「では、御三方がご一緒にこのお部屋をお使いになればよいのではないですか?」
リッカ、アンタが一番何言ってんだよ⁉︎
「えっ、いいの⁉︎
やったー、じゃあそうする!」
そうしちゃダメでしょ!
「そう言う事でしたら構いませんよ。
僕もフランさんのお部屋を使わせて頂きますね。」
構うでしょ!
「…ちっ、仕方ねえなぁ。」
仕方ないの!?
という事で、しばらくは元私の部屋で3人過ごすらしい。
個室が欲しくなった時の為に、一応準備はしておこう。
とりあえず、ベッドのスプリングを錬金魔法で調節して、硬さを誤魔化した。
「何このベッド!
すっごい跳ねる!」
「わぁ!ポヨンポヨン!」
「これは面白いですねぇ!」
トランポリンになった。
ちょっとそうなる気がしてたんだよ。
くっ、私も混ざりたい!
分かってるから!参加しないから!
まだ何もしてないんだから、羽交い締めにしないでよ、リッカ!
「あれっ、ケン兄ちゃん?
こんな所で何してるの?」
「ポスカ様、お久しぶりでございます。」
「あれ、2人とも知り合い?」
「ケン兄ちゃんのお父さんとお母さん、ヤークン侯爵家の執事長とメイド長なんだよ。
小さい頃侯爵家に行った時、一緒によく遊んだよねー。」
そうだったのかー。
世間て意外と狭い。
部屋問題が解決したら、今度は担当場所。
まあ、私は必然的に男爵邸のある地区になるとして、他に、港地区、リゾート地区、漁港地区、塩田地区。
一番人気はリゾート地区。
まあ、ラーメンやカレー他、フィアンマ男爵領の名物料理が一番食べられるからね。
次に、漁港地区、港地区で、一番不人気が男爵邸から一番遠い塩田地区。
普通の先生は塩田地区でいいと仰ってくれたんだけど、公爵領の先生と言う割と待遇の良い立場だったのにこの男爵領に来てもらった事も、使用人部屋ではないものの小さな部屋しか用意出来なかった事も、我慢してもらってばっかりだったから申し訳なかった。
「ここの方が給料良いし、寝食用意してもらえてるし、向こうの給食よりご飯が美味しいし、ベッドがすっごい弾むし、不満を探す方が難しい。」
納得の上なら別に良いんだけど。
…ベッドの上で跳んだね?
厳選な話し合いの結果、3人は1週間ごとにローテーションで各地区を教えることになったらしい。
さあ、すべての準備が整ったところで、授業開始!
学童院に比べて子供の数はずっと少ないし、年齢もバラバラ。
しかも、2日に1回夕暮れ前に大人相手に塾も開く。
大丈夫かなぁ?
結果、皆んな上手くやってました。
普通の先生はともかく、3人とも先生なんてやった事ないのに凄いね。
特に、対大人の塾がかなり評判良かったらしい。
大人の扱いがうまい子供とか、末恐ろしい。
これで、教育、税金問題が粗方解決した。
残りは、医者問題。
やっぱり頭の良い人ってのは、その地区の代表的な人たちばっかりだった。
そんな人達に男爵領を離れて修行してもらうのは、せっかく軌道に乗ってきた各地区のバランスが崩れてしまうのではなかろうか。
それでも、医者や薬師というのは知識と判断力の必要な職業。
しばらくは引き継ぎ作業や後継者育成の時間を作って、頃合いを見て選抜者に公爵領に行ってもらおう。
「男爵領のご馳走が食べられなくなるのなら、公爵領に行きません!」
…そんな事言わないでよ。
向こうでは優先的にチョコレートとコーヒーを手配してもらえるようにしておくから。
納得してくれた。
これで医者問題も時間の問題になった。
食べ物の力ってすごい。





