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3 公爵令嬢は成認式を知る

10/19 人数の指摘があったので、変更しました。

部屋に入ってきたのは、ケーラ・アルヴァンという女性。


年齢は十八歳で、エレメント魔法学校を卒業して丸一年。


エレメント魔法学校という所は、魔法の使える国内全ての十五歳が通う専門的な機関の事で、国民の僅かな人しか行くことが出来ない。


そんなすごい人なんだけど、在学中に親が色々やらかしてしまったせいで、爵位を剥奪されて婚約も破棄されてしまった元子爵令嬢の苦労人。


とても綺麗で頭も良くて、魔法も上手ないい人なんだよなあ。


(輝行)だったら是非ともお嫁さんに欲しいくらいに。


まぁ今は(フランドール)だから無理だけど。


「フランドール様は来週で五歳になられますので、来月の成認式に出席して頂く事になります。」


成認式とは、五歳になった歳の一月に、国中の五歳児が参加する行事で、日本で言うところの成人式のようなもの。


……だと思うけど、知ったかぶりは良くないからケーラ先生に聞いてみる。


「成認式とは、五歳のお祝いと共に、その子に魔法の能力があるかどうかを調べるための行事です。」


お祝い以外全然違った。


国中の五歳児全員の魔法の才能を一人一人調べるらしい。


うわぁ、めちゃ大変そうだし、何より時間がかかりそう。


「どうやって一人一人調べるの?」


「入場の際に、魔力を調べる特殊な魔導具を使って調べます。」


「そこでは魔力の有無だけが分かるの?」


「魔力の有無とその属性、魔力量が十段階で分かります。」


「その魔導具を使うのは、どのくらいの時間を要するの?」


「およそ三秒程度で結果が分かります。」


少し話が逸れるけど、この世界は一年が十ヶ月でひと月が五十日、一週間は十日、一日十時間で正午が一時、一時間百分で一分間が百秒。


一秒間が同じなら、地球より一年が135日長く、一日が3時間46分40秒長いことになる


一月は、フィアンマ公爵領で言うと春中旬。


私は時計が読めるのだけど、俺の地球の情報のせいで、少し混乱して感覚が何となくつかみにくい。


てか、三秒で結果がわかるって、なにそれ魔導具すごい!


私も欲しい!


でも、いくら短時間で結果がわかっても、人数が多いとトータルの時間はかかるし、魔導具は一つだけなのかな?


「魔道具はいくつかあり、領地ごとに入場口を分けています。

ただ、今年の五歳児はいつもより多く、全員で約二万人、フィアンマ公爵領だけでも千人を超えるとお聞きしました。」


二万人と聞いて驚いた。


五歳児だけで二万人だから、保護者や使用人がお供したら倍以上にはなるんじゃないの。


そんな大勢を集約出来る場所がこの国にあるの?


王都にあるらしい。


成認式専用の会場で、式場には五万人入れると。


でけぇ。


で、この成認式、特別な式典らしくて、国王様や国の重要人物も来るらしいよ。


そんな大規模な式典を、成人式と同じだと思ってた俺、超恥ずかしい。


こうなってくると、疑問がいくらでも湧き出てくるのさ。


成認式がどれくらいの日数行われるのか。


二万人の子供のデータの記録方法。


式典の内容。


昼食の有無。


成認式の式費。


遠方の貧しい子や孤児、奴隷の子の参加の有無。


「本日は、いつにも増してよく質問をなされますね。」


やらかしてしまった、私の悪い癖。


「ごめんなさい、あまりにも知らない事が多すぎたものだから。

私の勉強不足です、恥ずかしいわ。」


そう言うとケーラ先生は「そんな事はございません」と慰めてくれた。


「フランドール様は同年代の子達に比べても、物覚えが良くて、勤勉で努力家で、知識も圧倒的に豊富です。

何も恥ずべき事はございません。」


ケーラ先生優しいなぁ、ありがとう。


その期待に応えて、更に勉強しないとな。


で、ケーラ先生はさっきの質問を答えてくれた。


式典は一日で終わらせる様で、九時半(地球時間で八時半頃)開場、十時(九時半頃)成認式開始、昼食挟んで一時半(十三時半頃)から魔力保持者発表、三時(十七時頃)までには終了するらしい。


二万人の子供を地球時間で一時間半程度で捌ききるとか、どんだけよ。


「流石に全ての五歳児の記録を取るわけにはいきませんので、記録は魔力保持者しかされません。」


だよねー、全員記録してたら、それだけですごい時間かかるわ。


因みに、魔力保持者の殆どは貴族なんだけど、稀に平民からも生まれることがあるから、遠方の子や孤児、奴隷の子も例外なく全員調べるんだと。



式典の内容は、まずは国王様の挨拶とお祝いの言葉。


五歳になって如何に国民としての自覚を持って生活していくか、魔法とはどういうものかを、子供にも分かりやすいように説明してくれる。


次に、スポンサーの紹介。


この成認式は、国中の貴族や名家の寄付で成り立っていて、その寄付だけで、式典の運営、貧困層や孤児達の交通費、滞在費が余裕で賄えるらしい。


昼食は式場とは別のフロアに用意されているらしい。


参加者や付添人は自由に飲食出来る。


四万人入る昼食用別フロアだけじゃなくて、貴族用の控え室や休憩フロアがいくつもあるんだって。


どんな建物か想像出来なくなってきた。


で、午後からは魔力保持者の発表。


出身地方、名前、魔法属性、魔力量が発表される。


全員を発表し終わったら、そこで成認式が終了。


あれだけの質問全部に答えてくれたケーラ先生、やっぱ優しい。


他に分からない事が出てきたら、自分で調べよう。

閲覧ありがとうございます。

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