59 公爵令嬢は祭りを開催する
さぁ、魚醤、ウスターソース、マヨネーズと、ジャンクフードに欠かせない調味料がこれだけ揃ったのだから、あとは料理をしていくだけだ!
しかし、ただ作って食べるだけじゃ面白くない。
せっかくこれだけのものが揃ったんだから、何かイベントをしよう!
丁度季節は秋、お祭りをしよう!
それも、日本式の秋祭りだ!
フィアンマ男爵領では農業はほぼしていないから、感謝するのは海の神様。
漁や港、塩田、リゾート等、この土地は海の恵みを存分に受けているのだから、感謝して当たり前だよね。
という事で、お祭りをする準備に取り掛かる。
日本の秋祭りといえば御神輿。
本来、御神輿は神道のお祭りの時に、普段は神社にいる神霊が御旅所へ渡御するために一時的に鎮まる輿なんだけど、そういうゴタゴタしたのはこの世界では無視して、ただ単に神様に感謝するためのイベントの道具って事にしよう。
領内の各地区代表者を呼び出し、各々でオリジナルの神輿を造ってもらうよう指示出し。
『海の神様を乗せるための輿で、自分たちの特産品をシッカリアピールする事』という、ザックリとした御神輿のイメージだけを伝えたところ、代表の人たちはめちゃくちゃやる気を出した。
いままで領内でこう言ったイベントがなかったらしく、ワクワクが止まらないらしい。
じゃあ、御神輿は来月のお祭り当日に初披露って事で、それまではお互いどんな御神輿が出来たか内緒だよ。
私は、お祭り用のジャンクフードを用意しよう。
今回は、男爵邸の使用人に、領民へ感謝の意味も込めて料理を振る舞ってもらう事にした。
という事で、練習も兼ねて、レッツクッキン!
まず一つ目。
小麦粉、昆布出汁、塩、砂糖を混ぜて、冷暗室で1時間(地球時間で約3時間)寝かせる。
寝かせた生地に、擂り下ろした山芋を入れて、よく混ぜる。
鉄板を温めて、千切りにしたキャベツに先ほど作った生地を混ぜて、下処理をした牡蠣と生地を別々に焼く。
牡蠣が香ばしくなったら生地に乗せて、上から更に生地をかけてひっくり返す。
黄身を潰した目玉焼きの上に焼いた生地を重ねて、卵が固まったら もういちどひっくり返して中を蒸し焼き。
そして、とろみをつけたウスターソースとマヨネーズ、この時のために作ってもらっていた鰹節をかけたら、お好み焼きの完成!
いやー、鰹節を作ってもらうの、大変だった。
なんせ、手間はかかるし、カビを生やすし、完成品はギネスに載るくらい硬いし。
要所要所で疑問と不安の声が多かった。
まあ、昆布とスルメの事例があったから、なんだかんだ言いながら作ってくれたんだけど。
次に2つ目。
小麦粉、卵、昆布出汁を混ぜてたねを作る。
茹でたタコをぶつ切りにして魚醤に漬けておく。
窪みのある鉄板に油を引いて、たねと刻みネギとタコと天かすを入れる。
因みにこの天かす、以前イカ天を作った時に出来たもの。
スルメ以外のイカの食べ方を色々教えてあげたところ、更にイカの消費が増えた。
話を戻して、たねが焼けてきたら、千枚通しでクルッとひっくり返して、はみ出た部分を入れ込みながら形を整える。
見ていた使用人達、「ほぉ〜」とか言ってるけど、貴方達も出来るようにならないと駄目なんだよ?
全体に焼き色がついて火が通ったら、お皿に盛り付けて、先程のウスターソース、マヨネーズ、鰹節をかけて、たこ焼きの完成!
はい、タコ漁も相当嫌がられました、イカ以上でした。
三つ目。
イカ、エビ、キャベツを一口大に切って、アサリ、ホタテと一緒に炒めて軽く塩、胡椒。
さっと茹でた焼きそば麺を炒めて、先程の具材と一緒にする。
この焼きそば麺、実はラーメンと一緒。
これでも美味しくできると思うから、多分問題無い。
魚醤とウスターソースで味付けをしたら、海鮮焼そばの完成!
最後に四つ目。
小麦粉に塩水を入れて混ぜる。
ポロポロとしてきたらひとまとめにして、耳たぶくらいの柔らかさになるまでしっかりこねる。
常温で40分(1時間強)生地を休ませたら、打ち粉を塗して生地を伸ばし、5ミリ幅に切っていく。
たっぷりのお湯に麺を入れて6分(約10分)茹でる。
魚醤と昆布出汁で作った汁に、麺と刻みネギ、ハマグリを入れたら、うどんの完成!
ジャンクフードといえば粉物、粉物と言えばこの4つ!
調味料があるだけで、こんなに沢山の食べ物が作れるんだなぁ。
さあ、お祭りまでに作れるようになっててよ、特にたこ焼き担当の人達。
お祭り当日。
仕事は皆んなお休みでお祭りに参加してもらう。
警備や管理等で止むを得ず参加出来なかった人達には、後日差し入れを持っていって労っておこう。
広場には、みんなが造ったオリジナルの御神輿が披露されている。
港の御神輿は、船をモチーフに造られていた立派なもの。
漁師の御神輿は、昆布、スルメ、そして今回作ってもらった鰹節を大量に乗せた輿。
ビール職人の御神輿は、大量に積み上げられたビール樽。
リゾート施設の御神輿は、コテージを模した輿に水着を飾っていた。
塩田の御神輿は、塩を固めて造られた神様が鎮座。
どの御神輿もとても素敵な出来栄えだ。
この御神輿を担いで、男爵邸のある地区を歩き回ってもらう。
御神輿が通るたび、大喜びの領民達。
地区を一周して帰ってきたら、広場に設置された屋台で男爵邸の使用人達が料理を振る舞う。
「さあさあこちらは、フィアンマ男爵領で取れた海の幸で作られた料理、お好み焼き、たこ焼き、焼きそば、うどん!
日ごろの感謝を込めて、私達から領民の皆様へご馳走させて頂きます!
お好きなものをご自由にお食べください!」
私の発した言葉に、更に興奮する領民達。
「な、なんだこの、タレの上で踊っている不思議なものは⁉︎」
初めて見る鰹節に驚きを隠せない領民達。
「はふぁ⁉︎ こ、こほわふいお(この丸いの)、えひゃふひゃあふい(メチャクチャ熱い)!
…っはぁ、一口で食べたら、死ぬぞ!」
たこ焼きの洗礼を受けた領民達。
「んっ!んまい!
中にはいってる牡蠣のエキスが口いっぱいにジュワッと広がって、上にかかったこのタレがより一層深みを増す!」
「何だってぇ⁉︎ こ、この中に入っている、コリコリとした食感の美味しいやつ、あのイカよりも気持ちが悪いタコだって言うのかい⁉︎」
「この魚貝のダシがしっかり効いてすっごく美味しい海鮮焼麺の味付け、あの強烈な悪臭を放っていた物から出来てるって本当か⁉︎
あぁ、俺たちはなんて膨大な時間と金とご飯を無駄にしてしまったんだ⁉︎」
「俺、毎日、いや、毎食このうどんでもいい!」
最後ふたつはここの領民のテンプレなのか?
更に、ビールとイカリング、タコ天も振る舞い、お祭りを完全に満喫してくれた領民達。
また来年以降もやっていこう。
お祭りで気になる人を見かけた。
見覚えのある人物、と言うか超知り合い。
お父様と国王様、なんでここにいるんだよ!





