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18 公爵令嬢は成認式に出る 4

10/12誤字訂正しました。

報告ありがとうこざいます。

さて、昼食の時間になったのだけど、この時間が今日の中で一番重要だと言っても過言じゃない。


なんてったってこの昼食、「昼食」と言う名の社交場になる。


ここで、自分の子と他所の子を比べて、いかに自分の子が優れているかをアピール出来るか、いかに相手より優位な位置に立てるか、いかに相手方が自分達に利益を生むかを見極めて、貴族平民関係なくアピール、アタック出来る場なのだ。


地球時間で3時間ちょい。


昼食時間としてはずいぶん長いけど、5万人規模の交流会と考えると短いと感じる。


この時間に、ドレスチェンジをする貴族の子もいれば、食べたことのない王宮料理に舌鼓を打つ家族もいる。


そしてここにも、何故かあるポテチ。超人気。





私達は、食事も早々に限られた時間で交流会。


先程ドレスを差し上げた子達を探していると、そのドレスを着ている女の子が大きな声で私を呼んでいた。


私が気付くと、あふれんばかりの笑顔でこちらに近づいてきた。


「本日は本当にありがとうございます。

何とお礼を言っていいか。

フランドール様のお陰で、娘に素敵なドレスを着せてあげる事が出来ました。

私達なりに、自分で用意できる様頑張っていたのですが、高い税を払うとドレスを作る為の生地を買うお金すら無くて…」


「まあ、其方の領はそんなに税金が高いんですの?」


「人頭税で、うちには介護のいる大祖父母と、働けない祖父母がいるので…

子供達に手伝ってもらってたんですが、今年は天候に恵まれず不作で…」


「では、お子様は学校には行かれてないの?」


「本当は行かせてあげたいんですけど、学費も掛かりますし、働き手が減ってしまうのは何より困るんです…」


平民の方々は、貴族より領内の情勢や不満を多く語ってくれるから、相手の腹を探るには持ってこい。


「ところで、あなた方はもうご飯を召し上がりました?」


「ええ!とっても美味しいですね!

普段質素なご飯しか食べさせてあげられず、ひもじい思いをさせていたので、今日は沢山食べさせてあげています。」


「料理の中にポテチというじゃがいものお菓子がありますの。

そちら、このフランドールが考えたものですの、ぜひ召し上がってみて下さいな。」


「えっ⁉︎

あの不思議な食感の美味しいお菓子、フランドール様がお作りになられたのですか⁉︎」


「ふふっ、そうなの。

私が目を離した隙に、実験と言って作っていたわ。

国王陛下の言う通り、子供の可能性は無限大よ、是非色々な事をさせてあげて頂戴。」


「はい、ありがとうございます。

フランドール様、美味しいお菓子をご馳走様でした。」


「気に入って頂けて嬉しいですわ。

この成認式を一緒に楽しみましょうね。」





こんな感じで、他にもドレスをあげた子を見つけては声をかけ、合間合間で貴族の方にも声を掛けられていると、ものすごいオーラがこちらに近づいているのがわかった。


なんと、国王様がこちらに近づいているではないか。


カーテシーで国王様を迎える。


「久しぶりだな、ミリアン夫人。

ここは憩いの場だ、地位も爵位も無く皆同じだ、頭を上げなさい。」


私たちは頭を上げて姿勢を正す。


「フランドール嬢、其方がこのポテチを開発したそうだな。

実に美味い。

今日の成認式に使わせてもらったぞ。」


「お褒めに与り光栄であります。

私の好奇心で出来た偶然の産物でしたが、お気に召して頂けて何よりでございます。」


「うむ、やはり子供というのは素晴らしい。

今日のドレスもよく似合っている。

皆の物と違い、とても目を引く物だ。」


「このドレスもフランドールの考えた物でございます。

『成認式は大人への第一歩、少し背伸びをしてみたい』と申しておりました。」


「大人への第一歩か。

はっはっはっ、実に素晴らしい考えだ。

ところで、今朝貧しい者達にドレスを着せてやったそうだな、その者から話を聞いたぞ。」


「はい、恥ずかしながら全て私が使用していた物ですが、折角の晴れ舞台なので良い思い出になって頂きたいと思いまして、ドレスのいくつかをその者達に差し上げました。」


「その者は、フランドール嬢の着ていたドレスで成認式に参加出来たと喜んでおったぞ。

フランドール嬢、其方は賢いだけでなく慈悲深い。

今後もそのように成長を遂げよ。」


「お褒めのお言葉、身に余る思いでございます。

今後も精進して参ります。」


そう言うと、フラッとまた何処かへ行かれた。


国王も、貴族平民関係なく色んな方にお話ししていらっしゃるんだろう。


しかしまぁ、国王に良い印象を与える事が出来たようで良かった。


昼食時間も残り半分、もう一踏ん張りだ。

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